環境情報から行動にいたるまでの心理学的モデル2001.2.9

早速ですが、
 皆さんは、環境に関しての情報を日々受け取っていらっしゃると思います。「21世紀は環境の世紀だ」なんておっしゃる方もいます。でも環境に関する情報が洪水のように流れている割には、環境に関する活動が推進しているかというとちょっと疑問です。どうしてなんでしょうか。

 これに関する研究や検討はいくつかあります。問題が複雑で理解し難い、協力しても結果がよく分からない、資本主義経済の欠点(貨幣を使った社会システムの効率化が環境問題に関してはうまく機能しない)などが指摘されています。

 しかし、こういった問題を議論していていつも疑問に思うことは、
1)「環境」という言葉が様々に理解されていて、
  それぞれの人がそれぞれの範囲内で議論するためにそもそも意見がかみ合わない。
2)環境の情報が人々に伝えられてから実際に行動として現れるまでにはさまざまなプロセスを経るが、
  どのプロセスを対象とするかで上記と同じように意見がかみ合わない。
ということです。

そこで、これらに対処するために、2)に関して私なりに(環境情報が入ってから行動するまでの)情報処理のモデルを作ってみました。1)に関しては後日扱います。下の図を見てください。

 まず、なんらかの情報が人に提示された時、その情報を受け入れるか無視するかの段階があります(認知・選択)。もし受け入れると判断したときには、その情報が何を言っているのかを理解する段階に進みます(理解)。そして情報を評価し(情報の評価:情報が示している内容以外は加味されない)、その後でその人が以前から持っていたポリシーや経済的な価値などを加味して総合判断します。そしてその人なりのメリットが感じられれば、何らかの意図が発生し、機会があれば行動に現れるのではないかと思います。

 細かく分けたのは、それぞれに対してとるべき対策が異なると感じているからです。例えば、新聞で地球温暖化のニュースを見たとき、「難しそう」「もういいよ!」あるいは「関心ない」といった判断から情報そのものが無視される可能性があります(認知・選択)。もし、とりあえず情報を読んでみようと決めたとしても「言っていることが分からない」(理解)かもしれませんし、「地球温暖化対策のために原発を作らなければならない・・・放射性廃棄物の排出はどうやって加味するの?」と複数の情報をまとめて判断できない(情報の評価)かもしれません。
 新聞の内容が理解されたとしても、「そんなこと言われても、欲しいものは欲しいし、便利な生活を続けることとどうやって折り合いをつけるの?」とわからなくなる(総合判断)かもしれません。そして、「よし、じゃあ少しでも地球温暖化対策を進めるために、燃費がよい車を買おう」(意図)となるにはさらに何かが必要かもしれませんし、意図するだけで行動に結びつかないのは良くある話だと思います。

とまあ、細かく分けられるのであればなるべく細かく分けてそれぞれについてどのようにアプローチしていったらよいかを検討したいなーと考えているのですが、ここで根本的な課題として、「はたしてこんなモデルで良いのか!」となっているわけです。

「もっとちゃんとしたのがあるよ」あるいは「ここがおかしい」といった意見があったらお教えください。
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