◇◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ □□□□         □□□□  ■■■■ 吟醸酒ニュース ■■■■    最近飲んだ吟醸酒の報告   □□□□         □□□□                         月刊誌Vol.06  2000/9/25発行 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇   毎月1回吟醸酒を会で飲んでいます。有名無名の吟醸酒をリポートします。   吟醸酒について、これからの話は消費者(飲み手)という立場で毎月1回書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。旨いものは旨いと、不味いものにはハッキリ不味いと言います。   ◆月に一度の例会で飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。   A;味、B;香り、C;コストパーホーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。   私の独断で辛口評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。  ▽ここで飲まれている吟醸酒の購入元をお知りになりたい方は、メールをいただければ、早い時期なら、販売店をご紹介出来ます。(忘れない内なら)▽         ■■リポート■■  2000年9月23日(土)例会          ■1.青島酒造(静岡県藤枝市) 特別本醸造原酒「 喜久酔(きくよい)」ひやおろし  原料米;山田錦50%(麹)・豊錦57%(掛)  精米歩合;40%   【アルコール分】19.5度 【日本酒度】+4.5 【酸度】1.3  【使用酵母】静岡酵母  1.8L  \2,960 A;味4+、B;香り4+、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価4+ E寸評;5月に飲んだときのものより、コクとまろやかさが加わり、やんちゃだった娘が子供を一人連れて里帰りして来たように、円熟したいい女になっている。メロンのような甘ったるい香りと、独特の清涼感ある酸味が爽やかさをわき立たせ、丸みとコクのある味わいは安心感があり素晴らしい。  吟醸酒と呼称しても何らおかしくないのに、特別本醸造と控えめなところが、何とも奥ゆかしく、合わせて蔵元の自信がかいま見える。 ■2.弥彦酒造(有) (新潟県西蒲原郡弥彦村) 生原酒 「越乃白雪」 ひやおろし  原料米;新潟産五百万石・雪の精  精米歩合;60%   【アルコール分】17〜18度? 【日本酒度】+5 【酸度】1.2  1.8L  \2,980(税込)  A;味4、B;香り4、C;コストパーホーマンス4、D;総合評価4 E寸評;控えめの香りだが、飲み込んだ後の戻り香が華やかに口中を占領する。日本酒度、酸度とも上記「喜久酔」と似たり寄ったりなのに、「喜久酔」の辛口に比べ「越乃白雪」は甘口に感じられる。柔らかい甘さが、日本酒の暖かさ、まろやかさに繋がる味わいは、飲みやすく肴を選ばない。 ■3.府中酒造(株)(茨城県石岡市) ”濾過前取り”太平海(たいへいかい)「吟醸瓶囲い」(生詰)ひやおろし  原料米;五百万石  精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度【酸度】1.4  1.8L 3,200円  総生産数限定1,100本 A;味4、B;香り3+、C;コストパーホーマンス3+、D;総合評価4 E寸評;6月の純米吟醸「40日もろみ」が金賞受賞酒 に負けない力を持っていたのが忘れられず、今回瓶囲いを呑むが、全くの別物で味も香りも違う。  香りは控えめ、味は切れが無く、夏の花火を見終わった時の様にむなしさとはかなさを感じる。今まで飲んできた「太平海」シリーズとは別物で生きが無く悲しい。しかし、これだけ飲んでいれば、肴や飲みどきを選ばず飲める吟醸酒である。府中酒造さん、今回はどうしたんですか。 ■4.金水晶酒造店(福島市) 純米大吟醸 「金水晶」  原料米;不明  精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3  【酸度】1.4   720ml \1,942 A;味3+、B;香り3、C;コストパーホーマンス3−、D;総合評価3 E寸評;香りも少なく味も特別取り立てた特徴が見られない、純米酒の欠点が出てしまった様な吟醸酒。大吟醸の呼称はどこから見ても背伸びのしすぎ。 ■5.笑四季酒造(滋賀県水口町)  大吟醸 「笑四季(えみしき)」  原料米;山田錦  精米歩合;40%  【アルコール分】15.5度  【日本酒度】+5.0 【酸度】1.4 【使用酵母】アルプス   720ml \2,427 A;味4、B;香り4、C;コストパーホーマンス3、D;総合評価3+ E寸評;透明に近い吟醸酒の中濃い琥珀色に染まった酒色は異色。山田錦 40%は会の全員が?  山田錦の味わいでないし、それにしてみればレベルがいまいちこなれていない。  精米歩合からみれば大吟醸でも仕方がないが、レベルからすれば大はいらない。 ---------------------------------------------------------------------  ◆「ひやおろし」について、お酒は寒造りと言って冬の寒い時期に造られ、春先になって新酒としてデビューをしますが、その酒によっては寝かせた方が益々その旨みを増す物があります。その為蔵の涼しい所で保存貯蔵され、外の夏の暑さを越えて涼しさを感じる頃、秋口に熟成し円やかになって出荷されるものを「冷やおろし」と言います。このごろから涼しさも加わり酒質の変化が少なくなり、瓶詰めする時に火入れをしないで出荷されることが多くなります。 貯蔵前に一度火入れをされているのが普通ですので、これを「生詰め」と言います。一度も火入れをしていない「生酒」とは違います。  冷やおろしと言っても、冷やで呑むだけの酒ではなく、燗をしても、常温でも、冷やでも、呑み方を言っているのでは無いので、好みによって自由に呑みます。  「吟醸瓶囲い」とは保存貯蔵される時、大きなタンクでそのまま貯蔵されますが、開口部が大きくどうしても香りが逃げやすく空気に触れる部分が多きい為酒質の変化を受けやすくなります。そこで斗瓶(1斗入り瓶。1升瓶10本分の大きな瓶)に入れて貯蔵します。出荷されるときはまたタンクに戻し均質にしてから瓶詰めされます。手間暇が掛かるので、ごく一部の吟醸酒にしか用いられません。  ◆前から気になっていた事。 今回特に目に付いたことだが、ある吟醸酒のラベルに、全国新酒鑑評会・金賞連続受賞蔵(酒ではなく蔵)と大きく金箔で印刷されている。当然この吟醸酒が金賞受賞されたのではなく、この蔵から出た”ある吟醸酒”が取ったもので、この酒とは何ら関係ないが、この肩書きに騙される。  この酒は「日本酒造組合中央会」の酒プラザ(東京)で買い求めた物だが、プロであるはずの彼女達ですら、「金賞受賞酒ですがよろしいですか?」と聞いてきた。確かにそのコーナーにあったし、私も言われるがままに買い求めたが、やはり、飲むと違いがはっきり分かりる。私も改めて肩書きを読み直してみると、金賞受賞酒と金賞受賞蔵の違いを正確に記しているが、たった一字の違いと意味は、素人(普通)の飲み手には理解できず、誤解を与える表記ではないだろうか。  毎年金賞受賞酒を出している大手の蔵元でも、普通酒が大部分で金賞受賞酒はテスト的に少量しか作らずにいるが、そこの普通酒は美味しいかと言えば違う。やはりその肩書きを蔵元名より大きく表示するのはいかがなものかと思う。特に吟醸酒にこの肩書きを入れれば誤解を生む元だし、分からない人は「金賞受賞酒はこんな味で日本酒は大したことが無いもの」だと思えば、日本酒全体のイメージダウンにつながるのではないか。  笑い話で、消火器を訪問販売する悪質セールスマンがお客に「消防署の方から来ました」と一言振ってから、セールスを始めるとお客は「消防署から来たのでは・・・」と思い騙されるが、セールスマンは決してその様には言っていず、「消防署の方から(歩いて)来た」と言ったにすぎないのに、と思っている。笑い話の内は良いが。 実はこの話は笑い話と言ったが実話で、誤解を与えるような言い回しは何時、いかなる時でも、やはり感心しない。  皆様はいかがですか? −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−            ★最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。 次回も又よろしく、お願いします。  次回10/末頃発行予定 ホームページで、もっと詳しいことを書いています。また、呑んだ吟醸酒の写真も掲載しています。お立ち寄りの上、足跡を残して下さい。 http://www2.ttcn.ne.jp/~ginjo/ です。 E−メール:ginjo@mx4.ttcn.ne.jp ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    =編集後記=  吟醸酒って美味しいですよね、良き友と良き会話と良き肴で、最高です。 (^o^)    私のホームページに、「落語の舞台を歩く」のコーナーを開設しました。  デジカメを持って現地を撮してくれば、それで完成すると思っていたら、 いやいや大変、歴史の本をひもといて、事実とのすりあわせ。 古地図を調べて現代と重ね、地名も調べ直し、 参考文献も間違いがあったり、落語家の口演も記憶違いや言い回しの違い、 はたまた架空の物や別の言葉にわざわざ置き換えてあったり、 ドタバタです。今はデジカメより図書館通いです。                              編者:吟醸 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー