卒業研究Iの進み具合等について
川合研究室 B4 伊戸川 暁
Last modified: 27 May 1997
- 電子的文書館に関する基礎的研究(仮題)
- 問題意識
- 「文書館なるものが世にはあるのだが、ずっと不遇である」という話を
高校時代に聞き、ずっと気になっていた。
- 文書館(archives)とは何か
- 過去・現在の記録を収集・記録・保存し、
将来に役立てようとする施設
- これに置かれる(べき)職員を"archivist"という
- 「将来に於ける資料の活用」を志向する点で、
「現在の知る権利の保証」を目指す情報公開とは異なる
- 主に政府や自治体のそれをいうことが多いが、
企業や大学など、あらゆる組織体に関係する概念である
- 日本に於ける文書館の現状
- 一応1987(昭和62)年に、「公文書館法」なる法律が制定されてはいるのだが、
割と「制定されただけ」にすぎないのが実情
- 現在、都道府県レベルでは26都道府県に文書館が存在しているが、
制度上の不備が目立つ様子
- 文書館システムの運用には文書作成者の協力が不可欠 −
やはり「意識」の問題(端的にいえば、文書館概念の欠如)か?
- 文書館学の現状
- 「記録管理(record management)」という概念
- 文書館学は、日本は勿論のこと、海外でも
確立した学問になりきっているとはいえない面があり、
特に今回私がやろうと思っている「電子的記録と文書館」という
テーマについては、やっと研究が端緒についたばかりのようである。
- survey
- 今日、ようやく「記録史料の管理と文書館」
(安藤正人・青山英幸編著、北海道大学図書刊行会、1996)なる本を
入手したばかり(上述の話も、多くはこの本による)。
しかし、前述の事情から、国内の論文は期待薄なので、
主に海外の論文をsurveyすることになるであろう。
- 展望
- おそらく、以下のようなことをすると思われる。
- 電子的文書の記録としての性質の解明
- 電子的文書の生成から廃棄までの実態調査
− これはKTYY或いは広域科学科について行う予定
- (できれば)電子的文書館システムの構築
- なにしろ殆んど未開の学問領域ではあるが、
しかし将来的に絶対必要になるという確信があるので、
たとえ卒研Iに間に合わなくても、考えていくべきテーマであると
思っている。
- (おまけ)数理的ペンシルパズルの一般的解法の研究
- 注意
- これは、文書館関係が泥沼にはまった時のための、予備的テーマである。
- 動機
- これについては先ほどのような大上段な動機は無く、
「趣味」の一言に尽きる。
- ペンシルパズルとは
- 一定のルールに基づいて「盤面」に一定のパターンや数字などを
描くタイプのパズル。例:お絵描きロジック
- アルゴリズムの応用的研究の対象として
適度の複雑性を持つと考えられるが、
多分に「お遊び」に過ぎるかもしれない
- タイトルに「数理的」とつけたのは、
クロスワードの類は研究対象から除外するという意味
- 現況
- 調子に乗って「スリザーリンク解答プログラム」なるものを
作ってしまった。
(興味のある方は
http://www.graco.c.u-tokyo.ac.jp/~itogawa/slinkから
downloadして下さい)
- 個人的には、幾つかのアルゴリズムを「発明」するなど、
非常にアルゴリズムの勉強になったのだが、
恐らくそれらは調べればとっくに誰かによって発見されている
ような気もする。
itogawa@graco.c.u-tokyo.ac.jp