祝 九四式軽装甲車発売予定!

あるいは作戦失敗の予防線(笑)


 悦んでいる人は悦んでいるし、そうでない人はまったくカンケーない話だが、ファインモールド社から、九四式軽装甲車の1/35キットの発売が告知された。

 知っている人は知っているし、興味の無い人にはどうでも良い話だが、これにより帝国陸軍戦車モデラーの「ミッシングリング」の一つが埋められるわけで、これは非常に有り難い事なのである。


 九四式軽装甲車は、「戦車かくして壊れぬ」シリーズにも登場した、帝国陸軍自慢の「豆タンク」である。小型・軽量、弱武装と云う「戦車界のミニカー」そのものである。

 帝国陸軍は中国侵攻に際し、この「豆タンク」を重宝していたのであるが、戦車と云うものの位置づけ、構造が激変した1940年代前半にあって、機関銃一丁の「豆タンク」が過酷な戦場を生き残れるはずもなく、このタイプの戦車は、先史時代のカミナリ竜同様に戦車発達史の一ページにその名を留めるに至っている。

 いわば進化の横道で、どん詰まりに陥ったシロモノであるから(まるで「兵器生活」のようだ)敗戦後この車輌を接収した方も取り扱いに苦慮したようで、聞くところによると、現存する車輌は西の果てロシアのクビンカ博物館と、西の隣は中国の坦克博物館に保管されているだけだと云う。


 今回の「おまけ」は、その坦克博物館所蔵の九四式軽装甲車の写真である。

国家一級文物?

 モデラーを名乗って20年になるが、ガラスケースに納められた「戦車」と云うシロモノを見るのは初めてである。これも伝聞で恐縮なのだが、この戦車、中国陸軍の演習場かなにかに埋まっていたものを発掘したものだと云う。もう「南越王の玉衣」かなにかのノリである。

 懇意にしている旅行屋が、現地代理店から得た、当博物館の紹介文によれば、完全な形で保存されているのは当館だけです、とのことである。


 機会があればこの博物館を訪問して、馬鹿馬鹿しい訪問記を書くのだが、なにしろ展示の目玉がこう云う展示方法をとられている以上、読者諸氏の期待する写真が撮れるかどうか全く自信が無いのである。
 それゆえに、あらかじめ入手した写真を旅行前に公開し、失敗の云い訳をしている次第である。

 はたして私は無事に坦克博物館に立ち、九四式軽装甲車の写真を撮ってくる事が出来るのだろうか?
 まずはバス路線があるのかどうか、それが問題だ、いや、それ以前に資金は大丈夫なのか?古本屋を覗いている場合では無い!!
 しかし最大の難関は、波風を立てずに有給休暇が取れるのかと云うことである…。