先覚者かへそ曲がりか?

対米英戦争突入直前の読者投稿の波紋


 「古雑誌の楽しみは広告と投稿欄につきる」と横田順彌は云ってないが(笑)、戦前・戦中の兵器ファンの実体を明らかにする(心意気)「兵器生活」を維持するために、広告と投稿欄は、避けては通れない。

 今回は「空」昭和16年12月号の読者投稿欄「読者の隣組」に寄せられた一投書より、当時の航空ファン事情を明らかにしたい!

所感

 十一月号表紙中々よい。アートの第一面は重戦だろう。二面の偵察機、もう少し丁寧に消して貰い度い。近頃読者サロンで日本空軍優秀論が盛であるが、余り興奮しない方がよい。航空日があってからひどくなった。日本の航空工業は始めからずっと欧米、主にアメリカ依存である。日本独自の航空工業なんぞ存在しない。元来日本の機械工業は今の今迄欧米依存一点張りで漸く今になってあわてて転換せんとしてもがいている現状である。「もと」がこんな有様では日本の第一線機も高が知れている。今にアメリカが秘密政策でも始めたら大いにあわてるだろう。将来の日本を負って立つべき若い者が航空日みたいなけちくさいもので興奮なんかしてはみっともない。
(暗闇の中の批評家)
 内容そのものの解説はあえて行わない。「航空日」についてのみ補足する。

 「航空日」とは、昭和15年に制定された記念日の事。現在は「空の日」と改称されている。日本航空発祥30年を記念しての制定なのだが、日本での航空機初飛行は明治43(1910)年12月19日なので、何故9月20日が「航空日」なのかは不明。ちなみに日本初の飛行場は明治44年4月、所沢に整備されたもの。手元に資料が無いので、これ以上の情報はありません(苦笑)。

 さて、日米関係が風雲急を告げるご時世に掲載されたるこの一文が、「空」誌上に大きな波紋を呼び起こすのである。次回を刮目して待て!!

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