千曲川釣行記

平成8年7月17日〜19日

千曲入漁券 釣りキチ三平でお馴染みの矢口高雄さんの本を読んで、"オーラヤのおやっさん"と"千曲川の大鮎"に逢いたくなって、今回は千曲川をめざしました。

第1日目

暗いうちに大子を出発して碓氷峠で、有名な釜飯にて朝食を取る。
遥か下方に千曲川を望みつつ更埴を目指す。
坂城町に着いて昭和橋を地図で確かめながら探したが、細い橋だったので通過してしまい、戻って昭和橋を渡る。
橋のたもとにオーラヤはあった。

早速おやっさんから情報収集。
そしたらおやっさんが僕らに聞く。
「アンチャンら、何号の糸持ってきた?」
千曲川は大鮎だと聞いていたので、
「0.3号」と答えると
「そんなんじゃ駄目だ、これを見てみな。」
と言って奥の冷蔵庫から、鮎を持ってくる。
25cmクラスがずらり。昨日の鮎だという。
うーん、やっぱり千曲川はでかい。見通しがあまかったかな。
「しょうがないな、これを使いな」
といって0.6号の50メートル巻きを一人一個ずつくれた。
何という太っ腹。
矢口さんの本に書いてある通りの人である。

有り難く頂戴して仕掛けを作って早速始める。
トロに入った友人はすぐに掛かって入れ掛かり状態となる。
横目で見ながらポイントを探るがなかなかこない。
トロは苦手であくまでも瀬にこだわるのがいけないのは分かっているが、好きなものはしょうがない。
最初橋の下流の左岸の分流にはいるが全然来ない。

橋の下流の右岸側を流れる本流に移動して、オーラヤのおやっさんには悪いが、0.3号に替えて荒瀬に入れてみる。
そうしたらすぐに大きいのが掛かった。
抜けないので下ってやっと取り込む。
もとの場所に戻って入れるとまた直ぐに掛かる。
下って取り込む。
以下繰り返しになるが足場が悪いので、5回も繰り返すとヘトヘトになってしまう。
しばし休憩してまた続きをやる。
夕方までには精根尽き果ててヘナヘナになってしまった。
4時に川を上がる。

「今夜はどこへ泊まるんだ?」と、おやっさん。
「×××に予約してある」と言ったら、(ホテルの名前を忘れてしまいました)
「それなら俺が毎日風呂入りに行くところだ」と言う。
何という偶然。明日のポイントも案内しながら連れていってくれるという。
さくく(大子弁参照)お世話になることにする。
「ついて来な」と言って車で先に立って走り出す。
暫く行ったら、堤防の車両進入禁止の道路に入っていってしまう。
「おいおい、おやっさん大丈夫かよ!」
置いて行かれたら迷子だから、構わず付いていく。
後でその事を言ったら「俺は許可を取って有るから大丈夫だ」と言う。
おやっさんはいいだろうけど、僕たちはヒヤヒヤものだ。

いい場所を紹介して貰って、宿へ向かう。
鮎の土地らしくホテルにも水槽があって、オトリを沈めて置ける。(明日のオトリ代が助かった。)

4人で結構釣れたのでホテルで買って貰えるかどうか聞いてみたら、何とおやっさんが買ってくれると言う。
釣った鮎を持っていったら、手際よく養殖を抜いて計量して買ってくれました。
お陰様でホテル代に当てることが出来て、おやっさんにはほんとうに感謝感謝です。

第2日目

昨日おやっさんに教わった場所に入る。
相変わらず千曲川はにごっている。
昨日は初めてだったので、雨でにごっているのかと思った。
おやっさんに聞いたらいつもこんなもんだと言う。
田圃が終わらないうちは、このくらいは何時もにごっているそうだ。

入ってすぐにいい瀬があるが、誰もが竿を出しそうなので、もっと下に下ってみる。
カーブをした先に良いトロ場があって、その下が急瀬になっている。
瀬の頭のトロ場に入った友人が入れ掛りを演じている。
負けじとトロ場で泳がすが、ポツリポツリとしかこない。
午前中最下位の釣果で昼当番となる。
我々の掟では最下位が昼の準備をしなくてはならない。
この日のメニューは味噌ラーメンとオニギリ、キムチと秋刀魚の缶詰にビール。
ラーメン用のお湯をガスバーナーでコッヘルに沸かす。
準備が出来た頃に「ご苦労」とか言って上がってくる。
「チクショウ! 午後に見てろよ。」ビールを控えめに飲む。
午後に負けたら帰りの運転である。

気合を入れて午後の部を始める。
午前中に目をつけていた荒瀬に入る。
ここの瀬はすごい。
瀬の頭で掛けたらば、丸々一瀬下らなくてはいけない。
しかも瀬の脇は切り立っていて川岸を下れない。
瀬の尻に曳舟を置いておいて、丘の上を流れと一緒に駈け下らなければならない。
午前中にここでよく釣っているのを見ていた。
午後ここが空いたのを幸いに入ってみる。

入れたらすぐに来た。しかもでかい。
竿を上竿にしてこらえるが、少しも止まらない。
かかり鮎に引かれながら瀬を駈け下る。
曳舟を留めておいた、かねて用意の少しのたるみに寄せられない。
予定よりはるかオーバーしてようやく取り込む。
うーん、24〜25センチの背掛りである。

通い筒に入れて瀬の頭に戻って、再び始める
すぐに掛かる。少し休みたかったのにぃー。
しょうがない、また駆け下る。
もつれながらも鮎について下る。
今度は上手く、たるみに寄せることが出来た。
取り込んで、しばし休憩だ。

再び瀬の頭。今度はなかなかこない。
オトリが弱ってきたので、3号のオモリをつけてガンガンにぶっこむ。
すぐに強烈なひきだ。
流れが速いので竿をためる間がない。
竿をノされたまま、よたよたと駆け下るが間に合わない。
憐れ、プッツーンと親子でいかれてしまった。
うーん、今のは完全に尺はあった(はずだ)。

ここでやっていては、数が伸びないのと何より身が持たない。
最初の入川地に戻って、ごく普通の鮎釣りに戻る。
掛かるのもごく普通にポツリポツリだ。

午後の部も終わってみればごくごく普通に最下位である。
「あー、疲れたなぁー」ビールで喉を潤す仲間を乗せて、戸倉上山田温泉を目指す。
今日の宿は少し奮発して「×××」に泊まる。(名前が思い出せません)
さすがに凝った料理に舌鼓を打つ。
満足して眠りにつく。(本当は夜のネオンに繰り出したのだが割愛します)

第3日目

この日は最後の日なので少し上流に戻って、佐久市の所でやることにする。
国道18号線から141号線に入り千曲川を渡って、オトリ屋を見つけて情報収集。
あまり芳しくはないと言うが、良さそうなところを教わって入川してみる。

更埴あたりと違ってここは水が澄んでいる。
石も良いので気合いを入れて始める。
今度は帰りの運転は長いので、絶対に負けられない。
しかし、気合いは良いのだが、なかなか掛からない。
あちこち動くのだが、良いポイントが見つからない。
そのうちに一人が葦の下にオトリを潜り込ませて、順調に野鮎を引き出す。
真似をしてオトリを葦の中に潜り込ませてみると、かかったとたんに葦に絡まってしまう。

うまく行かないのでここは諦めて、大石の下で白波の中に入れてみる。
直ぐに来たがなんか引きが違う。慎重に寄せてみるとなんとアマゴだった。
ヤマメしか見たことがなかったので、しばし美しいアマゴの朱点に見とれてしまう。
見とれてばかりもいられないので、曳舟に収め気持ちを一新して続きをやる。

その後もポツリポツリとしか来なくて、不完全燃焼のまま今回の釣行もジ・エンドとなる。
川を上がって計量したら、何と最下位の数は同数である。
一匹釣ったアマゴを外道と言うにはかわいそうと主張して、みんなから認められ、最下位を免れた。
帰りの車の中で運転手には申し訳なく思いながらも、爆睡の私でした。

アマゴチャ〜〜ン、アリガトウ!!

おやっさん、ありがとーーぉ。

千曲川、ありがとーーぉ。

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