◇◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ □□□□         □□□□  ■■■■ 吟醸酒ニュース ■■■■    最近飲んだ吟醸酒の報告   □□□□         □□□□                        月刊誌Vol.10  2001/1/29発行 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇   毎月1回吟醸酒を会で飲んでいます。有名無名の吟醸酒をリポートします。   吟醸酒について、これからの話は消費者(飲み手)という立場で毎月1回書 いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか 味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思い ます。  よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる 時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発 言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。旨いものは旨い と、不味いものにはハッキリ不味いと言います。   ◆月に一度の例会で飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への 判断基準を書きます。   A;味、B;香り、C;コストパーホーマンス、D;総合評価を、各5点評 価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表しま す。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてし まうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。   私の独断で辛口評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基 準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒 の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間 違ってはいないと思います。        ■■リポート■■   2001年1月27日(土)例会   ■1.今田酒造本店(広島県安芸津町) 純米吟醸 ”おりからみ”  「富久長」 中汲み槽しぼり  原料米、精米歩合;不明  【アルコール分】15〜15.9度 A;味5、B;香り4+、C;コストパーホーマンス・お勧め物、 D;総合評価5 E寸評;ラベルのデザインがまことにイイ。色、書体、センスが秀逸。  中身の酒は・・、グラスに注がれた液体はわずかに白濁している。 ”おりからみ”で、おりを残した新酒で、新酒独特の清涼感のある酸味と、 ふくいくたる濃厚な旨みが乗った味わいに、品のイイ香りがその上に乗っ ている。あか抜けしたお澄まし美人でしょうか。  「この富久長は蔵元の娘さんが酒造りをしております。通常は取り除く、 ”おり”をあえて残して、旨みを残しております。」(酒販店記) そのとおりだと思います。   ■2.河野合名(会津若松市) 吟醸・熟成酒「春高楼」    原料米;八反錦 精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度   【日本酒度】+2 【酸度】1.5    1.8L @3,000(税別)  A;味5、B;香り4+、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価5 E寸評;日本で一番小さな蔵元(また出てきた)と自称。ラベルも大奥様が 手作り、一枚一枚墨痕鮮やかに和紙に手書で作られている。3年物と聞いて いるが、私の大嫌いな”ひね香”もなく、芳醇で、奥深い味わいと、造り手 の品性がうかがえ、含み香の素晴しさはこれぞ吟醸酒と言うとこであろう。 この値段で出荷される蔵元の良心がひかる。いいとこの”熟女”此処に有り。 前回評ですが、全く品質に変わりはなく安心して飲める佳酒である。   ■3.黒龍酒造(福井県松岡町) 吟醸垂れ口 「黒龍」  原料米;五百万石  精米歩合;55%  【アルコール分】18.5度   【日本酒度】+5.0 【酸度】1.4  【使用酵母】蔵内保存酵母使用  1.8L \2,800(税別) A;味5、B;香り5、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価5 E寸評;濃厚なお酒の好きな方はお見のがし無く! これは旨い!(酒販店談)  酒販店の話は片面だけを伝えることが多いのですが、これは本物。 おり絡みの酒で、わずかに白濁している。図太くと言うより、小股の切れ上 がった均整の取れたお嬢さんとでも言いましょうか。山田錦?との声も出て 来るくらい、安定感のある味わい。爽やかで上品な香り。この値段の倍する ある吟醸酒と大変似通った味わいと品性が伺える。C;コストパーホーマンス 5+を付けたいくらいの佳酒。あまりの良さに会員に誘拐略奪された。   ■4.菊姫(石川県鶴来町) 無濾過山廃純米 k-7 「菊姫」  原料米;山田錦 精米歩合;−  【アルコール分】 19〜20度  1.8L \3,429 (税別) A;味5、B;香り5、C;コストパーホーマンス4+、D;総合評価5 E寸評;山廃の独特の味わいを伴い、独特の旨みと、酸味、甘み、コクが別々 に一度に押し寄せてくる。これも酒販店一押しの吟醸酒ではある。なるほど。 個性豊かとはこの事かと思われるほど、他ではまねの出来ない酒質を持ている。 好き嫌いは分かれるであろうが、万人に好かれる八方美人より、貴方だけよと 膝を詰めてくる、美女も可愛い。アルコール度数の高さが気にならないほど、 自然な味わいに仕上がっている。 これも、あまりの良さに会員に誘拐略奪された。   ■5.本江酒造(富山県魚津市) 吟醸生酒 「かげろうの花」 原料米;山田錦60%+五百万石40%  精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+3 【酸度】1.2  【使用酵母】協会9号  1.8L \2,720(税別) A;味4、B;香り4、C;コストパーホーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 前回のこの吟醸酒は今までのロットと歴然と違っていた。数年前の 元気な頃の姿に戻って、なお、余りある。晴れ着の振り袖を着飾った娘さんの ように、華麗で煌びやかで華があった。 しかし今、この振り袖美人を逃したら、飲む酒が無いとの思いは、ロット (樽)の変更で今はない。元の標準酒に戻っていた。あの振り袖美人は何処に 行ってしまったのか。うたかたの華であったのか。     ■6.酒六酒造(愛媛県内子町) 特別本醸造 「伊予の燗酒」   原料米 精米歩合;不明  【アルコール分】15.0〜16.0度   1.8L \1,990(税別) A;味4+、B;香り4+、C;コストパーホーマンス4+、 D;総合評価4+(燗酒時) E寸評;勉強は出来なくても、運動会には俄然輝き出す子供がいるように、 燗酒との命名からも判るとおり、燗をすると俄然と輝きを増して、別物のよ うに旨みを増す。 今回の会は雪の中で開かれたせいか、この燗をした酒が 一番の人気者になった。吟醸酒ではないが、酒本来の旨さを出して、燗酒と いう特化した造りがイイ。安心して飲める日本酒がここにもあった。冬、燗 をして飲むのはごく普通のことで、それに適した酒はなかなか見つからない 物だが、本道をゆくコンセプトに脱帽。1升瓶が空になったのは、これだけ である。   ■7.新日の丸工場(秋田県増田町) 東北清酒鑑評会 仙台国税局長賞 受賞酒 「まんさくの花」 袋吊り   原料米;山田錦 精米歩合;40%  【アルコール分】 16.8度  【日本酒度】+3.5 【酸度】1.1 【使用酵母】協会9号  A;味4+、B;香り4、C;コストパーホーマンス贈答品、D;総合評価4+ E寸評; 淡麗爽やか、美味しいだろうと言う押しつけが無く、ごく自然に 口の中で旨みが解けていく。酸味が口の中に残りますが、優しい味わいで飲 みやすい。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−             ★最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。 次回も又よろしく、ご購読の程お願いします。  次回2/末頃発行予定 ホームページで、もっと詳しいことを書いています。また、呑んだ吟醸酒の 写真も掲載しています。お立ち寄りの上、足跡を残して下さい。 http://www2.ttcn.ne.jp/~ginjo/ です。 E−メール:ginjo@mx4.ttcn.ne.jp ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    =編集後記=  吟醸酒って美味しいですよね、良き友と良き会話と良き肴で、 最高です。 (^o^)  今回は、雪の中、中止しようかとも思いましたが、好き者、私を含め 数人が真っ白になりながら、集まってくれました。盛会の内に美女達に囲ま れ楽しい会になりました。 「日本酒の不人気について」 もっと日本酒を飲んで応援して下さい との返信に以下のメールを出しました。その時の文です。 日本酒が石数を落とすのは、いまだ、普通酒に依存しているからで、 落ちている原因を統計から良く見ると、直ぐ判ります。 吟醸酒、本醸造酒はグラフで横這いです。頑張っているのです。 ところが、普通酒だけが激減しているのです。 どの世界でも、不味ければ売れません。 ラーメン、寿司、から始まり全てそうです。 不味ければリピーターは有りません。 消費者は正直なのです。 日本酒の生きる道は上質の酒を造るのみだと思います。 今の若い人達に聞くと、飲み口が嫌だ(マズイ)、二日酔い (悪酔い)する、と言います。これらは普通酒の日本酒です。 私は彼等、彼女達に上質の日本酒を飲ませると、カルチャーショックを 受けるようです。 若い人達は、本能的に不味いものから、遠ざかっているだけです。 本当に美味しい酒を捜す道の中で、名前だけのプレミア酒に騙されるのです。 でもこれが売れると言うことは、日本酒を捨てず、上質酒を求める 人達が沢山いると言うこと、だと私は思っています。                             編者:吟醸 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー