大源太山
上越のマッターホルン

      
霧の大源太山        七ツ小屋山       冠雪の巻機山        大源太山

      
   谷川岳方面         蓬峠分岐         シシゴヤノ頭     七ツ小屋山頂上から
              左、大源太山、右、七ツ小屋山                   白毛門笠ヶ岳方面

     実は昨日、千葉からはるばるこの登山口までやって来た。新潟は確かに青空が広がっていた。 しかし、群馬側は青空一つない曇りでちょうどこの上越国境の山々の上空でまるで線でも引いたかのようにはっきりと青空と雲がわかれ、たぶん大源太山に登っても青空は半分かなと思われたので、止めて帰ってしまった。曇りや霧、雨のときに楽しく歩く悟りの境地にはとても至ることができそうにない。常磐道、外環道を経て関越道湯沢インタまで往復一万円を超える。大金だが他に散財するような趣味もないし、また出直していい天気に登ってみる方がずっと楽しそうに思えたのは青空ハイカー特有の軟弱体質かもしれない。
     そして本日、昨日に引き続き再び湯沢へ長距離ドライブだ。関東地方は晴れの予報でうきうきして関越トンネルをくぐったら新潟はどんよりと曇っている。そんなばかな!とは思うがどうにもならない。悲しい気持ちで大源太山登山口を目指す。途中でラジオの天気予報が流れ、それによると中越は晴れ、ただし朝のうちは曇り、とのことだったが、「朝のうち」というあいまいな表現を喜んでいいのかどうか自分でもわからない。しかし今日は昨日の一万円の件もあり引くに引けず、たとえ今は曇りでも予報を信じて登ってみようという気になっていた。登山口で準備に手間取り6時40分出発。
       このコースを歩く覚悟を決めろというように最初の沢を渡るときに丸太の一本橋が現れる。水量も多く、流れも激しいので一瞬戸惑うがなんとか通過。次に現れる大きな沢渡りは一本のロープに身を託す。もう年だし、華麗に飛び越えていくことなどできないし、誰も周りにいないので落ちても助けてくれないと思うと嫌でも慎重にならざるを得ない。その後は急坂につぐ急坂でロープの張られている坂がどこまでも続く。それにあいにくの曇りの天気で視界は利かない。たまに青空がのぞくが、すぐ曇ってしまう。空を見上げる回数が多くて首も疲れてきた。
     途中ですでに降りてくるご夫妻が言うには、頂上は視界ゼロだそうで、ますます落ち込んでしまいため息が出る。例によってどんどん抜かれながらもようやく頂上。総勢十数人が展望を待っていたが、あいにくの曇りと霧で視界無し。しゃべる相手もいないので黙々と大福もちを食べる。こんなはずじゃなかったのに、と思いながら記念撮影を頼んだ。
     展望もなく、引き返すのが無難かなと思うが、せっかく周遊コースの計画を立ててきたのにここで退くのも納得できない。何組かのパーティは七ツ小屋山への急坂を下って霧の中に消えていったが、自分ひとりではどうも思い切れないところへ、地元新潟から来たK氏がやはり同じコースを行くというので迷惑も顧みずなんだか強引に一緒に付いて行くことにした。
     七ツ小屋山方面への下りは急坂、というより、ほぼ垂直に近く切れ落ちている。鎖・ロープが命綱だ。必死に下っているうちに気づいてみれば、今まで真っ白だった霧の世界が光の世界に変わり、降りてきた大源太山の姿が青空の中に現れた。見渡せば今までの雲はどこへいったのかと不思議なほどの360度の大展望が広がり、これから向かう七ツ小屋山が前方に雄大に構えている。天気予報は大当たりで、以後、抜群の登山日和となり、思わず笑顔がこぼれてしまう。
     大展望を楽しみながら七ツ小屋山を目指す。振り返ると大源太山が刻々と姿を変えていく。逆コースを歩けばずっと大源太山を見ながら歩くことができるだろうし、鎖場ものぼりになるので下りよりは安全かもしれない。あまりの展望に疲れも忘れ登っていくと清水峠分岐に出る。さらに5分くらい歩くと七ツ小屋山頂上。谷川連峰の360度大展望だ。以前登った白毛門、笠ヶ岳、子供と登った谷川岳、この夏に行った仙ノ倉山、平標山、遠くに巻機山など数えるときりがない。下のほうに小さく清水峠も見えるが昔の人たちはここを通って旅をしていったのかと思うと感無量。かつては生活の道だったはずで、今はトンネルであっという間にぬけてしまうのが便利とはいえ味気ない。12時。昼食、といってもメロンパンだけなのでちょっとさびしい。山の上で食べるK氏のラーメンがおいしそうでうらやましい。
     谷川岳を前方に見ながら笹原の中を行く下りは気持ちがいい。分岐点でシシゴヤノ頭方面に右折。大源太山からの尾根歩きは展望に恵まれ、自分の歩いてきた道が一望できる。シシゴヤノ頭からの下りは2時間で下山できる。途中、登山道が崩れてロープの張られているところがあり、そこで登山道から急斜面に落ちてしまった。ロープをつかんでいたのでなんとか這い上がったけれど一分くらい斜面でもがいていた。危険な鎖場よりももうすぐ終点というところで気が緩み事故にあうというのはよくある話。気をつけなくては、と自戒する。
     前日の時間とお金の無駄も今日の楽しさを味わうためのものだったと思えばなんでもない。それほど景色は良かったし、楽しく歩いて充実した一日だった。林道終点に到着すると多くの車はすでに帰っていてたった3台しか残っていず、静かな雰囲気が漂っていた。K氏とはそこで別れる。ほぼ一日、一緒に歩いてくれたK氏に感謝します。写真もたくさん撮ってもらうなどいろいろご迷惑もおかけしました。また安全に楽しく山旅を続けてください。
     帰り、4時半出発。関越道は渋滞したが外環道、常磐道、16号線はそれほどでもなかった。途中20分ほどのサービスエリアでの休憩中、新潟名物笹ダンゴを売っていたためお土産に買おうかな、などと悩んでいたら、前の人が全部買ってしまったので買えず、思い出のみ持って帰ることに・・・。9時10分に帰宅。楽しく爽快な一日の思い出ができてうれしい。