Young in Disneyland, Old in Natureland
Kaz

13年ぶりでディズニーランドに行ってきた。13年ぶり...。ずいぶんと月日が流れたものの、園内は、そんなに大きく変わっているわけではなかったのは、むしろ驚きだった。新しいアトラクションがいくつか増えていたことと、ディズニーシーができたのは、大きな違いだが。
 そもそも、山ヤにディズニーランドは、あまり縁が無い存在だと思っている。完璧なまでに1つのコンセプトで造られた小さな世界は、大自然の山からすると全く接点の無いもののような気がする。もっとも、山飛沫山(ひまつやま/スプラッシュマウンテン)ヤの世界でもフリークライミングの世界となると、人工壁は当たり前だが...。そういわれてみると、人工壁のカラフルな感じは、ディズニーランドっぽい雰囲気があるような気もする。
 若者の姿がめったに見られなくなった山岳地と違い、ディズニーランドは、相変わらず若い連中の姿が多い。逆に中高年の姿は、非常に少ない。考えてみると、今の二十歳くらいまでの世代というのは、生まれたときには、既にディズニーランドがあり、おそらく、小さい頃から家族連れで何度か訪れているのだ。それに対し、今まで登山ブームを作ってきた世代というのは、小さい頃から近隣の野山で駆けずり回っていたのだ。やはり、幼少期大雷山(おおいかずちやま/ビッグサンダーマウンテン)の経験や環境というのが、その人の原風景になっていくというのは、わかるし、ごく自然のことだと思う。
 それにしても、ディズニーランドは、夢とファンタジーの世界であるといっても、所詮は、100%人工的に作られた世界だ。確かに大人でもそれなりに楽しめるが、100%天然的に造られた自然の面白さを知ってしまった人間からすると、所詮は、人工物。例えば、ジェットコースターなどのアトラクション(あるいは、他の遊園地の絶叫マシンなども同じだが)は、急降下などのスリルが楽しいわけだが、スリルでいうならクライミングの方が何倍も味わえるし、落ちる恐怖よりも、アルパインでの落ちてはいけない恐怖、というか緊張感のほ空間山(からまやま/スペースマウンテン)うが、はるかに刺激的だと思う。ディズニーのキャラクターは、かわいいとは思うし、パレードも楽しげではあるけれど、山岳地の自然の造詣や高山植物の可憐さ、自然の表情の移り変わりの見事さには勝てないと思う。
 そもそも、ディズニーランドは、100%アメリカ文化の受け売りだ。受け売りというか押し売りといってもいいかもしれない。ポップコーンを頬ばりつつ歩いている姿やピザやホットドッグなどの脂っこいファーストフードを食べている姿を見てるとアメリカ文化がどういうものかというのがよくわかる。ポップコーンやファーストフード自体珍しいものではないが、少なくとも日常の町の中でポップコーンを頬張りながら歩いている人は、あまり見ない。
 アメリカ文化を吸収するのもいいが、だとしたら、日本にも日本の成熟した文化があるわけで、それらを海外にどんどん輸出してもいいのではないかと思うのだが。地球温暖化を認めず、京都議定書にも同意せず、相変わらず、大量消費文化のうえに栄華を誇るアメリカ。しかし、それは、ハリケーンに象徴されるように自然の微妙なバランスの前にもろくも崩れ落ち、地球というエコシステムの中から排除されようとしているように思われる。しかも、それは、アメリカだけではなく、もちろん日本にも当てはまることなのだ。古来、日本人は、自然の中で自然と調和した生活と文化を育んできたのではないか。それがディズニーランドに代表されるアメリカ文化に劣っているとは思われないのだが。
 そんなことを考えつつ、園内を巡り歩いた。この日、何万人の入園者がいたか知らないが、こんなことを考えながら歩いている奴は、他には誰もいなかったろう。そんな自分に苦笑しつつ、前方を見上げると小さな岩山と「○○マウンテン」の文字。山ヤで夕闇に映えるシンデレラ城ある以上、山の名を見て血が騒がないはずはなく、ディズニー三大マウンテン完全登頂を果たすべく、アタックを開始。まずは、飛沫山(ひまつやま/スプラッシュマウンテン)に挑む。意表をつく暗闇の急降下と最後の長めのダイブがスリリングかな、といったところ。あっけなく1座目に登頂を果たした。2座目は、大雷山(おおいかずちやま/ビッグサンダーマウンテン)。グルグルと狭いところを回りながらの急下降が数回。こちらもあっけなく登頂。そして、3座目の空間山(からまやま/スペースマウンテン)へと向かう。こちらは、暗闇の狭い空間をキリモミのような感じで縦方向横方向にグルグル回転するので平衡感覚がおかしくなり、足がふらついてしまった。こうして、見事、三大マウンテン連続登頂に成功。その割には虚しい気持ちを捨てきれず、土産物などセコセコと買って、日が沈んでライトアップされた園内を後にした。

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