日本人海外旅行客数は1980年代後半からの円高の影響もあって急速に増加し、2000年に1,780万人に達した。こうした日本人海外旅行客数の急増はひところグローバリゼーションに伴う国際交流の拡大を示すものとしてよく引用された。21世紀に入ってからは1,600万人前後のレベルで上下している。

(出国者数)

 2010年の日本人海外旅行客数は1,664万人と前年から回復した。これは、円高の追い風によるものであるが、景気低迷が続き一時期ほどの人数規模ではなかった。

 2009年の日本人海外旅行客数は1,545万人と前年から落ち込んだ。これは、世界的不況と新型インフルエンザの影響である。円高によるプラスの影響もこれを補い得なかった。

 2008年の日本人海外旅行客数は1,599万人と前年からかなり落ち込んだ。これは、原油高騰に伴う燃油サーチャージの値上げやリーマンショック以降の世界的な金融危機に伴う景気後退の影響である。

 2003年の日本人海外旅行客数は1,330万人と対前年300万人以上落ち込んだが、これは、日本人の渡航先として大きいアジア地域で新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生し、その影響で4月から8月にかけて対前年同月3〜5.5割の減少となり、SARSが終焉した後も影響が継続し11月まで対前年マイナスが続いたためである(参照観光白書)。また3月に開始されたイラク戦争の影響もあると考えられる。2004年〜05年は1,683万人、1,740万人と大きく回復したが、その後円安傾向もあって横ばいである。

(訪日客)

 訪日外国人旅行客数は増加傾向にあり、2008年には835万人と過去最多を更新しているが、08年は景気後退や円高の進行により伸び悩んだ。09年はこれに新型インフルエンザの影響が加わった。特にウォン安により韓国からの訪日客が減少したのが響いた(図録7200参照)。

 2009年は861万人と過去最多を更新した。「観光立国」を目指す政府は、訪日外国人旅行者数の達成目標として2010年1000万人、2013年1500万人、2016年2000万人を掲げているが、2010年には達成目標には届かなかった。

(海外旅行の流出対流入倍率)

 海外旅行の流出対流入倍率は為替レートに大きく左右される。海外での消費と国内消費とのどちらが有利かということに影響するからである。

 1970年代〜80年代前半は、為替レート以上にこの倍率が上昇していた時期であり、世界の中での日本人の相対的な豊かさの向上が海外旅行を促進していた時期といえる(所得効果が高かった時期)。

 それ以降2000年前後までは為替レートでこの倍率はほぼ決定されていた。

 2000年前後以降は、為替レートは上昇基調であるのに、この倍率は低下基調となった。これは、対外と対内のアンバランスを解消し、観光立国を日本の1つの柱にしようと政府では2002年から本格的取り組みを開始し、2004年には首相や国交省大臣が「ビジット・ジャパン・キャンペーン」のPRビデオに出演するなどトップセールスも進め、2008年には観光庁を発足させるなどの「観光立国」へ向けた取り組みを進めているからである(中国へのビザ発給要件の緩和、韓国の短期滞在ビザ免除などの措置も効果があった)。2003年のSARS、イラク戦争による流出激減、2009年の新型インフルエンザ、リーマンショック後の景気停滞による流入激減の影響を除くとほぼ流出対流入倍率の低下は基調となって来た。

 この結果、訪日客は日本人海外旅行客の3〜4割程度を占めているに過ぎなかったが2008年、また2010年には5割以上となった。

(資料説明)

 法務省資料に基づく国土交通省総合政策局観光部集計による。「訪日外国人旅行者数」は法務省「出入国管理統計年報」の入国外国人数から日本に居住する外国人数を除き、これに外国一時上陸客等を加えた数である。最近のデータでは「訪日外国人旅行者数」の6割程度が観光客であるが、業務その他の旅行客が約4割、一時上陸客が2〜3%を占めている。

(2004年12月22日、2005年4月14日更新、2006年4月11日更新、2007年4月11日更新、2008年6月9日更新、2009年6月3日更新、2010年8月23日更新、2011年1月27日最新年JNTO推計に変更)

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