京都市左京区・右京区ほか

富田靖子さん出演映画「姉妹坂」のロケ地


 昭和60年公開の大林宣彦監督作品。四姉妹と2人の青年の人間模様を京都の四季の移ろいとともに描く美しい作品であるが、富田さん出演映画としても、大林映画としても、前作の「さびしんぼう」と比較すると、低評価になっている感があることは否めない。
 
 確かに、富田さんの役柄がメインストーリーからちょっと外れているし、大学生の描写がノスタルジック過ぎてたりして、引いてしまう部分もあるのだけど、京都ロケの美しさと挿入曲のリストの「ため息」が醸し出す叙情感においては素晴らしいものがあるなと個人的には思っている。

 パンフレットの監督の解説によれば、リストの「ため息」は「さびしんぼう」のショパンの「別れの曲」との対比で使っており、そういう意味で「姉妹坂」と「さびしんぼう」は鏡合わせの関係にあるという。そういう監督の思いを心に留めて再度みなおしてみると「姉妹坂」の別の側面を味うことができるかもしれない。


(探訪日:平成15年5月24日)
(太秦駅は8月16日、トロッコ保津峡駅は10月24日)


日向大神宮への坂道


 藍(富田さん)が杏(沢口靖子さん)の車を追いかける別れの場面で使われた。
 映画では写真左の石垣付近に祠が小道具として置かれ、富田さんの座りこんで泣きじゃくる場面が効果的に演出されている。
 ここからもう少し上ったところに、「なんださか、こんなさか・・・」の「姉妹坂」がある。

地下鉄東西線蹴上駅より徒歩約15分

蹴上・山之内浄水場取水池

 日向大神宮への参道の入口付近にある取水地内の建物で、茜(浅野温子さん)の入院先の病院の外観として使われた。
 玄関前で雨に濡れながら藍と諒(尾美としのりさん)が抱き合う場面は「さびしんぼう」を思い出される方も多いのではないか。


地下鉄東西線蹴上駅より徒歩約10分


祇園・巽橋付近

 実の姉妹ではないことを知ってしまい自暴自棄になった藍がディスコで踊り狂った後、暴走族風の若者に絡まれる場面で使われた。
 この近辺は祇園北エリアの中心部であり季節・昼夜を問わず常に観光客で賑わっている所。

京阪四条駅より徒歩約10分、阪急四条河原町より徒歩約15分


茶房 小径

 四姉妹の実家・土産物店として使われた、「哲学の道」に面する実名の喫茶店。
 現在は建て替えられているが、入口には当時の建物の写真が掲示されている。また、店内には大林監督の写真や沢口靖子さんのサイン色紙なども展示されている。
 「哲学の道」の中間地点くらいに位置するので、休憩ポイントとして最適かもしれない。

     


以下は富田靖子さん出演箇所ではありませんが・・・
管理人の趣味で追加掲載しております (^ ^ゞ



琵琶湖疎水・インクライン


 冬悟(宮川一郎太さん)と杏が雨の中白い傘をさして話をする印象深い場面で使われた。
 明治時代に琵琶湖から京都まで水路を作り、水力発電や水道の需要をまかなった琵琶湖疏水は、船による物資の輸送にも使われ、大津と京都の標高差をクリアするために、斜面に敷いたレールの上に船を乗せて上げ下ろししたのがこのインクライン。 現在は遊歩道になっており、桜の時期には観光客で賑わう。
 写真中央の線路は一見単線に見えるが、草に埋もれたレールが両脇にあり超広軌の複線である。

地下鉄東西線蹴上駅より徒歩約10分

京福電鉄太秦(うずまさ)駅

 諒と冬悟が電車に乗りこんで来て、車内で茜と杏に鉢合わせする場面で使われた。
 写真中央の通路から2人が走ってきた。


 ホームに民家の玄関が直接面しているという非常に珍しい駅である。


嵯峨野観光鉄道トロッコ保津峡駅

 旧国鉄山陰本線保津峡駅で、現在は全廃されてしまった50系客車から冬悟と杏が降りてくる場面で使われた。

 現在のトロッコ保津峡駅は、JR移行後の平成元年3月に山陰本線の複線電化に伴う路線変更により廃止された旧線を、嵯峨野観光鉄道が引き受けて平成3年4月開業した駅である。
 映画撮影当時よりホームの幅が広くなっている。

嵯峨野観光鉄道ホームページ

 


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