長時間労働による過労死が社会問題となっている。そこで長時間労働と仕事のストレスとの関係を探ってみよう。

 共通の調査票を使ったISSP国際調査では何年かおきに仕事関係の調査を行っている。最新の公表分は、2015年に行われた「仕事と生活についての国際比較調査」(英語表記Work Orientation)であり、過去には1997年、2005年にも日本が参加して調査が行われている。

 この調査では、毎回、仕事のストレスや労働時間を調べている。仕事のストレスの状況に関しての日本の変化は図録3276参照。

 両者の関係の時系列変化については図録3280でふれるが、ここでは、2015年調査に参加した37カ国の長時間労働と仕事のストレスとの相関図を掲げた。

 長時間労働が最も多いのはインドであり、収入になる仕事をしている者のうち25.2%が60時間以上仕事をしている。中国、フィリピンも2割以上と多い。日本は13.3%であり、台湾、ベネズエラ、チェコ、南アフリカに次ぐ世界第8位となっている。この調査は自営業者を含み、また母数に休業中の労働時間ゼロの者が省かれているためもあって、図録3123でふれた日本の値(8.1%)よりもやや多くなっている。

 一方、仕事のストレスが最も多いのはベネズエラの26.1%であり、スペインが第2位、日本は18.7%で世界第3位の高さとなっている。

 日本の値はいずれも世界順位が上位であり、欧米の主要先進国のいずれと比較しても高い値を示している。日本は、国際比較上は、まぎれもなく、長時間労働が多く、仕事のストレスも大きな国と言わざるを得ない。

 さて、相関図の本来の見方は、2つの変数が相関しているかどうかを確かめることにある。この観点から見ると、それほど相関度は高くはないが、長時間労働と仕事のストレスは右上がりの正の相関が認められる。もちろん、例外は存在している。中国は長時間労働は多いのに仕事のストレスは余りないし、ベネズエラは長時間労働が日本程度の割には仕事のストレスをいつも感じる者が非常に多くなっている。

 多くの国が当てはまる右上がりの楕円の中では日本はやや上方に位置していることから長時間労働の割にやや仕事のストレスが多い国とも見られよう(順位も前者が8位であるのに対して後者は3位)。

 主要先進国の中ではフランスと日本が長時間労働比率の割に仕事のストレスが多くなっている。フランスは長時間労働が最も少ないのに仕事のストレスは日本に次いで大きいのである。

 参考までに、この調査では男女年齢別の結果も得られるので、仕事のストレスに関して以下に示した。サンプル数が少ないので確定的なことは言いにくいのであるが、男性では30代〜50代で、女性では30代で仕事のストレスが多いことがうかがえる。特に、30代女性のストレスが大きい点が目立っている。


 対象国は37か国、具体的には、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、チリ、中国、台湾、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ハンガリー、アイスランド、インド、イスラエル、日本、ラトビア、リトアニア、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、ロシア、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スペイン、スリナム、スウェーデン、スイス、英国、米国、ベネズエラである。

(2018年1月7日収録、1月8日コメント補訂)


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