輸入禁止で儲ける商売・損する商売

支那事変勃発当初の、どこかノン気な観測記事


 昭和12(1937)年7月に起きた、盧溝橋事件処理のまずさが、帝国日本崩壊への第一歩(二歩目だ三歩目だの異論はあろうが)であることは疑う余地が無い。
 しかし、当時の上は天皇陛下から政府首脳・軍幹部・財界トップ、下は庶民無産大衆まで、領土は削られ軍隊解散、国体までも変革されるほどの大負け! な結末を思った人がいたのだろうか? 蒋介石も毛沢東も、いずれ日本が中国を持て余し逃げ出す確信こそあったは云え、そこまで―現在、イラク・アフガンでアメリカもその轍を踏んでしまったが、誰も(表向き)自由主義の看板を降ろすとは思っていない―は想像できなかっただろう。

 そんな前提に立つと、「実業之日本」昭和12年11月号の記事が、戦時体制移行への序曲を奏でていながらも、どこかノンビリしているのに、『そんなことだから!』と、ケチを付けても意味の無い事に思えてならない。


 ケチつけても無意味な記事を、わざわざ復刻するのはそれこそ無意味じゃあないか、と思われる読者も多かろう(主筆自身半分はそう思うのだが、それじゃあ今月の更新が出来ない)が、当時の生活の程度を知る、と云う観点に立てば、戦争前の生活の断片がおぼろげに立ち現れ、まあ面白いものなのである。

 例によって仮名遣い等を改め、記事全文を挙げる。固有の商品名や会社名など、一般的な表記と異なるものが相当ありそうだが、いちいち調べて直す手間は取ってない。ご容赦願う次第。
 輸入禁止で儲けた商売・損した商売
 田村 徴

 まず紅茶は
 第一次輸入禁止によって節減される額は、思いの他僅少だったが、それは全体から云ったことで、舶来品の輸入をもって飯を食って居る連中にとっては大痛手だし、国産連中にとってはホクホクものだろう。
 第一に目立つのは紅茶で、これは昨年一年だけでも七十二万五千斤、百十六万円もの紅茶が輸入されている。現在輸入されて居る主なものは、代表的なリプトンの他に、ブルークポンド(英国印度)、アダムスダスト(英国印度)等が入っている。

 家庭用としては、各百貨店等がマーク入りで出している一ポンド一円内外の実用品を主に使っているから問題なしとして、喫茶店等の味で商売をして居るところは、さしずめ辛い。
 日本品ではドリス(壽屋)、日東(三井)、日本(三菱)、キー(木村屋)等の紅茶が活躍して居るが、宣伝、売行共に傑出しているのは台湾産の三井の日東紅茶で、百十六万円と行かないまでも、今までのリプトンなりブルークポンドに代わって、売上を増すことは明らかだ。
 リプトンのイエローレッテルで一ポンド四円、国産の最も高いので一円八十銭だから、相当の節約になる。

 
 マカロニ
 第二はマカロニ、或はスパゲッチだ。最近マカロニ料理が如何に盛になったところで、これは大した額ではない。

 伊太利製のブトニー及びベスオビ、カナダ製のアルハベット・パテ及びカナデイアン・ビューテイと云った大物が打撃を蒙るわけだが、マカロニは東京製が相当幅を利かせて居るから、ガッカリするのは伊太利帰りの食通位のものだろう。
 国産品では、ツクバ、オリンピック、美給等が活躍して居るが、未だどの社の製品が特に売れ行きを見せるまでに至って居ないが、何れにしても国産マカロニの需要を増す絶好のチャンスだろう。
 マカロニの値段は、伊太利ものの四五〇グラム六十五銭に対して四十銭だから、大して安くは無い。


 カレー粉
 次にカレー粉、からし等がある。舶来カレー粉の中で特に幅を利かせているのは英国製のシー・ビー・カレー位のもので、我々がライスカレーでお目にかかる大半は国産、只ライスカレーを売り物にして居る店が困るだけだ。

 国産でも蜂印カレー粉、エス・ビー・カレー等の優秀品が出て居る。蜂印など大いにシー・ビーの畑に食い込むことだろう。
 一般家庭は即席カレーを使う方が多いから、相変わらず国産で、輸入禁止の影響は無い。シー・ビーの一円九十銭のものと同じ容量で、国産の良いものでも一円二十銭だから、相当の節約になる。
 意外なものに肉エキスが入って居る。ボブリス(英)、ミスキユロヂン、ヴァレンタイン(米)等が活躍して居り、輸入額は僅かだが、病人の大半は舶来品を使って居たから、業者には大痛手だ。


 コンデンスミルク
 コンデンスミルクの舶来品は、カーネーションだけが目立つ。
 「カーネーション入り珈琲」

 等と看板に書かれたのは一昔前のことで、現在では森永、明治、キンシ、ウサギ等々のミルクが目白押し、カーネーションをぐるりと取りかこんで、輸出までして居るのだから物凄い。
 従って、カーネーションが来なくなることによって何の会社が特に儲かる…とは云い難いが、カーネーション三四〇グラム四十銭に対して、国産は三十銭だから、喫茶店等では聊か助かるだろう。


 楽器・レコード
 額にして大したことは無く、而も痛手の点では一番大きいのは楽器だろう。第一にレコードがある。原盤輸入は止められて居ないから、日本ブレスは構わないが、ブランスウヰツク、デッカ、ブルーバード、と云ったような一枚三十五仙
(セント)のレコードを輸入して二円五十銭で売っていた某商会あたりが、大悲鳴を挙げるだろう。それと同時に、銀座あたりで直輸入レコードを看板とする喫茶店、デュエット、サボイヤと云った店の蒙る打撃も大きい。
 レコードと共に蓄音機も止められたが、コロンビアなどは国産と云えるし、先頃の二割増税以来殆ど舶来蓄音機が入らなかったが、ただ喫茶店用のRCA、ビクター、或はケープハートと云った電蓄を輸入して居た大比羅(おおひら)辺りが、困ることだろう。
 楽器は、一般アマチュア用のは国産で十分、ギター、ウクレレ、ヴィオリン等浜松楽器の活躍舞台だし、ハーモニカ、アコーディオン等はトンボの製品が進出して居る。ハーモニカは一昔前から既に独逸のホーマーを押えて、国産ミヤタバンド等が王座を占めて居たが、アコーディオンは伊太利のソプラーニ製品が頑張って居た。これを機会に、トンボ製作所は一段の飛躍を遂げることだろう。
 暫く辛いのは、ジャズバンドのバンドマンと、輸入楽器専門のカタニヤ楽器店等で、相当こたえている。


 化粧品・装身具
 石鹸は、舶来品を使う階級は極く一部分だ。国産品ならばせいぜい高くて三ヶ一円止まりのものが、コテイとなれば三ヶ入りで四円五十銭と来るから、禁止されても有閑マダム以外は驚かない。

 ドラレー、ピベー、ロジカー、コルゲート、レックス等々々の舶来品の蒙る影響は僅少だろうし、それによって国産石鹸会社が儲けるとは考えられない。
 只、レックスの洗濯フレーク石鹸が入らないとなると、包装のよく似て居るミツワのフレーク及び花王ビーズ等の需要が増すだろう。

 香水も止められた。従ってウビガン、プラッサール、コテイ等の香水が来なくなるわけ。こればかりは国産香水が幾ら頑張っても、ケタが違う。上流御婦人が何香水に転向なさるか解らないが、資生堂あたりを喜ばすことになるだろう。
 白粉(おしろい)も香水と同じ事、一般は舶来品等縁がない。只コテイの白粉、ミッチェルの口紅と云ったところは、聊かこたえるだろうし、パビリオが平素コテイ等と比較して居るから、機会を掴んで売り出して来るだろう。
 帽子の禁止は、お洒落な殿方には痛手だろうが、国産会社にとっては良き進出の時で、ダブス、ステットソン、ボルサリノ等の舶来品がくさることだろう。

 其の他・いろいろ
 最も壊滅的打撃を受けたのは、チューインガムで、リグレーの日本販売店の溜息が聞こえて来るようだ。

 もっとも、国産のチューインガムでは全然太刀打ちが出来ないから、結局リグレーの一人損で、皆がガムを止めるだけのこと、それによって国産品が儲かるとは考えられない。
 ビールとジャムは、最も影響の少ないものだろう。ビールは英国製にしろ、独逸製にしろ、探すのに骨な位で、ただフレデルマウス、ゴールドラインと云った独逸ビール屋が困るだろう。
 ジャムは国分のKKジャム等が、益々やり良くなって来るだろう。ソースも同様に影響の少ないものと云える。
 額は少額だが、禁止によって喜んだのは養鶏業者だ。支那卵が入って来なくなった結果、卵の値が急に上がり、今のところ小売値が百目三十銭、未だ未だ上がる見込なので一息ついている。

 毛皮や時計は目立たないようで、前者は年額四十三万円、後者は七百七十万円の輸入額がある。前者は樺太産のものがこの機会に一層の進出をするだろうし、後者は精工舎等が大活躍をして七百七十万円に代わるに違いない。
 レモンはカリフォルニヤ産のサンキストが、断然香気で巾を利かし、広島その他国産の追随を許さなかったが、これは使う方の贅沢で、今後は国産の改良進歩に期待するのみだ。
 一商品の輸入のみで年額五十万円に達している商会がある。ここなどは輸入禁止は目の仇で、反対に、養鶏業者等は、禁止様々の王様だろう。
 戦前都市生活文化の香りが漂っている。紅茶・珈琲のミルク・アマチュア演奏家向けの楽器・レコードに化粧品、そしてサンキストのレモンにリグレーのガム!
 記者の身分はさほどに高くはないが、都市生活を満喫出来る程度にはあることは、マカロニと舶来石鹸の輸入禁止に冷淡でありつつも、ライスカレーの味を売り物にする店の悲鳴を聞き分け、国産紅茶が幅を利かせれば紅茶一杯の値段も下がるのを期待しているような文章から読み取ることが出来る。
 高額輸入品と云えば、ライカ・コンタックスのドイツ製カメラが出てこないのが不思議だが、記者本人に写真趣味が無かったものと思うしかない。

 記事の論調は、輸入禁止によって様々な影響があるものの、「暫く辛いのは、ジャズバンドのバンドマンと、輸入楽器専門のカタニヤ楽器店等で」と、あくまでも一時的なものと捉え、市民生活そのものが変貌するわけではない見解を取っている。タイトルを始め結びに至るまで揶揄的でもある。

 この記事は掲載時、ページを4段に分け、上3段に本文が、残りは『輸入禁止』の根拠となった「臨時輸出入許可規則」の解説が掲載されている。読者諸氏の参考として、これも復刻する。

 輸入禁制品一覧表
 今回の支那事変に関連して資源に乏しい我国は、軍需品の輸入が必然的増加しておる。然しただでさえ輸入超過は相当多額に上っているので、国際収支の調整を計る必要から、去る十月十日、臨時輸出入許可規則を制定して、物品の輸入を制限或は禁止することになった。
 その規則によると、重要輸入品つまり生活に絶対不可欠な品で、国内に産出しない物或は少ない物は甲号として一定量をきめて輸入を許可し、国防上にあまり関係のない物や無くても用の足りる或は代用品国産品で間に合う品物は原則として輸入を禁止することになった。
 甲号に入るものは、綿花、豪州産以外の羊毛、山羊毛、ラクダ毛と木材の五種目で、従来より年一億八千万円がらみの輸入を減少することになる筈である。
 乙号に属する物は約三百品種目で、そのうち吾々に直接的関係のあるものは、次の如きものである。

 生物
 動物(馬、牛、豚、緬羊、山羊家禽、魚介類、蜜蜂、蚕種以外のもの)、植物。

 飲食物
 紅茶、茶、胡椒、菓子、ジャム、フルートゼリー、ビスケット、マカロニ、果汁、ソース、食酢、ハム、ソーセージ、ベーコン、コンデンスミルク、支那酒、果実。

 皮毛骨角歯牙甲殻類
 毛皮(犬猫、兎、山羊、綿羊、等の毛皮以外のもの)一般皮革品、珊瑚、鼈甲製品。

 油脂類
 落花生油、肝油、蝋燭、石鹸、香油、香水

 化学製品
 白粉、煙火、燐寸。

 染料・塗料
 靴墨、鉛筆、インキ(印刷用以外)、墨。

 布・織物
 レース地、カーテン、テーブルクロース、ハンカチーフ、防水布、毛布。

 衣類・同付属品
 肌衣(シャツ)、手袋、マフラー肩掛、ネクタイ、靴、ボタン、帽子、その他の衣類、身の廻り品。

 紙類・紙製品
 壁紙、封筒、アルバム、書状用品、写真用感光紙、骨牌、絵葉書、クリスマスカード、カレンダー。

 陶磁器・硝子
 厚硝子板(一、五ミリ以上)、写真用乾板、眼鏡、硝子器具。

 金属製品
 刃物(剃刀、ナイフ等)、フォーク、スプーン、ストーブ。

 時計類・機械
 懐中時計、同部分品、各種時計類、双眼鏡、隻眼鏡、写真器、写真器部分品、蓄音器、同部分品、楽器、小銃、扇風機。

 雑品
 ステッキ、洋傘、傘の柄、電球化粧具。玩具、遊戯用品。

 「生物」を除く各品目を見ていると、デパートの取り扱い品目を抜き出したんじゃあなかろうか? と思うようなモノが多い(『小銃』が当時のデパートにあったかはわからない)。なるほど国防上重要ではなく、国産品も相応に存在しているだろうモノが輸入禁止になったとて、たとえレベルは落ちても都市文化生活に支障はあるまいと、皆思うところだ。

 この記事からおよそ半年、昭和13(1938)年5月に刊行された「戦時体制下の日本経済 昭和十三年版」(朝日新聞経済部編、朝日新聞社―堂々『戦時体制』を名乗っているのに注意)には、

 当初吉野商相は禁止品目(註・上の解説では『約三百』とあるが実際は269品目)だけで二億円見当を予想していたが、いざ一つ一つ詮議して見ると結局無難なもの二百六十九品目が残され、その節約額は僅か三千五百万円に過ぎなくなった。(略)大体禁止品目に挙げられた二百六十九品は国民生活に急激な不便影響を与えない程度を考慮されたもので、その後実施の実情に応じ二回の追加訂正がなされた。制限禁止品目になくとも輸入は為替管理の方面から十分制圧されていることは勿論である。

 と、禁止品目制定の効果は期待した程では無いこと、為替管理(支払時点で縛りをかける)が輸入制限に大きな役割を果たしているとしている。

 「実業之日本」解説記事では、規則記載の品すべてがご禁制になるかのように書いてあるが、この資料を読むと、先の解説をそのまま何かネタに使うと、あとで大恥をかくことがわかる。
 『双眼鏡』の場合、「貴金属、貴金属を渡したる金属、貴石、半貴石、真珠、珊瑚、象牙、鼈甲または貝殻を用いたるもの」と註記され、実用―軍用品は除外されているし、『小銃』は「銃砲および同部分品(拳銃、捕鯨および同部分品を除く)が本来の表記で、猟銃は駄目だが将校用のブローニング拳銃はお咎めがない。
 個人的に気になった『写真器』は、「活動写真用のもの、顕微鏡用のもの、航空機用のもの及び測量用のものを除く」とある。ニュース映画用のカメラは文句なしにセーフ。ライカ・コンタックスは『顕微鏡用』と云い張れば通る。しかし、「戦時体制下の日本経済」では、「一般国民がコダック会社に写真機一台の買注文を発してもこれは金輪際許されない建前になっている」。
 記事に記載が無いもので、面白いものを挙げれば、「自転車(モーターサイクルを除く)」「珈琲粉砕器」「アイスクリームフリーザー」「電気ストーヴ、電気鏝その他類似の電熱器」があり、確かに無難な選択である。

 『紅茶』は禁止されたと「実業之日本」記事にあるが、同じく都市生活者の嗜好品であるコーヒーはどうなっているのだろう? ご禁制リストからは外されているのだ。ついでに云えば解説記事には「ハム、ソーセージ」の記載を見るが、「戦時体制下の日本経済」記載の品目リストには含まれていない。これについては、

 今回削除された品目のうちに先ず外国人向きの嗜好品が特別扱いされている事実は見逃してはならない。(略)吾々の味噌、沢庵に匹敵すべきコーヒ(ママ)、ハム、ソーセーヂ、バター、チーズだけは木戸御免の扱いを受けている。(略)対外心証を悪化させたり、観光客を追い出したりしては損だというのだろう

 との見方をしている。オリンピックも万博も返上が決まるのは先の話だ。
 コーヒー(原文が『コーヒ』なのは、『朝日新聞』大阪本社で記事を書いているからだろう)が禁止されないのは、「ブラジルでは日本移民の主要産物であり、ジャワでは日本からの輸出品の見返りになっている」大人の事情による。

 「修繕のため輸入する物品」は規則外、輸入済のモノの販売までもが禁止されたわけではないので、当面「暫く辛い」日々が続くだけと決め込んだ業者・消費者は多かったはずだが、3年後の昭和15(1940)年の『奢侈品等製造販売制限規則』で、国産品をふくめた「ぜいたく品」は抹殺されることになる。

 楽器・レコード以外の「文化」、例えば映画はどうなるのだろう? 答えは「戦時体制下の日本経済」にちゃんとある。

 文化的商品は『乙』表には載らない、例えばフランスの名画十万円の代物を輸入するにしてもこの『乙』表は黙っているが実際問題としては大蔵省の為替管理で抑えて入れないことになっている。
 (略)映画フィルムも生のものは国産フィルムの生産力が足らないため今回の禁制は免れたが撮影されたフィルムはちゃんと為替管理で抑えられている、外国映画が恋しくなったらそれは『乙』表を恨まないで為替管理のためと諦めるがよい、
何時の世にも文化的芸術商品は役人の苦手と知るべし。 

 元ネタより、裏付け資料の方が、よっぽど面白いんじゃあないか?

 (おまけ)
 本編と同じ号に掲載されていた広告。


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 新緩下剤(GUM−LAX)(噛みぐすり)
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 トリアセチールヂエフエノールイサチン 〇、〇〇二瓦
 薄荷油 〇.〇〇一瓦


 用法及用量
 大人 一回量 二〜三個
 小人 一回量 一〜二個

 就寝時又は空腹時に三分間よく咀嚼す。
 常用便秘にありては最初一個より初め、奏功せざる時には漸時増量す可し。
 包装特価
 一二個入 三拾銭、二四個入 五拾銭、六〇個入 一円


 チューインガムの中に下剤を仕込んだ凄い商品と思ったものの、効き目が出るのが5〜8時間後であるから、タチの悪いいたづらには使えないのが惜しい。
 ガムつながりで紹介する次第。