◇◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ □□□□         □□□□  ■■■■ 吟醸酒ニュース ■■■■    最近飲んだ吟醸酒の報告   □□□□         □□□□                        月刊誌Vol.08  2000/11/27発行 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇   毎月1回吟醸酒を会で飲んでいます。有名無名の吟醸酒をリポートします。   吟醸酒について、これからの話は消費者(飲み手)という立場で毎月1回書 いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか 味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思い ます。  よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる 時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発 言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。旨いものは旨い と、不味いものにはハッキリ不味いと言います。   ◆月に一度の例会で飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への 判断基準を書きます。   A;味、B;香り、C;コストパーホーマンス、D;総合評価を、各5点評 価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表しま す。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてし まうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。   私の独断で辛口評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基 準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒 の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間 違ってはいないと思います。        ■■リポート■■   2000年11月25日(土)例会 ■1.青島酒造(静岡県藤枝市) 喜久酔「純米吟醸 松下米50」       原料米;無農薬有機肥料栽培山田錦 精米歩合;50%  【アルコール分】 15.5度 【日本酒度】+5 【酸度】1.2 【仕込水】大井川水系南アルプス伏 流水 【酵母】静岡酵母    【収穫年月日】1999年(平成11年)10月   【飲み頃温度】12度前後    【作者】松下明弘 【圃場】静岡県藤枝市松 下圃場   720ml \3,570 (税込・送料別) A;味5、B;香り4+、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価5 E寸評;まず旨い。品がイイ。素直で極自然。爽やかで媚びもせず自己をぎら ぎら表に出さず、何の気負いも無く、ただ自然にそこにある。五味が絶妙にバ ランスして旨いという一点で集約されていて、飲み後のなんとすがすがしいこ とか。香りも出しゃばらず、口中には旨かったという感動しか残らない。  私は何時も蔵元の能書きに”眉にツバ付け”て読んでいるし、相反する結果 にガッカリする事が多い。しかし、この酒のメッセージを読むと、「ふるさと の米で本物の地酒を造りたい」との蔵元と農家の熱意をそのまま酒の中に見る ことができる。           ■2.青島酒造(静岡県藤枝市) 喜久酔 「純米大吟醸 松下米40」     原料米;無農薬有機肥料栽培山田錦 精米歩合;40%  【アルコール分】 15.5度 【日本酒度】+3 【酸度】1.2  【仕込水】大井川水系南アルプス 伏流水  【酵母】静岡酵母  【収穫年月日】1999年(平成11年)10月   【飲み頃温度】12度前後  【作者】松下明弘 【圃場】静岡県藤枝市松下 圃場  720ML \4,500(税込) A;味5、B;香り4+、C;コストパーホーマンス4+、D;総合評価5 E寸評;上記「純米吟醸 松下米50」に同じ。 会でも好みが、真半分に割れた。ここまで来ると、質の優劣ではなく、好みの 問題になってくる。どちらもイイ。買うなら「純米吟醸 松下米50」で充分。 強いてその差は、50は甘く柔らかく、40は研ぎ澄まされて気高い。                          ■3.麒麟山酒造(新潟県津川町) 鑑評会出品酒 「KIRINZAN kagayaki」 麒麟山かがやき原酒生  原料米;山田錦  精米歩合;38%  【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+4 【酸度】1.2  720mL \4,100 (税込) A;味4+、B;香り4、C;コストパーホーマンス4、D;総合評価4+ E寸評;清酒の鑑評会は国税局の主催で、全国11ブロックで毎年春と秋の2 回行われます。この地区は関東信越国税局管内となり、埼玉、茨城、栃木、群 馬、長野、新潟の6県 の蔵元から出品されます。 麒麟山酒造では鑑評会出品酒と同じお酒を皆様にお届けできないかと考えまし た。「KIRINNZAN kagayaki」は鑑評会の雰囲気、出品に向けての蔵人の緊張 感を皆様に 少しでもお伝えできたらと思って製品化しました。(蔵元の説明 より)  まわるい筒状のパッケージに入った吟醸酒。まるで表彰状を取り出すよう で、幕開けの期待感を盛り上げる。香りはペパーミント系で控えめ、日本酒の 旨みが口中で広がり、爽やかに広がり消えていく。呑みやすく、肴を引き立て じゃましない。雑味が無く喉ごし爽やか。          ■4.小玉醸造(秋田県飯田川町) 本醸造大平山「秋田生酉元(きもと)」 原料米;美山錦 精米歩合;65%  【アルコール分】15.2度  【日本酒度】+2.0 【酸度】1.5  1.8L \1,890(税別) A;味3、B;香り3−、C;コストパーホーマンス3、D;総合評価3 E寸評;山藤章二 描く落語家の古今亭志ん生がラベルに印刷された酒。それ につられて購入。 吟醸酒と比較するのは大変可哀想。ごく普通の本醸造酒であるが、これだけの 素材を使っているので有ればもう少し、何とかなったと思われるのに。普通酒 なみで残念。燗をしても変化なし。 蔵元からの配送が、日時を指定したにもかかわらず、守れないのはいただけな い。到着指定日に発送しているとは。           ■5.桝田酒造店(富山市) 満寿泉 純米大吟醸 「SUPECIAL」 原料米;山田錦 精米歩合;50%以上 【アルコール分】16〜16.9度   720mL 会員持ち込み酒 A;味3、B;香り3、C;コストパーホーマンス 会員持ち込み酒、D;総 合評価3 E寸評;吟醸酒を3ヶ月間オークの樽で寝かせた物。白ワインを貯蔵してあっ たオーク空き樽と無垢のオーク樽14:1でブレンドしてある。ワインと同じ ように、樽1本に対して1升瓶3本分が貯蔵中に減量している。  グラスの中の酒は年数物の白ワインの様に色づいている。オークの香りが呑 み終わった後にも主張し続けている。手を加えすぎで、味も日本酒の旨みコク、 風情をことごとく壊している。お変わりはしたくない。チャレンジ精神は買う が、もっと素肌美人を造って欲しい。           ■6.お福酒造(新潟県長岡市) 奥越後純米大吟醸 「お福正宗」 袋絞り 原酒 低温貯蔵熟成 原料米;五百万石 精米歩合;50% 【アルコール分】15.8度 【日本 酒度】+5 【酸度】1.4  720mL 会員持ち込み酒 \2,000(税別) A;味4、B;香り3+、C;コストパーホーマンス4、D;総合評価4 E寸評;低温貯蔵熟成とは難しいもので、過熟成のためひね香が出始めてい る。出荷の時期が遅すぎた。もう少し早い時期に呑みたかった。香りは控え め、味は図太く力がある。  会員持ち込み酒ではあるが、あえて価格を出した。この値段で、この品質は 大変買いやすい。ピークを過ぎたから安いとは思いたくない。    ■7.松瀬酒造(滋賀県竜王町) 純米吟醸 松の司「花伊吹」 原料米;山田錦 精米歩合;50%  【アルコール分】15.8度 【日本 酒度】+3.0 【使用酵母】K−14(金沢)  1.8L \3,690(税別) A;味4+、B;香り4+、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価4+ E寸評;生酒特有の開栓をするたびに、ポンと景気の良い音を響かせる。純米 酒でありながら、吟醸香の良さは強すぎず、弱すぎず品良く秀逸。味も吟醸酒 らしく堂々と、そして凛としている。そう!山田の旨さが100%出ている。 濃厚な旨みの中に適度な酸味が重なり、下手な肴は合わない。強い主張を持っ た肴だけがペアーに成ることを許される。           ■番外.ワイン。 ジョルジュ デュブッフ社(フランス ブルゴーニュ)  「ジョルジュ デュブッフ マコン・ヴィラージュ ヌーヴォー2000」 A;味3+、B;香り3+、C;コストパーホーマンス 会員持ち込み酒、 D;総合評価3+ E寸評;ボジョレー・ヌーボーが世間を騒がせているが、そのボジョレーの北 に隣接する所の産。新酒独特の爽やかさ、適度の酸味とフルーティー感。雑味 が無く熟成されたシャルドネ種の旨さが伝わる。しかし、飲み疲れする。 ボジョレー・ヌーボーで旨いものに当たった試しがないが、これは違う。しか し、750mlで3000円近くする価格は日本酒に置き換えると高すぎる。 これはワイン全体に言えることで、吟醸酒ではもっとレベルの高い感動ものが 飲める。ヌーボーだから「ま、いいか」では将来が気がかり。 --------------------------------------------------------------------- ◆青島酒造 喜久酔「純米吟醸 松下米50and40」 の酒造米について、 (蔵元のメッセージから)「ふるさとの米で本物の地酒を造りたい」・・・ これは酒造家にとってかけがいのない夢です。  このお酒は一人の熱い心を持つ農業青年との出会いから誕生しました。藤枝 市の松下明弘さん(38才)が「自分の田んぼで酒造米を作らせてほしい」と蔵を 訪ねて来たのは平成8年春。 彼の米作りは田おこしをせず、化学肥料を使わず、自家製の有機発酵肥料で土 を肥やし、大地に稲をしっかり根付かせるというものです。 化学肥料のかわりにセリ・ヨモギ・ドクダミ等の野草の抽出液も使用します。 彼はこの農法で栽培が難しいといわれている酒造好適米・山田錦を見事に作り 上げました。 田んぼには、この地で数十年来お目にかかれなかった「豊年エビ」も回帰し、 これを餌にする蛙や水性昆虫が集まり、さらに、これらを餌にする様々な鳥が 飛来しました。自然本来の生態系が蘇ったのです。 私たちも一緒に田んぼに入り、苗を植え、毎日雑草取りをし、収穫の喜びを分 かち合いました。 山田錦という米の特性も、無農薬有機栽培の難しさも、その価値も田んぼでじ っくり学びました。  この体験を通じ、私たちは「酒造りとは仕込みの冬だけではなく、種籾を選 ぶ春から、稲刈りの秋までを含め、ふるさとの四季とともに醸していくものだ 」と実感しました。 松下米を託された杜氏の富山初雄さんは格別な思いで酒造りに取り組みました。 彼は37年間、喜久酔ひとすじに酒を醸し続ける熟練杜氏。 酒米・松下米の真価を仕込みの現場で最初に見出したのも彼でした。 松下米は高精白をしてもヒビ割れせず、洗米しても胴割れせず、良い蒸し米に なり、理想的なツキハゼ麹が出来たのです。 秋上がりするといわれている山田錦の実力を確かめようと、熟成には低温でじ っくり時間をかけました。 そして充分に手応えのある純米大吟醸酒に仕上が りました。この結果を通じ、私たちは「酒造りは米作りから」という思いを改 めて胸に刻みました。 飲む人を感動させる酒とは、感動を知っている者が造った酒だと思います。若 い稲作農家の真摯な姿勢に感動し、彼が育てた稲に宿った米の力を受け継ぎ、 「感動を伝えることのできる酒」を目指して造りました。  以上  改めてコメントを差し挟むこともないでしょう。この熱さ、熱意がイイ吟醸 酒を造り、他の蔵元にも影響を与え、日本酒の向上に繋がるのだと思います。 ◆今月から外気も下がってきたので、冷蔵庫での保管及び飲む温度を、常温で 楽しんでいます。 ◆酒だけではなく、人に感動を伝えるのは、素肌にいろいろ化粧を施して美人 に仕上げるのでは無く、もって生まれた物が美人ではなくては成らないと思う。 基本の所がしっかりと造られていなければ、何にも成らない。  女性でも化粧でごまかしているのではなく、スッピンで綺麗な人が本当の美 人だと思う。この美人に薄化粧を施せば、”鬼に金棒”。 また、”鬼も十八、 番茶もでばな”と言うように、蔵出しのベスト時期と言う物があるはず、それ をはずしてしまえば、ただの鬼であり、番茶でしかない。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−            ★最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。 次回も又よろしく、ご購読の程お願いします。  次回12/末頃発行予定 ホームページで、もっと詳しいことを書いています。また、呑んだ吟醸酒の 写真も掲載しています。お立ち寄りの上、足跡を残して下さい。 http://www2.ttcn.ne.jp/~ginjo/ です。 E−メール:ginjo@mx4.ttcn.ne.jp ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    =編集後記=  吟醸酒って美味しいですよね、良き友と良き会話と良き肴で、 最高です。 (^o^)                               編者:吟醸 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー