山行報告
1実施日(期間) 2005年2月12日〜13日
2山域 奥多摩
3コース 日原鍾乳洞〜タワ尾根〜酉谷山〜坊主山〜矢岳〜武州中川
4山行形態 縦走
5参加者 小野、黒澤、他1名(山なみハイキングクラブ)
6概要
 1月に酉谷山に登ったとき、タワ尾根を登ってきた人たちがいた。ガイドブックにも紹介されていないこの長い尾根を歩こうと思って、今回、労山会員3名で挑戦することになった。どうせ、冬のヤブ尾根を歩くなら、下山もこの付近屈指のヤブ尾根である矢岳から武州中川へ下ることにする。

2月12日
 前夜のうちに青梅線の鳩ノ巣駅まで行き、翌朝、下りの始発で奥多摩駅へ出て、始発のバスで日原に向かう。バス停から30分ほどで日原鍾乳洞に到着。鍾乳洞の道の反対側にあるのが一石山神社で、ここからタワ尾根へ取付く。のっけから急登だ。右に岩壁を見ながらジグザグに登ってゆく。1時間ほどで一石山に到着。ここからゆったりした尾根道となる。人形山、金袋山は、判然としないピークで、いつの間にか通り過ぎる。無風快晴の好天のもと、物音ひとつしない静かな雑木林の中を登ってゆく。鈴阪山もピークというより、尾根上にあるドーム状の起伏といったところ。ここで積雪量は、30cmほど。前方には、この尾根で一番顕著なピークであるウトウの頭がいよいよ近く見えている。ウトウの頭の山名標識板
 地形図でもわかるとおり、ウトウの頭の登りは急登だ。南斜面なので積雪量は、少ない。登りついたところは、肩にあたる所。ここから黒木に覆われた痩せた尾根をしばらく辿ってゆくと、待望のウトウの頭だ。山頂の南に立つ黒木の幹には、ヤブ歩き好きにはそれと知られる山名表示板が掛かっている。なかなか芸術的な表示板だ。ここは、深山の趣のある感じのよい山頂だ。梢越しにウトウの頭にては、酉谷山方面が垣間見えるが、まだまだ遠い。
 ウトウの頭から一度下降し、痩せた尾根をだらだらと進むと、尾根を左に外れて下降する地点に出る。ここを尾根通しに進むと岩上に出て行き詰まるのだが、おびただしい鹿の足跡もこれを回避するためか、左へと迂回している。鹿の足跡に導かれるようにして急な斜面を強引に下ったところが大京谷のクビレという鞍部。ここから登り返すこと1時間強で、長沢背稜縦走路に飛び出す。事前に調べたところでは、この区間の笹ヤブが一番手強いとのことであったが、季節柄かササが一斉枯死してしまったのか、とにかく腑抜けするくらい楽勝だった。
 あとは、縦走路を1時間ほど辿れば酉谷山避難小屋に着くのだが、さすがに長沢背稜までくると積雪量が多く、意外と時間を食った。よかったのは、避難小屋に誰もいず、貸切だったこと。一応テントを持参したのだが、使わないですんだ。

2月13日
 暗いうちに起きて外に出ると、満天の星と東京の夜景が迎えてくれた。明るくなると同時に小屋を出発。やがて、日差しが赤く山々を照らし始める。昨日歩いたタワ尾根も赤く染まっている。縦走路を少し三酉谷山付近から見たタワ尾根(ウトウの頭)ツドッケ方面に進んだところが矢岳分岐(導標はない)。ここから左の斜面を登ってゆく。すぐに稜線上に出る。ここが坊主だ。ここから矢岳への尾根に取付くには、北斜面をトラバースしてゆく。長沢背稜についていたトレースもこの先はないばかりか、北斜面に入ったとたん、積雪量が増し、股くらいまである。慎重にテープを探してルートファインディングをしながらラッセルをして進んでゆく。尾根に出て、そのまま尾根を上下してゆくと、笹ヤブが濃くなってくる。ササだけでなく、馬酔木などの潅木が密生し、行く手を阻む矢岳にてようになる。深雪とヤブに苦しめられながら、進む。赤岩ノ頭を過ぎ、武州日野方面からの道を合わせると、数日前に歩いたらしい踏跡が現れた。ここから先は、ヤブとラッセルから開放され、矢岳へと向かった。
 矢岳山頂からは、武州中川へと続く尾根を下る。ここまで、ラッセルで時間を費やしてはいるものの、まだ、正午前なので、何とか下りつけそうだ。山頂から急下降してゆくと、積雪量は、目に見えて少なくなってゆく。途中、大きな猟銃を持ったハンターと出会う。イノシシ狙いだそうだ。篠戸山を過ぎ、送電線の鉄塔をくぐり、大反山を左から巻き、雪の消えたジグザグ道を下ってゆく。武州中川駅付近から振り返ると、熊倉山から小黒ドッケ、酉谷山、坊主山、矢岳と続く山稜がパノラマのように我々の背後に広がっていた。