嗅覚は、空気中のにおいの分子を鼻腔上部の嗅上皮にある嗅覚受容体がキャッチし、それを神経を通じて脳に伝えることによって生じる感覚である。

 においの識別能力は嗅覚受容体の種類の多さによっていると考えられる。嗅覚受容体の種類を決める遺伝子の数で嗅覚の優秀さを測ると、非常に鼻が良いとされる犬は811個で人間の396個の2倍となっている。しかし、アフリカゾウは人間の約5倍の1,948個と犬以上に嗅覚が優れており、動物の中でトップと考えられる(毎日新聞2018.2.8による。以下同様)。

「約1億年前の哺乳類の共通祖先は、約800個の嗅覚受容体遺伝子を持っていたとされる。アフリカゾウは嗅覚を進化させた一方、視覚に頼るようになった人間は遺伝子を減らした可能性がある」(同上)。

 味覚については、種類が多く、有毒のものもある植物を食べ分ける必要から、肉食動物より草食動物の方が発達している(図録4175)。嗅覚の場合は、どんな要因がその優秀さの決め手になっているのであろうか。実験室生れのマウスに天敵のキツネのふんに含まれるにおい分子を嗅がせると、キツネに遭遇したことがなくても逃げる行動をとるそうである。敵、味方、家族の認識のほか、エサや水が存在する場所の察知にとっても嗅覚は重要な感覚であろう。

 嗅覚受容体の遺伝子の数だけで嗅覚の認識力が決まるわけではないようだ。

 人の視覚が、赤、緑、青、明暗の4種類の受容体で多様な色や光を認識しているのと同じように、1つの嗅覚受容体が複数のにおいをキャッチし、実際上は、遺伝子の数以上に複雑なにおいを認識できていると考えられるので、嗅覚受容体遺伝子の数だけで嗅覚の優秀さを測れない側面もあるようだ。

 さらに、人間の場合は、空気で伝わるにおいと喉(のど)の食感を通じて伝わるにおいとが組み合わされてにおいの認識となっている側面や後天的な経験や学習でにおいの快不快を判断している側面もあるという。

 図で取り上げている動物は、人、チンパンジー、オランウータン、マウス、ウサギ、馬、犬、牛、ハンドウイルカ、アフリカゾウ、カモノハシ、鶏、スッポン、ニシツメガエル、メダカ、ショウジョウバエ、ネッタイシマカ、ミツバチである。

(2018年2月8日収録)


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