250 ケンキ ”氷川” 単座戦闘機
田中 健喜 案
本機は液冷式850馬力2基を備えたる強力近代型戦闘機也。
エンテ式を採用し其の特有の性能を発揮せしめた。又エンテに於いて有勝な方向の不安定性は、重心より遠く後部へ長く出した垂直安定板により修正される。又エンテを採用した為に視界の悪化をきたす事無き様特に注意を払えり。操縦席は胴体前部上方に位置したる為、固定砲の射撃標準は容易なり。
<要目> 全幅 11.0米
全備重量 2900瓩
翼面積 18.50平方米
最大速度 660粁/時以上
「空」 昭和15年8月
石田 一郎による批評
相当な苦心配慮の作と思われる。直ちに戦闘機とは気張り過ぎるが、その安全性を汲んで小馬力の旅客機かスポーツ機として試作してみたいものである。
前小翼を支える腕が無駄の様な気がしたり、それから又低翼である為胴や発動機が翼面に並び出て、空気力学的に最も重要なその部の気流を障害すること甚だしいものがあろうと憂慮される。
「空」 昭和15年9月