山行報告
1実施日(期間) 2004年10月17日〜10月18日
2山域 谷川連峰
3コース 土合〜西黒尾根〜谷川岳〜大障子避難小屋〜万太郎山〜仙ノ倉山〜平標山〜平元新道〜元橋
4山行形態 縦走
5参加者 黒澤
6概要
10月17日
 前日の16日のうちに土合に入り、駅で仮眠。翌未明に出発、5時過ぎ、まだ暗い中、西黒尾根に取付く。やがて明るくなるとともに、風がでてきた。森林限界を抜け、ラクダの背と呼ばれるピークに達すると、谷川岳が全貌を現す。山頂部一帯にうっすらと新雪を載せている姿は、青空をバックにして猛々しい。オキの耳からのトマの耳
 ザンゲ岩を過ぎるあたりから、雪がだいぶ出てくる。天神平からの登山道を合わせ、程なくトマの耳に到着。記念写真を撮り、オキの耳に向かう。時折、強風に流される霧に隠れるものの、これから向かう仙ノ倉山方面が見えている。東側には、白毛門から朝日岳にかけての山稜はもちろんのこと、至仏山や燧ヶ岳、巻機山、日光白根山、上州武尊や赤城といった山もよく見えている。遥か遠方には、北アルプス北部の山々、噴煙たなびく浅間山、そして、八ヶ岳や奥秩父、富士山までも見えている。
 早めの昼食オキの耳からの国境稜線をとり、国境稜線の縦走に向かう。山頂は、いつしか天神平からの登山者で溢れかえっており、すごい混雑だ。ところが、肩ノ小屋から一歩、縦走路に踏み出せば、それまでの喧噪が嘘のように静けさに包まれる。やはり、山は、静かで人恋しくなるくらいがちょうどいいと思う。
 オジカ沢ノ頭で休んでいると、男の人がやってきた。谷川岳山頂の混雑に居たたまれず、ここまで足を延ばしたとのこと。若い頃に谷川周辺のルートは、バリエーションも含めて、ほとんど登っているという。厳冬期の国境縦走もやっているそうだ。住まいが同じ埼玉だということが分かり、1時間近く、この人と山の話をしてしまった。夕照に染まる一ノ倉岳と茂倉岳(大障子避難小屋から)
 その人と別れ、大障子避難小屋に向かう。快調にとばし、あっという間に避難小屋に到着。予想通り、誰もいない。今日は、日曜日。1人の可能性が高そうだ。少し落ち着いてから水を汲みに行く。水場は、南側に5分ほど下る。水量豊富で、とてもいい水場だ。ここは、阿弥陀沢の支沢の一つで、南には、俎ー山稜が壁のように聳えている。
 水場から戻り、夕食を済ませ、4時からの気象通報を聞いて天気図を描くと、あとはもう、やることがなくなってしまった。早々に寝袋に入り、ローソクの灯りでもって読書。結局、この晩は、自分1人だけだった。夜中に外に出ると、天の川が南西の空から北東の空へ大きくかかっていた。新潟県側、仙ノ倉谷の先には、関越道のオレンジ色のヘリウム灯の帯が大きくうねって見える。夜半から再び出た風の音がうるさく、よく寝付けなかった。

10月18日
 暗いうちに小屋を出る。相変わらず風が強い。オリオン座をはじめとする冬の星座が夜空を飾っている。その星座も、5時半を回ると急万太郎山方面からのエビス大黒ノ頭と仙ノ倉山速に色褪せていった。
 大障子ノ頭を越え、万太郎山にとりつく。東の空は、美しい朝焼け。予報では、今日もいい天気。しかも、貴重な好天。明日からは、また、雨らしい。万太郎山の頂に立つと、昨日からの道と、これからの道が稜線上の笹の中に一条の筋となって足下に押し寄せている。
 万太郎山から毛渡乗越へ大きく下り、エビス大黒ノ頭への登り返しとなる。このあたり、夏には、ニッコウキスゲ咲く雲上のプロムナードなのだが、今は、その枯れた姿すらない。エビス大黒ノ頭を越えると、いよいよ縦走もクライマックス。仙ノ倉山への登りとなる。短いながら急登を終え、仙ノ倉山との鞍部から見る平標山山頂に到着。さすがにこの山頂には、平日でも人がいた。谷川連峰の最高峰でもあるし、のんびりとしたいところだが、頭の中では、すでに帰りのバス時刻の計算が始まっている。早々に最後のピークである平標山へと向かう。
 平標山で谷川岳や万太郎山ともお別れ。去りがたい気持ちを抑えつつ、また来ることを約束して、平標山ノ家へと下る。数年前に登山道が整備され、ほとんど木の階段と化した下りは、コースタイムの半分以下で駆け下る。
 小屋前のベンチで軽い昼食をとる。ここからは、さらに加速モードで林道まで一気に駆け下り、林道を国道17号まで歩く。元橋のバス停には、バスの時刻より少し前に着いた。夏に何度か歩いたことのあるコースだが、秋に歩いたのは初めてだ。好天に恵まれて、すばらしい時間を過ごすことができた。