水道をめぐる話

(問1) 人間は1日に一升瓶で何本くらいの水を体内で使っていると思いますか?

                                 (問1の答へ)

(問2) ミネラルウォーターの1992年における消費量は、国民1人あたり何リットルだと思いますか?

                                 (問2の答へ)

(問3) ミネラルウォーター1リットルの値段は、宇都宮市の現在の同じ量の水道料金(ただし基本料金とします)の約何倍だと思いますか?

                                 (問3の答へ)

◎ 水道水のできるまで
@川などから取った水を「混和池」へ送り、ここで凝集剤を注入して細かな汚濁物質を比較的大きなかたまりにし、ブロック形成池に送ってかくはんする。
A沈殿池に送り、かたまった汚濁物質を沈殿させる。
B急速濾過(ろか)池へ送る。ここで微粒子や細菌を取り除き、飲める水となる。
C塩素を注入し、万一混入した病原菌に対処する。ここで水道水特有の「カルキ臭さ」がついてしまう。
D配水池から配水管をとおって各家庭へ。この段階での残留塩素は最低0,1ppm。それ以下だと消毒の効果がない。

◎ 水道水にも危険がいっぱい!?
近年、おいしいと言われてきた日本の水道水にも危険が迫っています。消毒のために使われている塩素が、原水の中に含まれるフミン酸と化学反応を起こして、発ガン性のあるトリハロメタンという物質を発生させるのです。

 
              ○4大都市における水源の総トリハロメタンの濃度
東京・金町浄水場(1975年)95ppb    大阪・村野浄水場(1978年)63ppb    横浜・横浜国大構内水道水(1978年)42ppb    京都・蹴上浄水場(1980年)9ppb

注)1ppbは100万分の1mg,現在の水質基準では100ppb.

(問4) なぜ大都市部の水道は汚染がひどいのか、もちろん都心部が汚れているのは当然ですが、他に理由はないでしょうか?

<ヒント> 大都市部では上流から流れてくる川の水から水道を得ているのです。と言うことは…

                                
(問4の答へ)

○ 貯水池の汚れの原因は? 
(問5) 水を確保するために、ダムを設けて貯水池をつくってきましたが、水はためるとプランクトンが増え、汚れてしまいます。その上さらにこの水を汚してしまう原因が2つ考えられています。それは何と何でしょうか?
<ヒント> 1つは人間の仕業、もう1つは動物の仕業です。

                                
(問5の答へ)


○ 「水道屋さんはマンションの水は飲まない」ってどういうこと?
マンションなどのビルの配水システムは、1回地下にある受水槽に水道水を貯めてから、ポンプで屋上にある高置水槽まで上げます。そしてそこから、各階へ配水します。
(問6) ところがこの2つの水槽は杜撰(ずさん)な構造のものが多く、工事の作業員の使った長靴や手袋、ジュース瓶、はてはゴキブリや鳩の死骸まで浮かんでいることがあるといいます。水槽検査の専門家は、たとえネズミの死体がなくても、何匹浮いていたか、あることでわかってしまうといいます。さて、そのあることとは?
<ヒント> ウゲェ〜ッ!!


                               
 (問6の答ヘ)

・その他、次のような水道に関わる事故が報告されています。「水道から油混じりの真っ黒い水が出た」「水道の水に塗料片が浮いていた」「水道から米粒やラーメンくずが出てきた」などなど。
(問7) こうした事故は、たとえばアメリカなどでは考えられない日本のある特殊事情が背景にあります。それは何でしょうか?
<ヒント> こうした異物は、汚水槽にあるべきものです。ということは…

                               
 (問7の答へ)

○ 川の自浄能力とは言っても
(問8) たとえばラーメンの汁を1杯(300ml)に対して、魚が住めるようになるのは18リットルの石油缶で何本分の水を必要とすると思いますか?

                                
(問8の答へ)


◎答と解説
(問1)100本分、つまり180リットルの水が必要です。体重50キロの人は、その約6割、30キロが水分ですから、絶えず体内をめぐる水を腎臓を使って1日に6回循環させて使っていることになります。

                                 
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(問2)2,77リットルです。ちなみに1986年には0,68リットルでした。それから浄水器の売り上げは84年に100万台をこえましたが、その後性能に対する疑問からいったん50万台へ落ち込みました。しかし91年には再び急上昇、360万台に達しました。これらのデータは、国民の水道水に対する不安感を示しています。

                                  
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(問3)
2000〜2500倍です。水道料金は標準家庭で、1リットル0,1円です。ミネラルウォーターは同量で200円としますと2000倍です。ものすごい高い水を飲んでいることになりますね

                                 
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(問4)
水源である河川の上流域にまでベッドタウンが開発され、そこからの下水や屎尿(しにょう)が流されるため、川が都心部に入る時点で大変に汚染されている水になっているわけです。

                                  
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(問5)
違法に貯水池に入り込んだ釣り人のまいた撒き餌と鴨などの渡り鳥の糞です。

                                  
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(問6)
残っている尻尾の数を数えればいいからです。水道水の中に含まれる塩素のために、体は溶けてしまいますが、尻尾だけは残るのだそうです。ね?ウェーッでしょ?

                                  
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(問7)汚水槽の隣に壁ひとつ隔てて飲み水のための受水槽がある。
つまり狭い土地にめいっぱいにビルを建てなければならないため、こうしたところの設計の配慮がおろそかになってしまうのです。

                                  
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(問8)90本分、1600リットルも必要です。ちなみにこれが天ぷら油500mlだと、なんと7800本、つまり140キロリットルも必要なのです。川の自浄能力とは言ってもそれはる微々たるもので、人間が出す汚染物質の前にはほとんど無力といっていいほどのものなのです。

※これらの問題と答、解説は、暮らしを守る会調査部編『水道の水を飲んではいけない』(青春出版社、1993年)、及び取材に行った宇都宮市浄水場、宇都宮市消費生活センターの資料などから作成しました。

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