ヒ ト リ ゴ ト

第51話 たこやき
第52話 一人一本
第53話 ドコデモドア
第54話 回転寿司
第55話 うるさい!

第51話 たこやき

福岡県内のとある駅から目的地に向った
地域の路線に明るくない私は
その駅員に”新飯塚”まで行きたいゆえ伝え
「この時間だと”博多駅”で乗り換え”ささぐり線”で行くのが早い」と教わった

まずは博多駅
そしてそのホームで迷ってしまった


9番ホームの”福北ゆたか線”
まるで私を待っていてくれたかのようなその2両編成の車両に駆け乗った

福北ゆたか線”が愛称なのか”ささぐり線”が愛称なのか判らないが
旅人にはつらいものである
また漢字で書けば”ささぐり”は”篠栗”と書くらしい

おいおいこんなの読めるか

長者原(ちょうじゃばる)、門松、九郎原(くろうばる)
興味を引かれた景色は少なく
駅名で楽しんでいるうち
新飯塚駅に着いた


時計見ると8時前
まだ目的まで3時間もある

コンビニでは「歩いて行けない」と言われ
駅交番では
「歩くのか」と笑われた

駅周辺時間をつぶす材料見当たらずレース場までの歩きを選んだ

40分ほど歩いただろうか
道路は完備されているが
まるで山登り
この環境ならバイクの騒音に文句を言う付近の住民も少ないであろう
そんな地点に目的のゴールが待っていた

『日本トーター杯争奪』
『三連単導入1周年記念レース』
大きな看板で飾りつけられていた
どうやら3連単の発売開始から1年経ったらしい

今日は「3連単中心で勝負しよう」と心に決め
その時がおとづれるのを待った

10時開門
そうとうな時間を待ち
100円の入場券を購入し場内へと進んだ

小腹空いた私の目に飛び込んできたのは
一皿270円の”たこやき”であった
その8個入りの粒で本日の展開予想を始めた

やや大き目の1番たこ、5番たこ
これをまず口にした
そして残りの6粒を皿の中で並び替えてみた
まだ多すぎる
ソースで黒光りしていた6番、7番のたこも口にした

まだ多い

最後に
マヨネーズの多くついている4番のたこ
それをも口にした


皿に残る3つのたこ
2番、3番、8番
それを並び替えながらマークシートに記入した
もちろん3連単

「天候晴れ、走路温度27度、走路状況良好、風速東の風3m、湿度52%」
そんな中
第1レースが轟音のなかスタートした

そして
「第一レース・・1着3番〜。2着2番〜。。3着4番〜。。。」
「3連単〜。3番。。2番。。。4番。。。。いちまんよんひゃくきゅうじゅうえん〜〜〜。。」
その放送を聴きながら

また”たこやき”を買った
もちろん今度はマヨネーズ抜きである




『帰りは必ず送迎バス乗る』
この想いを果すため
早めに切り上げた

その間
いったいいくつの”たこ”を食べたことか・・・



飯塚オートレース場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第52話 一人一本

特別レース開催のためか、開門時間が午前9時と早い
その開門まで
まだ5時間もある

緻密な旅の計画を立て挑んだ

その誤差は大きかった

4000台収容出来るという大駐車場もまだ開放されてない

せっかくの機会
今まで歩んだ人生を振り返ることとした
たまにはそんな時間も大事であろう
そして
5回振り返った頃
早朝販売用の駐車場に1台、2台と車が集まり始めた

6回目の振り返りより
早朝売り場のほうが気になり
そこで時間をつぶすこととした
大駐車場に車を移し正門に向うまでかなりな時間を費やした

その正門
そこで気になる”タテ看板”を発見した

『ビール券配布所(一人一枚)』
どうやらファンサービスの一環として来場者に快適な環境を提供する為
一人一本に限り缶ビールを買っても良い
その引換券の配布場所を設けているようだ

途中コンビニで買った”発泡酒”3缶入りの袋を隠すよう場内に入った


400mバンク
中央に橋の架けられた大きな池がある
アヒル、コイの姿をも観ることが出来た
綺麗に整備され
レース間、噴水による演出もされている
さすがに”水の都”大垣である

バンクには所属選手であろう十数名が練習に汗流していた
その内側
3名の選手が池周辺を歩いている
おそらく”全日本選抜競輪”という大舞台での試合をひかえた出場選手たちの
心落ち着かせる為の朝の散歩であろう
練習生に時々声をかける

その態度のデカさでうかがえる

特別レースならではの光景であろう

場内探索中
あまい匂いにつられ一軒の店に入った
いわゆるホルモンの味噌煮込みで鍋の内側に味噌を土手のように塗りつけ
その味噌を溶かしながら味の調整をするらしく、この名がついたといわれている
”どて”
それと
ビールをためしにたのんでみた
”一人一本の缶ビール引換券”を要求されるか試してもみたかった

『どて5本で500円と”ナマ”400円で900円です・・・』
”ビール券”の要求はない

「ビールお代わり」
再度のチャレンジである
当然の如く”ビール引換券”要求なし

ひとつのわだかまりを解決し
レースに没頭した

”伊吹おろし”で寒いと予想し厚手の服で来場したが
うっすら汗のでるほど
終日、天候だけは穏やかであった


持参の発泡酒3缶も飲むため最終レースまで費やした

車の中
先ほどまでの悪夢を忘れる為、また、酔いをさます為
かなりな時間がかかった


快適にレースを楽しむ為”一人一本のビール引換券”
その
”事”の重みが

今やっとわかった


大垣競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第53話 ドコデモドア

場内いたるところに張り紙が貼られていた

『笠松競馬を守る集いにご参加下さい!』
「競馬ファンの皆さん、こんにちは!」
今、笠松競馬は廃止の危機に遭遇しています。
岐阜県知事が笠松競馬経営問題検討委員会に諮問をし
さる9月13日に委員会が中間報告を出し
マスコミでは今年12月にも廃止が決ると報道されました

「誇るべき笠松競馬場!」
笠松競馬は、オグリキャップ、ライデンリーダー、ルイボスゴールド、オグリローマンレジェンドハンター
フジノテンビー、ミツアキサイレンス、ミツアキタービンなど
数々の名馬が活躍してきました
70年の歴史をもつ笠松競馬はこれまでも地域にとけ込み住民の方々に支えられてきましたが
最近では身近な動物としての馬とのふれあい
安らぎの場としても注目を集めるようになっています

「競馬ファンの皆さん!」
しかし、廃止が決まったわけではありません
ファンの声と地域の住民の皆さんと競馬場の方々と力を合わせて
笠松競馬を守ろうではありませんか

そこで集会を開くことにしました
笠松競馬の存続のためにお集まり下さい
日時:11月23日午後5時30分
場所:笠松中央公民館



このような内容の張り紙である


ライブドアのように競馬場経営権に対して発言する資金力はもちろん無い
しかし
ドコデモドアのような行動力はある

いち地方競馬ファンのわたしに今出来ること
それは
ここ笠松競馬場(集会ではない)に駆けつけレースを楽しむ事ではないか
そう心に決め
朝早く来場した


10時の開門までの間
駐車場警備員の方からいろいろな話を伺えた

バブル崩壊時期、それはもう多くのファンが集まっていた
数多く用意されている駐車場も満杯、止めきれず木曽川の土手まで車を誘導した覚えがある
今は100円券が多いが
その頃は捨てられているハズレ券の額が違っていた
名古屋競馬で場外発売をしてくれると売上げが大きく伸びる
競馬場の敷地は借り物
中央部では今でも畑、田んぼが耕されている
廃止となると元どおりにして返さなければならないだろうからその費用も大変であろう


この場をこよなく愛する地元の方ならではの見方である

入場門をくぐり
左、オグリキャップの像に一礼をし
これから始まるレースに挑むこととした

場内は以前の栄華がそっくり残り
数多くの飲食店もひしめき合うよう軒を連ねている
いつなんどき
多くのファンが詰めかけようが充分にもてなしすることが出来よう


北海道三石生まれのオグリキャップもこの地で育ち
地方12戦10勝 中央20戦12勝
有馬記念、マイルチャンピオンシップ、安田記念と中央競馬のビッグレースを制したのも
まわりの残された大自然
馬が走る
それには最高の環境
それが成しえた賜物であろう

終日、楽しませて頂き
一頭分ぐらいの”かいば”代くらいは残してくる事が出来た


存続の危機だから「わざと負けたのか?」って
いや


まったく取れなかった


笠松競馬場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第54話 回転寿司

JR平塚駅南口
まさに発車寸前のバスを見つけ駆け乗った
もっと早い時間に到着する予定で計画をし自宅を出発した
どこでどう狂ったのか
時計は既に11:00をまわっていた

メインのレースだけを楽しまれる方や
「このレースは車券購入をしない」と様子を見られる方などもいるようだが
私の場合それが出来ない
可能な限り1レースから全てにチャレンジしたい
そんな性分の持ち主である

『ずさんな計画であれ完璧な結果を求めたい』
なんと
神がその願いを叶えてくれ
1レースの発売音楽終了時には3枚の車券を手にすることが出来た

3枚という数には理由がある
車券のコレクションもしている
1枚だけの購入であると当たった場合持ち帰れない
もちろん当たり券を両替しないで収集する気はもうとう無い
その為2枚買う
あとの1枚は何か?って
同着で2枚当った時の押さえである


平塚駅には開催日は数多くの送迎バスがピストン輸送している
また
バスに乗れば5分もあれば競輪場に着く

単に
冷静に分析する人もいるかも知れないが

”ツキ”という二文字を大切にする私にはそういう見方が出来ない


そしてやっと間に合った1レースの3枚の車券全てを

今日もまた持ち帰ることが出来た


平塚を選んだには理由がある
距離2025mを5周で争う400mのバンク
そのバンクの改修工事が行われたらしい
詳しくは表面(ウォークトップ)の塗り替えのようだが
それをこの目で見ておきたかった

目の覚めるような鮮やかな藤色に塗られたバンク
両サイドには6匹のシャチであろうかが走路に描かれている
湘南バンクのマスコット”ウィンディ”で飾ったのであろう
今まで見たことの無い幻想的な走路である

中央部には大きな池
”蓮”であろうか
夏の開花時にはさぞ見ごろかもしれないがこの時期では観る者に感動を与えない単なる浮遊物
また
歴史の深さを感じさせられる建物

走路の鮮やかさと調和の取れてないそのアンバランスな光景にも感激した


場内”寿司BAR”なる店もあった
もし
回転寿司なら
レースで目を回し食事でも目を回しでは休まる暇も無い

回転ではなくカウンター越しに寿司を握ってくれるようだ
ちなみにメニューには
湘南バンク(ドリンク+にぎり):1000円
3連単セット(つまみ+ドリンク+まぐろにぎり):2000円
にぎり(カウンター):700円
お好みにぎり(1カン):200円
生ビール中:400円
生ビール大:700円
などである


スカイボードと呼ばれる大型モニター、数多く配置されたテレビ
どの場所にいても観戦できるという気配りも感じさせられ
また、いたるところでファンをもてなす為の色々な企画も行われていた

終日満喫出来
ときの流れも速く感じた



「ところで戦績はどうだった?」かって

いや
その話題にはふれたくない


平塚競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第55話 うるさい!

JR大宮駅東口から少し離れた場所に無料送迎バスの発着所がある
そのバス停まで
商店の間をぬける方法が近道と思われるが
初めて訪問される方には少し判りづらいかもしれない

”それらしき人”達についていけばよいかと思う

”それらしき人”?

大半は新聞紙を持ち
希望に満ちあふれた輝きが感じとれる

『帰りはその逆である』


10分位であろうか
そのバスは大宮公園内の駐車場に着いた

いつものことであるが
公園近くのコンビニに立ち寄り
発泡酒3缶を仕入れ
東入場門からスタンドに向った
駅周辺で酒類販売店を探すより手っ取り早い


大宮アルディージャのホームスタジアムなどもある大きな公園
その中にある
由緒ある競輪場

まだ開門したばかりの早い時間帯だが
笛や太鼓の鳴り物入り応援合戦が聞こえてきた
おそらく公園内で隣接する”県営球場”での熱戦が繰り広げられているのであろう
その音の大きさから
かなりな試合であることが伺われる

『森に囲まれた大宮競輪場』
そのバンク中央には
『東日本競輪発祥の地・大宮競輪』と書かれた大きな看板をも目にした

その歴史の深みが私を終日悩ませた

特観席を利用しない私は
今日の安住の席を捜し求めた

観戦しやすい場所探しというより
白くない席探しにそうとうな時間を費やした

『カラスのフンで座る場所なかとです・・・ヒロシです』

観客の数と比例しカラス達も集まり始め
レース観戦3割、カラス観察7割の神経を使わされた
レースに集中どころでは無い

なぜカラスを見てたかって
「目を離すと白い爆弾を落とされる」


「○○頑張れよ・・・」
「カーカー、ギャーカー、#&%%$・・・・・」
「マクレ〜」
「カーカー」
「かっとばせ〜ドン・ドン・ドン。。」
「ギャー、カー・・」
「△△帰れー」


ま、にぎやかな事である

選手も走行中
普段、聞きなれない罵声を耳にした事であろう

『うるさい!』


大宮競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く