◇◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ □□□□         □□□□  ■■■■ 吟醸酒ニュース ■■■■    最近飲んだ吟醸酒の報告   □□□□         □□□□                        月刊誌Vol.11  2001/2/25発行 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇   毎月1回吟醸酒を会で飲んでいます。有名無名の吟醸酒をリポートします。   吟醸酒について、これからの話は消費者(飲み手)という立場で毎月1回書 いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか 味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思い ます。  よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる 時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発 言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。旨いものは旨い と、不味いものにはハッキリ不味いと言います。   ◆月に一度の例会で飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への 判断基準を書きます。   A;味、B;香り、C;コストパーホーマンス、D;総合評価を、各5点評 価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表しま す。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてし まうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。   私の独断で辛口評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基 準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒 の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間 違ってはいないと思います。        ■■リポート■■   2001年2月24日(土)例会   ■1.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 純米吟醸 「空蔵(くぞう)雄町」 原料米;雄町 精米歩合;50%   【アルコール分】17度 【日本酒度 】+5 【酸度】1.6   1.8L @3,900(税別)  A;味5、B;香り5、C;コストパーホーマンス4+、D;総合評価5 E寸評;空蔵の旨さは前に呑んで判っているので、今回は「雄町」と「山田錦 」の差について、呑み比べてみました。  雄町は新しいロットになり、これが前回の最後の数本の内の1本です。 しっかりした飲み口と旨みには品性と品格が有る。何者にも媚びず、しっかり したコンセプトと技術力が相乗して素晴らしい佳酒に仕上がっています。安心 して呑めるというのは最大の美点で味も香りも貴方の言うがまま。貴方任せの 旨さは素晴らしい。  この蔵元は熟成した酒に特徴があるので、新しい雄町はどうであろうか? ■2.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 純米吟醸 「空蔵(くぞう)山田錦」 原料米;山田錦 精米歩合;60%   【アルコール分】17度 【日本酒 度】+3 【酸度】1.3   1.8L @2,800(税別)  A;味4+、B;香り4+、C;コストパーホーマンス4+、D;総合評価 4+ E寸評;「雄町」と比べると精米歩合が50%と60%で同じレベルでの比較 になりませんが、同じ蔵元でどの様に遊んでいるのかを見ると。  比べてはいけない。山田錦の60%の出来である。精米歩合も仕上がり具合 も。決してマズイとか名前倒れとかではなく、余裕で造られたこの酒は雄町の 「俺を見て見ろ」と言う強い意志がない。反面呑みやすく、肴を選ばないし、 呑み疲れしない。今回、美女が多かったので損はしている。  山田錦を50%精米で仕上げたら、素晴らしいものに成るであろう。その時 に、もう一度チャレンジしたい。 ■3.横沢大造(岩手県紫波町) 月の輪 活性生酒 「滓酒(おりざけ)」 原料米、精米歩合;−   【アルコール分】18〜18.9度 900ml 会員 持参酒  A;味4+、B;香り4、C;コストパーホーマンス・持ち込み酒、D;総 合評価4 E寸評;おり(滓)が含まれ、酵母がまだ生きている活性酒。王冠に穴が開い ており、横にすると吹きこぼれるというもの。底にはおりが沈んでいて、軽く 混ぜてから、杯に注ぐ。白濁した酒で、ミルクの様な、甘酒のような風合いを 持つ。  滓の旨さと、新酒の炭酸味がフレッシュ感を倍加させています。今しか呑め ない、新酒。滓が口の中でざらついているのが気に掛かります。 ■4.酒田酒造(山形県酒田市) 生酒 かおり吟醸 「上喜元(じょうきげ ん)」 五百萬石 原料米;五百萬石 精米歩合;−%   【アルコール分】17〜18度   1.8L @2,600(税別)  A;味5、B;香り5、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価5 E寸評;米の甘みが乗って、濃度が高いと感じるぐらいに旨みがギュッと詰 まった、素晴らしさは絶品である。雑味とか品性とか言うレベルを超越して、 日本酒の頂点にいる佳酒。造りとか酒の規格とか能書きは一切要らない。値段 からすると、誉めすぎのようだが、値段を隠して呑み比べると、これが1番に なる。コストパーホーマンスは最高でこれ以上はない。蔵元に感謝。(だから といって、次回値上げしないで下さい) 例会の終わりに価格を公表すると、 どよめきと感嘆の声が挙がる。個々に買いに行くことだろう。 ■5.廣木酒造本店(福島県会津坂下町) 特別純米 無ろ過生原酒 「飛露 喜(ひろき)」 原料米、精米歩合;−   【アルコール分】17〜18度   1.8L @2,430(税別)  A;味5、B;香り4+、C;コストパーホーマンス5、D;総合評価5 E寸評;ひやおろしとは表示されていないが、1年もの以上の熟成感と旨さの 濃度感は最高。柔らかく米の甘さが口中を覆い、酒を呑む事に何ら抵抗が無く 飲み干してしまう。後に上手かったという感動だけが残り、次の1杯を催促す る。香りも出しゃばらず、酒質を引き立てる。これもコストパーホーマンスは 最高でこれ以上はない。蔵元の熱意と誠意を感じる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−             ★最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。 次回も又よろしく、ご購読の程お願いします。  次回3月末頃発行予定 ホームページで、もっと詳しいことを書いています。また、呑んだ吟醸酒の 写真も掲載しています。お立ち寄りの上、足跡を残して下さい。 http://www2.ttcn.ne.jp/~ginjo/ です。 E−メール:ginjo@mx4.ttcn.ne.jp ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    =編集後記=  吟醸酒って美味しいですよね、良き友と良き会話と良き肴で、 最高です。 (^o^)  「日本酒の不人気について」2.(続き) 本当に美味しい物(良い物)には、必ずリピーターが有るものです。寿司屋で もラーメン屋でも飲み屋、お菓子屋、蕎麦屋、果ては映画や・・ランドや美術 館ですらそうです。皆様お使いのホテルですら固定客で持っています。何を言 おうとしているかは既にお解りの通り、日本酒でも同じで、例外はありません。 不味いものを造っていればビールやワインに負けてしまいます。又同業の蔵元 同士の競争も有るでしょう。最後に勝つものは「上質な日本酒」を造り出す所 だけだと思います。 「上質な日本酒」とは、何も吟醸酒だけだと言うことではありません。晩酌に 向く酒、燗あがりする酒、飲み屋でしみじみ味わえる酒、食後の仕上げの酒、 それぞれに適した酒が出来ると思います。それには、酒を造るときのコンセプ トがやはり大事だと思います。 ただ大量生産により、コストを切りつめ、宣伝の力で売る方法と中小のような 蔵元はやはり前に書いたように「上質な日本酒」を造ることが、何よりも大事 ではないかと思います。その内に大手メーカーも力に任せて「上質な日本酒」 を忘れていると、どんでん返しが必ず来ます。いえ、既にグラフに現れている ので、心配です。  日本酒は「上質な日本酒」を造る中小の蔵元が牽引する時代に入ったようで す。今回の感動モノの吟醸酒達は皆、中小の蔵元の酒達です。その様な酒達が 日本酒を牽引して行くでしょう。                              編者:吟醸        ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー