自分の人生をどの程度自由に動かせると思っているかの国際的な意識調査結果を掲げる。1から10までの段階の回答の平均点をグラフにした。

 「人生が自由にならない」と考える程度について日本人が世界で最高であることから、この調査結果は、日本ほど抑圧的で自由がない国はないと嘆くために引用されることが多いようだ。

 しかし、国別の自由度の比較をここから導き出すのは無理がある。例えば、この調査の結果から、北米・中南米で、メキシコは自由の国で、チリは不自由の国、米国はその中間などということに何か意味があるだろうか。ヨーロッパ・中央アジアについて、ルーマニアはもっとも自由な国でロシアは最も不自由な国というのも空しい。

 この調査結果は、各国社会の自由度や抑圧度をあらわしているのではなく、むしろ、各国民の人生態度をあらわしているに過ぎないと考えるのが妥当だ。

 ラテンアメリカ人のうち、メキシコ人は何でも明るく考えるがチリ人は少し深刻に人生を考える傾向にある。しかし、ラテンアメリカ人は、他の大陸の国民と比較すると、人生に対して概して明るく考える傾向がある。人生態度としては、ラテンアメリカで最もシリアスなチリ人でも、アフリカや南アジアで最も楽天的な国民と同程度の感じ方にすぎない。

 こんな風に結果をとらえると、この調査結果も、なかなか味わいがあるということになろう。

 確かに日本人の人生態度は、よく言えば慎重、悪く言えば暗いといわざるを得ない。自分の人生を自由に動かせると思っていて、後で、うまく行かなくて嘆くよりも、最初から、うまく行かないと思っていれば、何かの幸運でトントン拍子に行けば、これほどうれしいことはないと思える。こんな人生態度なのではないだろうか。

 日本人が世界一の心性をいろいろ探っていて見つけた1つの結果である。

(回答分布)

 上の平均点になった1から10までの段階の回答分布を最も悲観的な日本と最も楽天的なメキシコ、及びその中間のドイツと米国という4つの国について見ておこう(下図参照)。日本の場合は、5が約25%と最も多くの回答を集めているのに対し、ドイツは7が最も多く、米国は8が最も多く、メキシコは圧倒的に10が多くなっている。日本でも過半数は5以上なのであり、自由にならないと悲観しているばかりでもなさそうである。


 さらに、今度は、同じ回答分布のグラフを日本を日本の隣国である中国、韓国、ロシアと比較してみよう(下図参照)。日本と一番近いのはロシアであり、偶然であろうが、不思議なほどよく似ている。次に、韓国も回答分布パターンが日本と似ているが、韓国の場合は、楽天的な方向にシフトしている。一番似ていないのは中国であり、中国の場合は8の回答が一番多いのが特徴である。中国は上の米国とよく似ており、日本、ロシア、韓国のようにちょうど中間の5に回答が集まる(中庸を好む)ことのないパターンである点で共通している。


○調査対象国

 対象国60カ国を図と同じく大陸別に人生態度が楽天的な順に掲げると、メキシコ、トリニダードトバゴ、コロンビア、エクアドル、米国、ウルグアイ、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリ、ルーマニア、スロベニア、ウズベキスタン、スウェーデン、キプロス、キルギス、トルコ、アゼルバイジャン、カザフスタン、スペイン、オランダ、ドイツ、ポーランド、ウクライナ、アルメニア、エストニア、ジョージア、ベラルーシ、ロシア、クウェート、カタール、リビア、ヨルダン、レバノン、バーレーン、パレスチナ、アルジェリア、チュニジア、イラク、イエメン、エジプト、モロッコ、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカ、ルワンダ、ジンバブエ、パキスタン、インド、ニュージーランド、オーストラリア、タイ、マレーシア、台湾、フィリピン、中国、香港、シンガポール、韓国、日本である。

(2017年3月9日収録、3月10日隣国との比較追加)


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