最近呑んだ吟醸酒について |
2006年7−9月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
<<ここで飲まれている吟醸酒の購入元をお知りになりたい方は、メールをいただければ、早い時期(忘れない内)なら、販売店
をご紹介できます。>>
吟醸酒の会へのお誘い |
↑上のボタンを押すと、ご案内のコーナーに行けます。
◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇
2006年9月30日(土)
1.天法酒造(長野県千曲市) 純米酒 「天法 純米吟醸」 ひやおろし 原料米;−、 精米歩合;55% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \2,520 (税込) A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 味わい香り全てバランスとれて安心して飲める。バランス良く厚化粧のないスッピン美人で、いつまでも飲み続けられる。肴を助け邪魔しない。この値段では、他でマネの出来ないこなれた優良酒。
|
|
2.下村酒造店(兵庫県安富町) 純米原酒 「奥播磨」
袋吊り斗瓶取り 原料米;夢錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,730 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;17BYひやおろし。酸味がきつく、その酸味が優良な酒質を邪魔して飲み手を拒む。その酸味が善し悪しを判断するのではなく、その酸味も酒の個性か。 人肌に燗をしてみました。粗い部分と酸味が消えて、甘みと旨味が出て、とことんのめり込んで付き合える、湯上がり美人になった。燗時・総合評価5。
|
|
3.八戸酒造(青森県八戸市) 特別純米 「陸奥八仙」
中汲み無濾過生原酒 原料米;麹米/華吹雪 掛米/華吹雪、むつほまれ、 精米歩合;麹米/55% 掛米/60% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+3.0 【酸度】1.7 1.8L \2,800 (税込) A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; 色付いた液体の中に、独特の酸味が口中で広がり、アレっと思わせるが、その酸味が瞬間旨味に変わる。厚みのある旨味が豊穣感をかき立てる。夏前に飲んだ味とずいぶん変わっての再会に少々ガッカリする。 人肌に燗をしました。旨い!まろやか、欠点が消えて美酒最高。燗時・総合評価5。これからの季節、上品な湯豆腐には最高に合うでしょう。また人肌以上に燗をすると旨味が飛んで、悲しい結果になるので注意。
|
|
4.豊盃醸造元(青森県弘前市) 純米 「豊盃 純米しぼりたて」
生酒 原料米;華吹雪、 精米歩合;麹米55% 掛米60% 【アルコール分】17〜18度 1.8L \2,650 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4 E寸評;「しぼりたて」とラベルに入っていますが、当然夏を越したひやおろし。香り重いが味わい軽く、まだまだ飲み頃。 これも淡く燗をしてみました。酸味消えず、味わい変わらず、やはり冷やして飲む酒です。 2月に飲んだしぼりたての時とは大分味わいが変わってしまった。
|
|
5.神沢川酒造(静岡県由比町) 純米大吟醸 「天満月(あまみつき)」 原料米;麹米/山田錦 掛米/吟ぎんが、 精米歩合;麹米/35% 掛米/50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3.0 【酸度】1.3 1.8L \3,675 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; このクラスだと個性だとか、味わい深さとかが問われるが、それが無い。バランスはあるが味わい淡く物足りない。1年前にも飲んでいるが、本寸法の「正雪」の旨さには太刀打ち出来ない。
|
2006年8月26日(土)
1.男山本店(宮城県気仙沼市) 吟醸酒 「蒼天伝(そうてんでん)」
17BY 原料米;美山錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度 1.8L \2,850 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; 「仕込40号」(17BY=今年の酒) 味濃く、味わい深く、キレがある。味わい豊で飲み手を魅了する。
|
|
2.三宅彦右衛門酒造(福井県美浜町) 吟醸酒 「若洲の酒 桝々福々」 原料米;−、 精米歩合;50% 【アルコール分】15度 1.8L \2,857 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; サラリと口中を通り後味を残さない。決して味わい薄くはなく、吟醸酒の力を持っている。
|
|
3.菱友醸造(長野県下諏訪町) 純米吟醸 「御湖鶴(みこづる)」 原料米;−、 精米歩合;55% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,048 (税込) A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4 E寸評; 純米なのに吟醸のように香り高く、切れ味さわやか。味わい深く安心して楽しめる。
|
|
4.亀の井酒造(山形県鶴岡市) 純米大吟醸 「くどき上手」 原料米;山田錦、 精米歩合;48% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+1 【酸度】1.0 【酵母】小川・KA 1.8L \3,400 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 羽州有機酵素山田錦使用。 旨味十分、味わい深く香り豊。五味が渾然一体となって、飲み手をいつのまにか、くどかれ上手にしている。有機農法で丁寧に作られた素材と、技術の高さが旨味となって光っている。
|
|
5.松瀬酒造(滋賀県竜王町) 純米吟醸 「2006AZORA 松の司」 原料米;−、 精米歩合;50% 【アルコール分】16.6度 【日本酒度】+6 【酸度】1.4 【酵母】金沢酵母 720ml \2,250 (税込) A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評; AZORA(あぞら=水草)。 この酒販店で最近1番の味わいを持っていた為、1升瓶はアッという間に売り切れてしまった酒。コク深く、香り高く、旨味充分で濃厚な味わいを持つ。押し寄せる旨味が良いのか、深情けなのか。秋になったら、もっと味が上がる顔をしているので、今手を付けるのは本当はモッタイナイ。 |
2006年7月29日(土)
1.神沢川酒造場(静岡県由比町) 特別純米 「正雪 備前雄町」 原料米;備前雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \2,730 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; さわやかスッキリ、雄町の味わいが少ないが、サラサラと口中を流れていく。会の後で分かったのだが、3年物の正雪であったが、その古さを感じさせないのはお見事と言うほか無い。バランス良く清楚で呑みやすい。精米歩合の高い(グレードの高い)雄町とは違うが、普段飲む酒とすれば充分すぎる。
|
|
2.黒龍酒造(福井県永平寺町) 純米吟醸 「黒龍」 原料米;五百万石、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \2,752 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評;コクが深く、まろやか、五味がバランスし味わい深し。純米にしては、切れよくアル添しているくらいキリッとして姿かたちがいい。
|
|
3.喜多の華酒造場(福島県喜多方市) 純米吟醸 「金澤屋」 原料米;五百万石、 精米歩合;−% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \2,856 (税込) A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+ E寸評;1年前の古酒。香りは何処に飛んで行ってしまったのでしょうか。味わいバランス崩しざらざらしている。酸味が変質して下品な味わいを見せ始めているし、飲み頃のピークを過ぎていた。流通段階の保存法が悪かったのであろう、若き君と会いたかった。 |
|
4.喜多酒造(滋賀県東近江市) 辛口純米吟醸 「喜楽長」 原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+14 【酸度】1.6 1.8L \3,045 (税込) A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+ E寸評;辛口とうたっているが、その辛さは感じられない美酒。しかし、ちょっと歳を取りすぎた。老香が始まりピークを超した。残念です。 |
|
5.初亀醸造(静岡県岡部町) 純米吟醸 「初亀 べっぴん」 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+1 【酸度】1.3 1.8L \3,602 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 香り高く若々しく、5本の仲間からはダントツに抜きん出ている。旨いの一言で片付けられない、安心してお付き合い出来る美酒。会友からのご指名が多く早々の完売となった。 |
■7/16蔵元見学会に長野県佐久市の大沢酒造を訪ねました。明鏡止水、勢起、信濃のかたりべ、垂氷を造っている銘蔵です。
仕込み水は蓼科山伏流水の超軟水です。そのベースに乗った酒質は柔らかく喉ごしゆたかで、品性を感じます。創業元禄2年で320年の歴史と14代目社長の若々しい発想が現代日本酒を開花させています。
詳細の写真集はこちら。
§酒のトップページに戻る§ <200 6年 1−3月に移動> <2006年4−6月に移動>