(242) 最新型単座戦闘機
Ju生 案
本機は此種追撃機としての、速度、操縦性及び武装等の最大の要求を充たす目的を以て試作せられたるもの。
発動機は操縦席直後胴体内重心位置にあり、その前後に長尺プロペラ軸を付し、両端に2翅可変節コントラプロペラを装備する、主翼は干渉少なき肩翼とし水平尾翼取付は低翼式で主翼との干渉影響少なし。操縦席は視界極めて良好で主翼により後斜め下方のみ不良。
降着装置は前車輪式。尚本機は試験飛行に於て無武装にて時速940粁/時の驚異的記録を樹立す。
発動機 液冷式3000馬力
全幅−8.6米 全長−9.4米 全高−2.8米
主翼面積−18平米 自重−2200瓩 全備−3400瓩
最大速度 7000米にて880粁/時
巡航速度 5000米にて760粁/時
同出力 25%にて480粁/時
着陸速度 120粁/時
上昇時間 5000米まで2分40秒
上昇限度 (実用) 14450米
航続距離 (規定) 1000粁
武装 37粍カノン1門 20粍固定機関銃4挺
( 「空」昭和15年7月)
石田一郎の批評 ( 「空」昭和17年8月)
この種串型機は一昨年の夢欄に二三現れた。そして佛誌に発表された計画図と称するものも質疑欄に見られたのであるが、要は今は音沙汰もない ” 空の虱 ”よりアレンヂされたものであろう。而して実際に試作化されたのはペイエン軽戦である。勿論好結果を得られ次第大馬力のものに発達して行くのではあろうが、然しそうなったにしても操縦性の及び難さから現用形式に取って代わる様なことはあるまいと考える。戦闘機に操縦性の重要さは今更喋々する迄もない。 ” メッサーシュミット ” 機の舵が固い等誠しやかに伝えられたり、 ” エアコブラ ” 機等に見られる様発動機を重心位置に持って来たりする苦心の主因は其処にある。
舵の作動効果は重心よりの後方距離によってもたらされるものであることを忘れてはならぬ。
尚四月号のグラフに出て居たマツクケラー無尾翼戦闘機の計画図なるものも論ずるに足らない無責任なものである。