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基礎からわかる免疫学講座
        
執筆: 亀井 栄一 薬学・医学博士
 PROFILE 北里大学薬学部卒業
  同大学院修了。
       萬有製薬理化学研究所、
       防衛庁航空自衛隊航空
     医学実験隊を経て、
           生活機能恒常性研究会会長  
   として活躍中。
             
  「免疫という言葉を聞くだけで、拒絶反応が・・・・」
  「どの本を呼んでも、むずかしく書いてあるのでとっつきにくいし、
  別に専門家になるわけでもないし・・」
  よく聞く話ですが、そんなに嫌がらないで、これから話していくことに
  チョッと耳を傾けて下さい(^-^)b
  免疫って、結構おもしろいし、ハマルとやみつきになる不思議な世界を
  提供してくれますよ。
  現在、私たちが住むこの地球には、未知なものまで入れて
  約1000万種類の様々な生物が存在しているといわれています。
  ほとんどの生物は、あまり馴染みがないものですから、私たちの眼に奇異に
  映ったり、恐怖を抱かせることもしばしばです。
  怖いものには近づかない、自分に危険をもたらすものからは、速く逃げる。
  これって自己防衛の基本ですよね。
  暖かいものはいいけど、熱〜いものは危険。
  甘いものならいいけど、スッパイものは危険。
  これってみんな、自然が教えてくれた自己防衛であること知ってましたか?
  自然界に生息する生物は、生存競争のために互いを傷つけ、
  殺し、食べ、消滅させるか、あるいは自分や仲間の繁栄のために
  共存して生きています。
  私たちのからだに備わった免疫と呼ばれる機能は、
  生命が誕生したときには極々単純な姿でした。
  相手を見つけては食べるといった具合で、
  相手が敵でも味方でも食べてしまえとばかりに・・・ご馳走さまで〜す!
  目の前にいる相手を食べれば、自分の栄養分にもなるし、
  敵になる可能性(他のエサを横取りされる)も消えるし、一挙両得!!
  食べ方も、相手が逃げられないようにグルッと包み込んで・・、パクリ!
  この食べ方は、免疫機能の第一歩として扱われていて、食作用とか、
  ファゴサイトーシスというむずかしい言葉で呼んでいます。
  ムシャムシャ食べて消化していく状況は、エンドサイトーシスと呼ばれていて、
  まるで食べ物が口から食道を経由して胃の中におさまる姿にそっくりです。
  食べ物を見つけて、美味しかったから仲間に教えてあげよット!
  免疫の世界では、お母さんが食べ物を口の中でくずしてやって、
  それを幼児に食べさすように、仲間にエサの種類と味を連絡します。
  先ず、皆さんが難解だと思われている免疫の基本は、
  相手が敵か味方か、食べられるか食べられないか、
  そんな単純なところから始まるのです。
  ですから、相手が自分より強い場合には、自分は食べられてしまうかも・・

    
 < がん細胞と白血球は似たもの同士!? >

「がんと免疫細胞(白血球)」の関わりを考えますと、相互間には様々な攻防があることが
解ってきていますが、また反面、共通するところもあります。
がんは、「死にたくない、免疫細胞の攻撃から逃げたい! 他所に転移したい!」と
常に策謀をめぐらしています。体内のどの細胞にも備わっている、自己表現の場を借りて、
がん細胞は免疫細胞から巧みに逃げようとします。
その一つが、細胞表面上の糖の鎖(糖鎖)です。

正常細胞が環境因子などによって変化してできた変異細胞は、
正常細胞と形態や細胞成分がほとんど変わりないものから、
形が大きく、不定形、細胞成分や核構造に異常の観られるがん細胞に至るものまで
様々です。これに伴って、細胞表面上のマイクロビリ(微小絨毛)並びに糖鎖が、
当然発達します。

がんでも、臓器組織内において定着あるいは増殖、潜伏している時(非転移性がん)は、
マイクロビリや糖鎖は短いのですが、転移性に変化するころには、
発達して長い鎖になります(接着タンパク質、セレクチン)。
長く伸びたこの糖鎖によって、がんは免疫細胞からの監視を免れ、
セレクチンによって血管内を転がってゆく(接着現象)ことができるのです。
がんの血行性転移は、がん細胞の原発巣からの離脱、血管内への侵入・移行、
内皮細胞との接着、血管外への浸潤を経て成立します。

実は、免疫細胞も同じ手段でリンパ節内の高内皮細静脈(HEV)と呼ばれる
特殊な血管壁をくぐり抜けてリンパ管へと移動し、巡回パトロールを終えると、
再びもとの血管に戻ってくることができるのです。
つまり、免疫細胞の移動とがんの転移は同じ過程を取っているのです。
免疫研究の難しさは、こんなところにもあるのです。

     

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