貧困指標には、絶対的貧困度と相対的貧困度とがある。前者は最低限の生活を営むことが出来ない状態の割合を指し、後者は、平均的な生活水準(平均所得)より著しく低い状態、例えば所得が半分の水準を指す。

 絶対的貧困度の指標としては金額ベースの所得水準そのものが使用されることもあるが、食料、衣服、衛生、住居などの最低限の財・サービスの供給がなされていない割合として示される場合もある。ここでは、途上国の人口センサスで調べられている上水道、トイレ、電灯といった住宅設備が整っていない住戸の割合で途上国の絶対的貧困度を掲げた。

 日本のような先進国ではこうした基本的な住宅設備のない住戸はほとんどゼロなので人口センサス(日本の場合、国勢調査、住宅・土地統計調査)の調査項目にない。水洗トイレや浴室についても調査項目だったのは2008年の住宅・土地統計調査までだった(図録2280参照)。途上国における台所の加熱設備の状況については図録1022に掲げているので参照されたい。

 川などからの水汲みや共同井戸に頼らなくてはならない、水道設備のない住戸割合が最も多いのはマラウイの97%である。そのほか、90%以上の国として、バングラデシュ、ザンビア、ケニア、ブルキナファソ、エチオピア、ニカラグアが目立っている。

 図では、各大陸で所得水準の高い順に国を並べている。上水道がない住戸割合が少ないのは所得水準の高い国という傾向が見て取れる。ただし、タイやボツワナは所得が相対的に高いのに上水道がない住戸が多く、逆に、ネパール、北朝鮮などは所得水準が低い割には上水道がある住戸が多い。

 トイレがなく、共同便所や野外での排便を行っている住戸の割合はザンビアの92%が最も多く、エチオピアが80%でこれに次いでいる。経済発展の著しい中国でも2010年に28%とかなり高い水準であるのが目立っている。タイは上水道がない住戸は多いがトイレがない住戸は4%と少ない。

 室内照明のために電気を使うことが出来ていない住戸割合が最も高いのはマラウイの98%であり、ウガンダの92%がこれに次いでいる。アジアのミャンマーやカンボジアを除くと電灯がない住戸割合が50%以上なのはすべてアフリカ諸国である。

 こうした住宅設備は農村部ではなくともなんとかなるが都市部では生活上不可欠な要件である。データは記載されていないが、資料の大友篤(2017)によると、「3つの貧困度は、(都市部のデータの得られる)31カ国のすべてにおいて都市部が全国よりも低い水準を示し、都市部よりも農村部において高いことが知られる」。

 下図には、データの得られる途上国の大都市についての上水道・トイレ・電灯の未整備住戸割合を示した。

 上水道については、ジャカルタの未整備率80%が目立って高くなっており、マニラの53%、カイロの42%がこれに次いでいる。トイレや電灯はさすがに大都市での未整備住戸はそれほど多くない。しかし、トイレがない住戸が北京、ジャカルタ、マニラで20%以上である点は、やはり、かなり目立っている。


 対象となっているのは、図の並び順に、40カ国、16都市であり、具体的には、韓国、マレーシア、イラン、タイ、中国、インドネシア、スリランカ、モンゴル、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ネパール、北朝鮮、トルコ、モーリシャス、ボツワナ、アルジェリア、南アフリカ、エジプト、モロッコ、ザンビア、ガーナ、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエ、ブルキナファソ、エチオピア、マラウイ、アルゼンチン、ウルグアイ、メキシコ、ブラジル、コスタリカ、ドミニカ共和国、ペルー、エクアドル、ジャマイカ、ニカラグア、ソウル、クアラルンプール、テヘラン、バンコク、北京、上海、ジャカルタ、マニラ、プノンペンである。

(2017年6月22日収録)


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