山行報告
1実施日(期間) 2003年5月24日~5月25日
2山域 足尾山塊
3コース 沢入~塔ノ沢~前袈裟~後袈裟~奥袈裟~小法師尾根~原向
4山行形態 ヤブ尾根縦走
5参加者 黒澤
6概要
5月24日
 朝一の電車で出発寝釈迦。わたらせ渓谷鉄道の沢入駅からは、舗装された林道を登ってゆく。登山口からは、塔ノ沢沿いの道となる。新緑の中を登ってゆくと、寝釈迦に至る。登山道から少しあがったところに自然石に彫られた巨大な釈迦像が横たわっている。ここからさらに沢に沿って登って行くと、真新しい避難小屋を過ぎ、そのすぐ上で尾根に出る。賽の河原という明るい溶岩台地で、あちこちにミツバツツジが咲いている。ここから登山者の姿が急に増えた尾根を登ってゆく。賽の河原のミツバツツジ
 やがて、小丸山に到着。樹林が切れているが、ガスが出てきて、視界が利かない。ここから下った鞍部が今日の泊まり場だ。かまぼこ型の避難小屋が建っているが、本当に小さな小屋で、これなら、テントのほうがましと、幕営する。付近は、まだ、芽生えていないダケカンバの明るい林で、鞍部は、平坦な草地になっている。なかなか気分のいいところだが、隣のテントの3人組(どこかの山岳会らしい)が酔っ払って騒ぐので、気分が台無しになってしまった。

5月25日
 今日の行程は、長いので、夜明けと同時に出発。すぐに前袈裟への急な登りとなる。前袈裟の山頂には、この先アズマシャクナゲ、前袈裟~後袈裟間の通行止めを知らせる立て札があるが、構わず進む。すぐにアズマシャクナゲの大群落に出会う。目も眩むようなピンク色の花の中を抜けて行く。下りついた鞍部は、八反張という小さなコルで、両側から崩壊が進んでいる。どうやらこのために通行止めになっているらしいが、問題なく通行できた。
 コルから後袈裟に登り返す。一般の登山者が訪れるのは、後袈裟までで、ここから先は、深山の雰囲気が漂い、道も不明瞭になる。後袈裟から見た中袈裟と奥袈裟奥袈裟は、ヤブに埋もれたまま訪れる人も少なく、ひっそりとしている。奥袈裟からは、さらに道が細くなり、地形図が手放せない。やがて、小法師尾根への下降点に到着。「小法師尾根入口」と書かれたプレートが木の幹に打ち付けてある。尾根の入口といっても、すぐに尾根が派生しているわけではなく、最初は、沢の源頭のような斜面を下るので、非常に判りづらい分岐だ。踏跡も乏しいので、ガスに巻かれたときは、相当注意を要する。
 いよいよここからが本当の核心部だ。緊張しつつ、ヤブの中へと踏み込んでゆく。笹ヤブは、薄いものの、判然としない踏跡を慎重に拾いながら下ってゆくと、次第に尾根らしくなってくる。しかし、頼みの踏跡は一向にはっきりしない。こうなると地形図とコンパスだけが頼りだ。
 1784ピークの下りでは、正面の尾根に引き込まれそうになるが、すぐに修正。ここは、右よりの尾根が正しいルートだった。笹ノ平と呼ばれるピークは、その名のとおり、背丈ほどの笹に覆われた平坦なピーク。地形図とコンパスを使って方小法師岳から見た鋸岳(中央手前)と皇海山(右手奥)向を定め、笹ヤブの中を一直線に進んで、うまく突破する。再び尾根らしくなったところをしばらく上下すると、尾根の中間点、小法師岳に到着。ここで昼食とする。シロヤシオやムシカリの白い花が目を惹く。その向こうには、庚申山や鋸山、皇海山の山稜がかすんで見える。
 小法師岳を越えると、なんとなく人の匂いのする道となる。とはいっても、まだまだ気が抜けない。相変わらず、笹ヤブは深いし、ダニも出てくる。ズボンについたダニを次々と指で弾き飛ばしながら、一目散に駆け抜ける。
 ようやくダニの多発地帯を過ぎ、次第にはっきりしてきた踏跡をたどり、巣上山に到着。明瞭な踏跡が真っ直ぐ南にのびているが、ここは、地形図どおりに左折する。しかし、次第に踏跡が消え、人為的な形跡が全くなくなってしまった。これには焦った。こんなところで迷っていたら、下山できなくなってしまう。急に不安になり、巣上山から真っ直ぐに伸びていた踏跡を下ることにする。地形図にはないが、どこかに出るはずだ。案の定、すぐに林道に出る。最近できた林道らしい。
 林道を下って行くと、突然、林道の終点に出てしまう。どうやら、人里と逆の方向に進んでいたらしい。狐につままれた顔で呆然としていると、止まっている1台の軽トラックの中から男の人が顔を出し、声をかけてきた。地元の人らしい。事情を説明すると、林道の切れたところから尾根に取り付いて下れば、麓に下りられると教えてくれた。
 おじさんに礼を言い、言われたとおりに尾根を下る。踏跡は、はっきりしないが、歩きやすいところを下っていくと、やがて、民家の裏手の竹やぶに降り立った。地図で確かめると、唐風呂という集落らしい。面白い名だ。それにしても、巣上山まで順調だったのに、最後の最後で迷うとは、悔しい。それでも、無事に下山できたのはよかった。疲れた足に鞭打って、原向駅まで頑張る。原向駅は、無人駅で、人に代わって猿の群れが出迎えてくれる。何もないこの駅で1時間ほど列車を待ち、帰途へとついた。
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