四人囃子:なすのちゃわんやき→西遊記 日本のプログレバンドの草分け、四人囃子。私はこのバンドを1975/2/23高校一年の冬に地元金沢でのコンサート会場で聞きました。圧倒され感動して椅子から立ち上がれなくなったのを覚えています。 プログレの曲は構成が変化に富み、ドラマチックな展開が多いので江島さんに描いてもらうにはすごくいい素材だと思います。第一回のキングクリムゾンで確信しましたので今回は1曲目にしてもらいました。 曲調が変わり静かに爽やかな極楽のような雰囲気になったところで三蔵法師が描かれるあたりが江島さんの作品らしいところです。ユーモラスな猪八戒や沙悟浄も大好きです。得意げな表情でキント雲に乗って天翔ける姿の孫悟空は曲調にぴったりです。
この曲でベースを担当されていた佐久間正英さんが2014/1/16に天に召されました。いまごろはきっとキント雲に乗って天駆けていることでしょう。
ライクーダー:クロエ→My sweet
girl
1曲目とはうって変わってスティールギターをフューチャーしたハワイアンの曲。アメリカンミュージックの求道者のようなライクーダーのチキンスキン(鳥肌)ミュージックというLPに入っている曲です。 動画作品では最初に当日描かれたポスターが表れるあたりに編集された佐藤さんのセンスを感じます。この曲の雰囲気がポスターの女性にも合っているからだと思います。 そして本編の女性の表情、けだるい南の島での一日を一緒に過ごすMy
sweet girlの誘いの表情にやられてしまいます。
パリミュゼット曲:Laroulotte→セーヌ川の雨 指だけを使って描かれるセーヌ川にそぼ降る雨を抽象で表現しています。江島さんの細くて長い(たぶん?)指で優雅に描かれる姿も絵になります。 パリミュゼットは20世紀初頭のパリで流行したアコーディオン中心に演奏される大衆音楽です。当時のパリ庶民には、軽快で哀愁を帯びたこの音楽で、踊り、語らい、そして酒を酌み交わしました。
サンタナ:躍動→屈原 屈原は中国戦国時代の楚の政治家、詩人。横山大観の作品でも有名。江島さんお得意の中国の古典からの題材です。正義感が強く明晰で実直な屈原、人望も厚く庶民からも尊敬されていたのに最期は自国の将来を憂い入水。 この曲も中学時代によく聞いたサンタナの「キャラバンサライ」からの曲です。なんてかっこいい曲!と思って聞いていたものです。どことなくこの屈原がサンタナに似てるような気がしないでもない・・・。
チャーリーパーカー:Just
Friends→Best friends
モダンジャズの巨匠チャーリー・パーカー。私が一番好きな曲は意外にもWith Stringsの中のJust
Friendsです。ぜひこれで描いてほしいと思い今回最初に選んだ曲でもあります。ジャズの曲であっても決してジャズっぽい絵にしないのが江島さんらしいところなのです。 十代とおぼしき若い美形のサムライとやや年上とおぼしき横顔の凛々しいサムライ。これがBest
Friendsとはどんな関係なのかと想像してしまします。武蔵と小次郎のようなライバルなのか、または新撰組の土方と沖田総司のような関係なのか、私は武士の男色、衆道を想像したのですが・・・。
--Part2--
ELP:未開人→鵺退治 Part2の1曲目もプログレの曲を選びました。数あるプログレバンドの中でも最も好きなエマーソン・レイク・アンド・パーマーのデビューアルバムの1曲目で描いてもらうことにしました。人物を描くときはかならず目から描く江島さん、この曲もやはり目から。 鵺退治の物語は平家物語に遡ります。源頼政に退治される鵺とは顔は猿、胴体は狸、手足は虎、尾は蛇、そして鳴き声はヒョーヒョーと気味の悪い声、まさに鵺の泣く夜は恐ろしい。これも重厚なオルガンからリズミックなピアノに変わるところで鵺の尾の蛇腹が描かれるあたり芸が細かいですね。とどめの一撃の瞬間の絵です。
ラヴェル:Rigaudon→アポロンとダフネ これも物語を解説したほうがわかりやすいかもしれません。 ある日、アポロンはエロス(キューピッド)が弓矢で遊んでいるのを見て、子供がそんなものをおもちゃにしてはいけない、とからかった。エロスは、怒って、金の矢をアポロンに向かって放った。そして、鉛の矢を川の神の娘、ダフネに射た。金の矢は恋に陥る矢である。鉛の矢は恋を拒む矢である。二本の矢が、二人の胸にささった瞬間から、アポロンはダフネを恋し、ダフネはアポロンを拒否した。アポロンはダフネを追いかけた。ダフネはどこまでも逃げた。ダフネは父親の川の神のところへ駆け込み、言った。「助けてください、お父様、私の姿を変えてください。」彼女の姿が変化してきた。足元から月桂樹の木になっていった。アポロンが追いついたとき、ダフネは最後の心臓の鼓動を鳴らせていた。アポロンは、ダフネへの愛の記念に、ダフネの月桂樹の葉で冠を作り、生涯それを頭にかぶっていた。 なんとも理不尽なストーカーの物語であるがギリシャ神話はだいたいこのように理不尽なものである。
ジミヘンドリックス:パリギャップ→釈迦涅槃図 今回もジミヘンドリックスを選ばせてもらいました。前回とは異なりマイナーな美しいメロディを弾いています。エフェクトを十分に効かせなんとも言えない不思議な浮遊感も感じさせます。 それぞれのPartの3曲目は抽象ですがこの曲の雰囲気で釈迦涅槃図とはちょっと驚きました。でも抽象とはいえ左側を頭にして横たわる釈迦とその周りを取り巻く菩薩、弟子、会衆、動物が見えてくるようななんとも不思議な抽象画です。
サンタナ:Samba De
Sausalito→風神雷神 サンタナは今回2曲を選曲。ロータスの伝説という伝説的なアルバムからですがこうやって聞くと1970年代前半の曲が多かったことがあらためてわかりました。 この曲は最後に選んだ曲でそれまでどうしてもあと1曲が決まりませんでした。江島さんのダメ出しがなかなかしぶとくて・・・。 しかしこの曲にしてよかった!イケ面でギリシャ神話風の風神雷神。これはカッコよすぎ!こういうのは好きです。
エルモアジェイムス:ダストマイブルーム→くの一 唯一ボーカルのある曲。魂を揺さぶり、絶叫する最高のブルースマン。28歳で心臓麻痺で亡くなります。魂を削りながらの歌とギターなのでしょう。 この曲でのくの一、なかなかこじつけも難しい意外な作品です。江島さんに聞いてみたいですね。
--encore--
ROSSA:春雷→久米仙人 アンコールをまたも用意していただきました。ROSSAの曲から珍しくちょっとユーモラスな感じの曲。そして作品もなんともユーモラス。 仙人とは「不老不死の術を修め、神通力を得た者」。「世俗的な常識にとらわれない、無欲な人」。でも奈良県にある久米寺という寺に祀られている「久米仙人」はちょっと違う。仙人らしく空を飛ぶまではいいのだが、洗濯をする女性のふとももに見とれて落っこちて、神通力を失ってしまい妻にしてしまったという。
自分の好きな曲で絵を描いてもらえる、こんな幸せはなかなか味わえないことです。 最高の贅沢をくれた江島さん、ありがとうございました。
2013年11月14日(木) キッドアイラックホール 京王線明大前駅より徒歩2分
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