(263) 涼風14型複座戦闘機
湯川 利男 案
発動機 星風8型空冷式二重星型
18気筒1600馬力 2基
全幅 12.80米
全長 7.50米
全高 2.75米
翼面積 20.50平方米
全備重量 3870瓩
最大速度 780粁/時(6000米)
巡航速度 600粁/時(6000米)
上昇時間 5000米迄 4分
上昇限度 14500米
航続時間 6時間
武装 20粍固定機関砲 2門
7.9粍固定機関銃 2挺
特長
過給器は発動機出力に影響の少ない排気タービン式
のものを
発動機ナセルの上面に装備した。
プロペラのピッチと直径とを同時に変更し得る特殊プロ
ペラを用い
高空飛行に適せしめた。
射手は操縦席の前方に位置し銃砲の装弾無電の操作
及び
各種高空用器械の操作に任ず。
「空」 S15.10
石田一郎の批評(S15.11)
本絵図の優秀さは沁々実感の迫る点にある。前に同型式について得失を論じた故、今回は重ねて述ぶるには及ばないだろう。只前方座席にあっては完全に前方視界が塞がれて居る事になるが、これでいいものだろうか。
総督コメント
ついに排気タービン装着機の登場である(拍手)。図を見ると、一瞬P−38の複座型に見えるが、実際は「設計家の夢」欄お得意のエンテ型である。ナセル上面に排気タービンを装備するやりかたはP−38まんまである。
プロペラピッチと共に直径を変えるアイデアは面白いが、実現は困難と思われる。
このサイズであえて複座にする必然性があるのかと現代人は突っ込みたくなるが、当時の「双発複座戦闘機万能論」の証左と云うことで、敢えて問わないこととする。
湯川氏は、「空」S15.11において「英軍用機の多銃砲塔に就て」と云う一文が掲載されており、このコーナーの投稿者の鏡と云うべき存在である。そのせいか、石田氏の批評もあっさり無難なものになっているのが面白い。