|

| 統計数理研究所によって「日本人の国民性調査」が1953年以来、5年ごとに戦後継続的に行われている(同じ問を継続しているが問によっては必ずしも毎回聞いている訳ではない)。長期的な日本人の意識変化を見るためには貴重な調査である。この調査はすべて、全国の20歳以上(ただし2003年第11次調査以降は20歳以上80歳未満)の男女個人を調査対象とした標本調査である。各回とも層化多段無作為抽出法で2,254〜6,400名の標本を抽出し、個別面接聴取法で実施されている。2008年調査は10月下旬から1カ月かけて行われた。 ここでは、「生まれ変わるとしたら男がいいか女がいいか」という問への回答結果の長期推移を追った。 結果は男性の回答と女性の回答で著しく異なっている。すなわち男性は無変化、女性は大変化である。男性は一貫して同じ男に生まれてきたいとする者が9割程度を占めているのに対して、女性は、かつては男に生まれたいとする者が6割以上の多数派であったのがこの50年の間に女に生まれたいとする者が7割以上の多数派を占めるように変化したのである。女性の意識変化はまことに大きいといえよう。この結果、男女という存在についての見方が男性と女性でまったく異なるようになった。 こうした結果となった要因を探るため、関連した2つの問、すなわち、男女のいずれが苦労が多いか、また男女のいずれが楽しみが多いかの回答結果の推移を見てみることにしよう。 「苦労」の面では、男性の回答も女性の回答も、おおむね男の方が女より苦労が多いとしている。男性の回答の方が男の苦労をより大きめに評価しているが。時系列変化では男性も女性も男女の苦労の差については余り変化がない。男性の方の回答で、男の苦労が多いという回答がやや減り、女の苦労が多いという回答が増えてきている傾向はある。 女性も多く働くようになったので苦労が多いのではと男性は思っているが、女性の方は別に大したことないと思っているようでもある。男女とも男は職場の人間関係に巻き込まれて苦労が多いよねと考えているようでもある。 戦後の大きな意識変化が見られるのは「楽しみ」の男女差についての見方である。男性の場合、男の方が楽しみが多いとしているが、その割合は下がってきている。むしろ女の楽しみの方が多いのではと思う男性が増えている。女性の場合は、大変化であり、昔は男の方が楽しみが多く、女は楽しみが少ないと思っていたのに、最近は、女の方が楽しみが多く、男は楽しみが少ないと評価しているのである(末尾のコラム参照)。 すなわち、結論的にまとめると、女性が、もう一度生まれるなら女に生まれてきたいと考えるに至ったのは、苦労の面の変化ではなく、楽しい人生を送れるのは女だと思うようになったからである。おしゃれして快活に笑っている美しい女性が多くなったと感じるにつけ、なるほどと思わせる意識調査結果である(なお同じ結論をうかがわせる男女の生活時間の内容変化を図録2320で掲げた。また日本、韓国、中国、米国の女子高校生に対する同じ問の回答結果は図録2482参照)。 フェミニストは女性の目線ではなく、男性の目線で女性の生活や人生を評価している人たちではなかろうかと感じさせるデータでもある。何か勘違いをしているのは女性の方なのか、男性の方なのかよく考えてみる必要があろう。私は女性の方が勘違いしているとはどうしても思えない。 なお、応用問題として、欲しい子どもは男の子か女の子かに関する調査結果にふれた図録2477を参照のこと。また本図録を裏づけるデータとして、男女年齢を問わず男より女の方が楽しい時間を過ごしている点については、図録2470参照。
(2010年3月4日収録、8月13日コラム追加) |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||