(268) 光音XSB2 快速戦闘爆撃機
小川 利彦 案
発動機 光音UU2 液冷950馬力×4
全幅 15.20米
全長 13.80米
最大速度 850粁/時
降着速度 88粁/時
上昇力 6000米迄6分08秒
航続距離 2000粁
爆弾 500瓩×2
特長 フラップ兼エルロンを全翼に渉って備えた為、機動性極めて鋭敏にして又離着陸の際には発動機の後流を全フラップに受けるために最小速度は非常に少ない。又離着陸の際のエルロンはフラップの前方にある。又危険予防のために主翼前縁にスロット翼を附す。
「空」S15.10
石田 一朗の批評(S15.11)
1000馬力級を4台翼幅一杯に並べた様子は丁度発動機の化物と云った感じ。兎に角翼面荷重を大にして馬力荷重を小にすれば高速度は得られる事になる。併し乍ら着陸時に安全な低速をどうして得るかと云う問題を先ず解決せねばならない。本機はプロペラ後流が大迎角翼流の剥離を防止する作用あるを活かし、エルロン兼フラップの併用によってその際の高揚力を確保しようと云うのである。(265)の設計趣旨と対比して考えれば面白いであろう。
プロペラ後流を翼幅全面に当てる試みはボラス機と称するものに見受けられた。乃ち翼の迎角がある程度以上になると失速と云って背面気流は剥離して夥しい攪乱流を生ずるに至る。そして高速機に適する翼断面程そうな訳で、容易な着陸速度がなかなか得られない事になる。然るに一度びプロペラでこなされ速度の高まった気流は大仰角にあっても剥離し難くなり、丁度スロット翼と同じ効果が得られるばかりでなく、緩速状態に於いて強い浮揚力を発生させるものである併し乍ら速度記録を更新する道が茲にあるとも思われない。
総督コメント
F104の思想をプロペラ機でやろうとすると、こういう形になるようなものか? とはいえ重量のある発動機を4基装備するわけであるから、その重量の分だけ翼強度も上げなければならないわけで、結果として本当に高速度が実現するかは疑問である。プロペラ後流を利用して揚力を稼ぐ方式は先見の明があって面白い。石田氏も最後で落としてくれて面白い(笑)。