HIV(ヒト免疫不全ウイルスhuman immunodeficiency virus)の感染者は、症状のないキャリアか、このウイルスによって発症している患者のどちらかとして発見される。前者をHIV感染者、後者をエイズ(AIDS)患者として、毎年、医師から新たに報告された数の推移を図に掲げた。前者は新たに感染が見つかった者であり、後者は感染が見つからずに発症した者である。エイズ(AIDS)患者数からは既往のHIV患者のAIDS病変は除かれているので、両者を合わせると新たに発見されたHIV感染者の総数となる。出所は厚生労働省エイズ動向委員会のエイズ発生動向報告である。

 厚生労働省は2013年2月22日、2012年(11年12月26日〜12年12月30日)に新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者が、前年の確定値から55人減の1,001人(速報値)となり、2年連続で減少したと発表した。ただ、保健所などへの相談件数自体が減少しており、同省は「実態は横ばい状態」とみている。(時事通信)

 2011年の新規エイズ患者の報告数は473件で、10年の469件を4件上回り、過去最多を更新した。2月に発表した速報値から6件増加した。一方、新規HIV感染者の報告数は1,056件で、10年から19件減少。ピークだった08年の1,126件を3年連続で下回った。新規のエイズ患者とHIV感染者の報告数は計1,529件で、10年から15件減少した。

 新たにHIV感染者、あるいはエイズ患者として報告された人は、毎年、増加しているが、2010年値は、新規HIV感染者1,075人で過去3位、新規エイズ患者は469人で過去最多となった。合計1,544人は過去2位である。

 2009年は、HIV感染者1,021件、エイズ(AIDS)患者431件と合計が1,452件となり、久方ぶりに減少した。なお昨年までは過去最大値の更新だったので年計発表の時期に報道されたが減少が判明した2010年には報道されなかった(それで当図録の更新も遅れた経緯がある)。失業率などとも共通であるが、悪化は報道されやすく、改善は報道されにくい。結果として、報道に敏感な者は世の中を実態より暗めに見る傾向が生じる。

 なお、各年末現在の感染者数・患者数は、過去の累積数から死亡者数を除いた数がそれに当たる。

 国籍別男女別の内訳をみると日本籍男性が多くを占めている。下表に見るとおり、日本籍男性の感染経路はHIV感染者については同性間の性的接触が異性間に比較してかなり多くなっているがAIDS患者については異性間の性的接触が同性間と近い水準である(2008年末現在では上回っていた)。

感染経路別HIV感染者・AIDS患者数(2011年末現在)
診断区分 感染経路 日本国籍 外国国籍
HIV 異性間の性的接触 2,261 629 361 797 4,048
同性間の性的接触*1 6,986 3 405 1 7,395
静注薬物使用 31 2 25 3 61
母子感染 14 9 5 8 36
その他*2 228 37 48 25 338
不明 849 97 351 529 1,826
HIV合計 10,369 777 1,195 1,363 13,704
AIDS 異性間の性的接触 1,716 202 263 203 2,384
同性間の性的接触*1 2,072 3 119 2 2,196
静注薬物使用 20 3 23 1 47
母子感染 9 3 1 4 17
その他*2 143 20 23 13 199
不明 892 75 323 139 1,429
AIDS合計*3 4,852 306 752 362 6,272
凝固因子製剤による感染者*4 1,421 18 1,439
*1 両性間性的接触を含む。
*2 輸血などに伴う感染例や推定される感染経路が複数ある例を含む 。
*3 平成11年3月31日までの病状変化によるエイズ患者報告数154件を含む。
*4「血液凝固異常症全国調査」による2011年5月31日現在の凝固因子製剤による感染者数
(資料)厚生労働省エイズ動向委員会「エイズ発生動向報告」

 世界のHIV・エイズの状況については図録2260参照。
 都道府県別の分布については、図録7345参照。

(2005年6月23日収録、2007年2月8日更新、2008年5月21日更新、2009年6月23日・9月25日更新、2010年12月6日更新、2011年2月8日更新・速報、5月23日確報報道、6月6日動向報告、9月28日更新、2012年2月25日2011年速報値、5月24日同確定値、2013年2月22日2012年速報)

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