韓国の住宅事情
1>2002年までの基本的状況

韓国の住宅政策は日本と同じ中産階級に対しての持家推進政策が中心である。しかし,韓国政府は同国独自の建物
賃貸借制度を支持し、低所得者層への公共賃貸住宅を犠牲にした点が日本と異なる。その制度がジョンセ・ウオルセ
制度である。現在韓国の公的賃貸住宅(居住10年間以上保証)は全住宅の3.4%、39万戸(日本は6.7%)に過ぎ
ない。そのため政府は2003年からの10年間で100万戸の低所得者向け公的賃貸住宅建設に着手し、公的住宅の
割合を全住宅戸数の15%にしようとしている。(30年間居住保証、低所得者向け)

(ジョンセ)
建物所有者が建物価格の5割程度のジョンセ(保証金)を借手から受け取り建物を家賃無しに使用させ、その保証金
を投資して収益をあげ、2年後にジョンセを無利子で返還し立退かせるか、再契約(ジョンセの値上げあり)する制度。
借手は更新拒否されたら無条件で立退くしかない。この制度は第2次大戦後に始まったもので、韓国では銀行の住宅
ローンが普及しなかったことと、10%を越す高金利だったので投資家等が家賃より投資資金を求めたことから始まっ
たと云われる。
(ウオルセ)
ジョンセよりはるかに安い保証金と月払いの家賃を払い借りる。期間2年で再契約は家主が拒否しない限り出来の他
にレントと言う保証金の無い家賃のみの借家があるが、その分かなり高い家賃になる。ウオルセはジョンセより保証金
が極めて安い分を家賃で補うのが違う。最近は金利が4%まで下がったことと住宅価格が上昇しジョンセも値りしたた
めウオルセが増えている。

(住宅建設)韓国は80年代末まで、60年代からの急速な産業化の進展による都市部への人口集中で慢性的な住宅
不足となっていた。政府は、国民住宅基金、韓国土地公社、大韓住宅公社や法制度の整備により、公的住宅を建設し
、また国民の持家建築資金を融資した。1982年から95年の間に612.1万戸の住宅が建設されたが、その38.3%
は大韓住宅公社と地方自治体が建設した公的賃貸住宅だった。しかし、韓国では公的賃貸住宅は1984年の賃貸住
宅建設促進法制定以後に建てられたが、民間も公的でも賃貸開始5年で(公的賃貸住宅は低所得者向けの低家賃で
住んでいた)居住者に売却される。つまり、実際に公的賃貸住宅を建設したと言えるのは、公社が1988年から92年
に低所得者向けに各自治体と共に建設した永久賃貸住宅19万戸からである。政府はその一方で中産階級の持家獲
得、貸家建設や富裕層の投資対象のジョンセ資金の融資まで行ってその結果が低所得層の劣悪な住宅事情と高品質
の住宅に暮す富裕層との住宅格差の拡大となった。2000年の政府統計では約1、096万戸の住宅のうち、床面積95
.7m2を越える住宅約233.7万戸の88.8%が持家の多い一戸建や高層共同住宅(韓国ではアパートと呼ぶ)であり、
韓国の住宅の平均床面積は95年で約58.41m
に過ぎない。

劣悪な住宅事情と公共賃貸住宅建設)
現在も一戸建や共同住宅に多数の世帯が生活し、(*85年当時のソウル市内では41%の世帯が一室居住で、多
数の世帯が一戸建ての一部や地下室、小規模アパートに暮していた。)2000年の資料では、多数の世帯の住む
連立住宅や多世帯住宅(共に4階建て以下)の18%が46.2m2未満である。ソウル市内の低所得者向け公共永
久賃貸住宅は一世帯平均3名、床面積23.1〜42.9m2。家賃と管理費で月額10万ウオン(約1万円)で市場家
賃や一般住居費の20%以下、ウオルセが19万円。居住世帯の半数が生活保護を受け、高齢ひとり暮し、母子家
庭、身障者(精神障害者を含む)、病人(アルコール中毒患者を含む)などで、コミュニティつくりが困難であり、建物
設備の老朽化でスラム化している。なお5年ごとに所得を審査し、基準越えたものは立退きとなる。入居待ちもいる
が退去者は極めて少ない。(23.1m2の部屋はトイレ、シャワーと2室)
現在計画中の低所得者向け100万戸住宅の入居基準は、都市勤労者世帯の平均月収の7割以下で2003年は約
20万円。現況では劣悪な住宅に多くの貧困層が過密居住し、それによる社会不安は危惧されるが、一般的に居住
への権利意識が低いように見える。100万戸の国民公共賃貸住宅の建設計画は、政府のこれまでの住宅建設政
策の重心を量的な充足から質の充足に移するものである。2004年に最低居住水準が制定されたが一世帯4人家
族で41m2。しかし、この年に急騰する地価抑制策として、宅地所有制限や開発利益への課税(キャピタルゲイン
という思い切った政策をとった。
韓国の住宅事情と住宅政策の概要」(海老塚良吉)、朴信映氏「ソウルの再開発と住宅問
題」より引用。

1995年(全国)/ 持家 53.3%、 ジョンセ 29.7%、 ウオルセ 14.5% その他 
2.5% 
(*以下、ソウル市は< %>)
          <39.7>       <43.8>      <15>       <1.4>
     

 一世帯平均床面積/  58.41m2 <53.46m2> 水洗トイレ率  68.6% 
<81.1>

温水浴室率/ 73.4%  <79.4>  世帯数  1、295.8万世帯 <297.7万世帯>

*参考資料
「韓国情報 国民賃貸住宅建設等に関する特別措置法について」周藤利一、「Major Statis
tics of Korean
Economy」2002、9 Korean National STatistics Office 、「海外の賃貸借事情」
まち居住研究会編・箸


 
関連資料1・「韓国と日本の借家関連の法律の比較」

関連資料2・韓国の最新の住宅政策(2003年から現在まで)