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今回のお願いは、今までとはちょっと形式が異なります。お願いしたいことは、添付したエクセルファイルを開いていただいて、合計すると20個の数値を入れていただき、データを返送していただきたいというもので、作業としてはそれほど大変なものではありません。ただ、どちらかというと、高度な判断を要する内容で、もし取り組んでいただくとすればいくらかの時間をさいていただく必要があるかもしれません。

ご回答やメッセージの送り先:kenjy@iis.u-tokyo.ac.jp


添付エクセルファイルはここをクリックしてダウンロードして下さい
(ダウンロードできない場合はメールにてご連絡をお願いします)


インパクトアセスメントの重み付け係数設定のお願い

<お願いの背景>
 現在、安井研究室では、容器の比較を行うためのLCA算出を行っています。LCAとは、製品のライフサイクルにわたって環境負荷を積算し、環境への負荷を算出する手法のことです。容器には、ガラス瓶、アルミ缶、鉄缶、紙パックなどがあり、以前からどの容器が環境に良いのかが議論されてきました。このような比較を、LCA手法を用いて定量的に比較し、それを公表しようというのが研究内容です。昨年の5月に第一回目の報告を行い、朝日新聞をはじめとして大々的に取り上げられたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。今回は7月に第二回目の報告書を作成する予定ですが、それを行うに当たって、LCA手法の一つの段階であるインパクトアセスメントを見直すことに致しました。インパクトアセスメントとは、集められた各種データが地球環境にどのような環境負荷(インパクト)を与えるかを算出する手法のことで、今回その部分を私が担当することになりました。
 昨年は、インパクトアセスメント手法として「時間消費法」という安井教授が考案した方式を用いました。今回と同様にエクセルシートを配布してデータを収集し平均化して用いたのですが、データ数がすくなかったことなどが指摘されています。そこで、今回は、市民代表として皆さんのお力をお借りしてデータを再収集することにいたしました。

<時間消費法の説明>
環境問題は、次のような11の分野に分けて考えることができます。

カテゴリ 内容
1 地球温暖化 二酸化炭素(などの物質が地球を温暖化させることで、海面上昇や気候変動などを引き起こす問題
2 オゾン層破壊 フロンなど物質が大気圏上層のオゾン層を破壊することで、生物に有害な紫外線が地上に降りそそぐ問題
3 大気酸性化 自動車などから発生する硫黄酸化物、窒素酸化物が酸性雨を発生させる問題
4 大気汚染 汚染物質を大気中に放出することで、光化学スモッグなどを引き起こす問題
5 重金属・発ガン性物質汚染 水銀、カドミウムなどの重金属や発ガン性物質が放出されることで、生物に悪影響を及ぼす可能性のある問題
6 水質汚濁・富栄養化 洗剤などの有機物や窒素・リンなどの放流によって、河川、湖沼、海域を汚染する問題
7 淡水使用 河川水量の減少や地下水枯渇などによって上水が枯渇する問題
8 エネルギー消費 石油・天然ガス・ウラン資源などのエネルギー資源が枯渇する問題
9 資源消費 鉛、すず、亜鉛、銅などの鉱物資源や木材などの生物資源が枯渇する問題
10 固形廃棄物 廃棄物処分場の枯渇の問題
11 その他 上記10分類に含まれない問題

 これらの環境問題の集まり(カテゴリ)ごとに重み付けをして、一つの数字にまとめるというインパクトアセスメント(重み付け)は、純粋に科学的にはできず、何を大事に考えるかといった社会通念によって決めていく必要があると考えられます。「時間消費法」はそういった一般社会の考えを反映させる手法の一つです。
 時間消費法の考え方を説明します。11カテゴリの一つ一つの環境問題について、現状のまま何も対策をとらないとすると、何年後かにはなんらかの環境的な危機を迎える可能性が大きくなります。そこで、

  1. その危機が来るとすれば、それは何年後に発生する可能性があるか(危機発生までの年数)
  2. そして、その危機は相対的にどの程度大きいか(致命度)

を、それぞれの環境問題ごとに何人かの人に決めていただきます。例えば、温暖化が100年後に100という大きさで危機を迎えるとすれば、固形廃棄物による処分場枯渇の問題が10年後に5という大きさで危機を迎える・・・
というように数字を決定していただいて、それぞれのカテゴリごとに平均化して、

重要度=(致命度)÷(危機発生までの年数)

のように重要度を算出します。前例の温暖化の場合は、100÷100=1、固形廃棄物は 5÷10=0.5となります。
危機の大きさ(致命度)は、どの環境負荷を基準にしてもかまいません。また、考える範囲は、日本全域の場合としてください。

<お願いしたい内容>
 時間消費法による回答数値を決定するためには、それぞれの環境カテゴリごとに何らかの知識および見識が必要になります。もし、これらについて勉強したいと考えられる方は文末に示す参考資料などを使っていただきたいと思いますが、資料からなんらかの数字を見つけてきてそれをお答えいただきたいわけではないということにご注意ください(環境問題は一般に不確定要素が非常に大きいため、現時点で明確になっていることだけで全てを判断することは難しいと考えられます)。
 あくまで、皆さんの各問題に対する認識を「直観的に表現する」ことが重要で、望ましくは次のプロセスのようにすすめていただければと思います。

  1. 10のカテゴリの内容を把握する(用語の把握や内容等)
  2. 文献などから、現在の社会・環境の現状認識を深める
  3. 添付したエクセルの「時間消費法アンケート」のシート(図1)に、致命度危機発生までの年数を入力する
  4. 他の評価手法などを参考に、各数値を調整する(直観を活用)
  5. 「結果」のシート(図2)で、お名前、ご所属等を記入し、データ部分をメールにコピーしてkenjy@iis.u-tokyo.ac.jpまで電子メール転送してください(コピーはできるだけテキスト形式にしてください)

図1 「時間消費法アンケート」シートにある入力画面(記入例)

図2 「結果」シートにある結果出力画面(出力例)と送信方法

ご回答期限は、誠に勝手ながら6/20とさせていただきますが、出来るだけ速めにご回答いただければ幸いです。
少々大変かも知れませんが、よろしくご検討くださるようお願い申し上げます。
以上

<参考資料>
(基本的な情報)

(ちょっと高度な情報)


<時間消費法で考慮する物質>

  1. 地球温暖化: CO2、CH4、N2O、HFC134a、HFC else、PFC、SF6、CFC-11、CFC-12
  2. オゾン層破壊: CFC-11、CFC-12、CFC-113、HCFC-22、HCFC-123
  3. 大気酸性化:SOx、NOx
  4. 大気汚染:CO、Dust(SPM)、NOx、PAH、SOx、CH4、VOC
  5. 重金属・発ガン性物質排出:Hg、Mn、Pb、As、B、Ba、Cd、Cr、Cu、Mo、Ni、Sb、PAH、Org. Cl cmp
  6. 水質汚濁・富栄養化:BOD、COD、SS、n-hex、NOx、N total、P total
  7. 淡水使用:H2O
  8. エネルギー消費:Crude oil、Coal、Natural gas、Electricity
  9. 資源消費:Al、Cu、Fe、Ni、Pb、Sn、Zn、SiO2、CaCO3、Clay、Wood
  10. 固形廃棄物:Total Weight

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