山行報告
1実施日(期間) 2006年8月19日〜8月20日
2山域 谷川連峰 ナルミズ沢
3コース 宝川温泉〜宝川林道〜林道ゲート〜広河原〜ナルミズ沢〜二俣〜奥ノ二俣〜稜線〜ジャンクションピーク〜朝日岳〜ウツボギ沢出合〜宝川林道〜宝川温泉
4山行形態 沢登り
5参加者 小山 藤原 黒澤
6概要
8月19日
 宝川温泉を過ぎ、車で宝川林道のゲートまで入る。ゲートからは手入れのされていない林道を歩く。宝川は、ものすごい大きさの巨岩が川床にゴロゴロ転がっている。林道は高度を上げ、川床から離れていく。林道終点からは、登山道に導かれ、ウツボギ沢出合まで1時間半ほどの登り。意外とアップダウンの多い道だ。ずっと下のほうを流れている沢がぐんと高度を上げてきたなと思うと、高度差60メートルくらいの大滝が眼下に現れる。その先で沢に下りつくと、そこが徒渉点だ。ここを右岸へと渡り、わずかに進むとウ広河原でのキャンプ。焚火は必須。ツボギ沢出合の広河原に到着。さほど広くない河原だが、テントが数張り張れるスペースがあり、焚き火の跡がある。まだ、正午を回ったばかりの時間だが、早々にテントを張り、河原の木陰でのんびりする。
 ここは、標高千二百メートル。涼しいはずなのだが、この日は、フェーン現象で新潟で37度まで気温が上がった日。木陰にいても暑いくらいだった。日が西の山の端に落ちるころ、焚き火を始める。別に暖を取るわけではないのだが、河原でキャンプをしているのに焚き火がないというのも物足りない。ウツボギ沢を下降してきた別のパーティもやはり焚き火を始めた。河原のキャンプと焚き火は、切っても切れない関係らしい。 
8月20日
 夜半、少し雨が降った。3時半前に起床し、朝食を済ませ、足ごしらえを整え、5時にテントを出発する。辺りは、既に明るいが、空は曇っている。すぐに沢に入り、沢筋沿いに遡ってゆく。すぐに淵やら小滝広河原の上流の淵。これが「引き込み淵」?が現れる。早速、いやらしいへつりが出てくる。慎重に越えて、しばらく行くと、今度は、大きな釜を右からへつる。ここには、「引き込み淵」という恐ろしい淵があるらしい。ここは、無難に尻まで浸かってニッコウキスゲ沢ノ中をへつる。結果的には、これが今日の核心部だった。あとは、緊張するような箇所はなかった。
 ナメや小滝を次々に越えてゆくと、次第に両岸が開けてきて、ニッコウキスゲの花なども見られるようになる。なかなか明るい雰囲気だ。花や大きな岩に開いたポットホールなどを楽しみながら登ってゆくと、大石沢出合に到着。ここにもビバークポイントがいくつか点在している。昨日、ここで幕営したパーティもいくつかあったようだ。
 大石沢出合にかかる滝は、左側から越える。その上大石沢出合にも美しい小滝やナメが続く。正に水と戯れながらの沢登りが続く。気温が高いので、濡れても一向に気にならない。そのうち、両岸に雪渓の残骸が現れる。その間を通過していくが、崩壊すると、巻き込まれそうで、ちょっといやらしい感じ。でも、雪渓の融けたところには、ミズバショウの芽が出ていて、遅い春の訪れを迎えていた。
 やがて、両岸が狭まり、ちょっとした小さなゴルジュのようなところに出る。青々とした水を湛えた淵が続いており、神秘的な風景だ。両岸は取りつくことのできない壁となっていて、あくまで沢筋通しで行くなら、泳ぐしかないところのようだが、今回は、左岸のぬかるんだ草付きを高巻いた。今度来たときには、ぜひ、泳いで通過したいところだ。ここを通過すると、8メートルの魚留めの滝だ。二俣。雪渓が塞いでいた。ここは、右側を登る。前方には、地蔵ノ頭というピークがガスの間に見え隠れしている。
 やがて、二俣につく。ここは、雪渓に埋まっている。といっても、崩壊が進んだ雪渓の上を通過することはできない。くぐるミヤマダイモンジソウとすれば、5メートルほどの短い距離だが、崩落したときのことを考えると危険だ。ここは、雪渓の右端のヤブとの境を巻いて、うまく雪渓の上流へ下り立つ。ここから先が右俣だ。水量がだいぶ細くなった。
 黒い苔が密生するナメをたどる。規模は小さくなっても、かわいい小滝と淵とナメのミニチュア版が源流部まで上流部。明るい草原の中を流れる。続く。両側は、明るい草原で、なんとなく、緊張感から放たれる。しかし、時々、小さいながら、2メートル以上の深さの淵が出てきたりして驚かされる。これがお湯だったら、天然の一人用露天風呂だ。
 いよいよ水流が細くなり、稜線が近づいてくる。ここが奥ノ二俣だ。ここは、大烏帽子山を右に見て、左股を遡る。水流が枯れる手前でわらじを詰めの草原。「天国へ続く草原」だという...。解いて、靴に履き替える。あとは、草原の中の踏み跡をたどり、大烏帽子山と地蔵ノ頭との間の鞍部へと出た。ここは、朝日岳と巻機山とを結ぶ稜線上だ。ガスが多く、視界はハッキリしないが、清水峠のJRの巡視小屋や七ツ小屋山、特徴的な大源太山などが望まれる。ここからは、一応、踏み跡らしきものがあるが、笹の中をヤブこぎしながらジャンクションピークを目指す。標高差250メートル近い登りは、遡行終了後の帰還ルートとしては、結構ハードだ。ジャンクションピークからは、のんびりと木道を歩くと朝日岳の山頂。笠ガ岳、白毛門へと延びる山稜がどっしり見えており、そちらへと下降するパーティも確認できた。朝日岳山頂
 休憩後、宝川方面へと下降を始める。朝日ガ原の水場は、枯れていた。湿原を抜けると、手入れのされていない足場の悪い岩場と笹ヤブの道となる。途中からは、刈払いがされて一安心と思ったら、ナルミズ沢めがけての直滑降の道となり、膝が壊れそうだった。
 大石沢で少し休み、冷たい沢水を存分に飲んで、ウツボギ沢出合へと戻った。急いでテントを撤収し、パッキングを済ませ、昨日登ってきた道を車の置いてある林道ゲートめざし、下った。今日は、なんと、12時間行動となってしまった。宝川温泉に入浴し、山の汗を洗い流して、帰途へとついた。