富山(とみさん)

市原SA 福満寺 富山頂上 伏せ姫籠窟入口
この「とやま」と読みそうな山の名前は「とみさん」と読むが、八犬伝の中では「とやま」といい、今の町の名前は「とみやまちょう」と言うからなれないとどっちがどっちだかわからなくなる。富山はあの滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」でおなじみの山で伏せ姫がかくれ住んだという「伏せ姫籠穴」がある。その意味では千葉県の中で全国的に有名な山といってもいい。あのロープウェイでおなじみの鋸山も頂上からは良く見える。
半日で十分だろうと思い、午後でかけたのだが、道路が込んでいて到着が遅れ、登っているうちに夕方が迫ってきて意外とあせった。早足で登ってやや疲れたときに頂上についた。頂上には展望台があり、天候に恵まれて鋸山や東京湾方面の展望が良かった。しばらく休憩しておやつでもと思ったが、風が強くて心が落ち着かず、夕方も迫っていたので、帰るときに車の中で食べることにして、お茶だけ飲んで下ることにした。夕日の中を下り始めたが、今日は風がかなり強く、帽子が飛ばされそうなので深くかぶりなおした。
途中まで降りると下に川が流れていて大きく池になっているところもある。注意していたにもかかわらず、そこを歩いているときに突風が吹いて、あわれ自分の帽子は頭を離れ、やや広い道をころころ転がっていき、谷底の川に落ちていった。どうしていいかわからず呆然と見送ってしまったが、帽子はすでに見えなくなっていてとても取りにいける状態ではなかった。「あれ、3千円したんだよな。」と言うと、「ああもったいない。なんで見てないですぐおいかけないのよ。」などとうちのかみさんが言い始めた。「道の傍でとまるとおもったんだ。」と弁解したが、「止まるわけないでしょ。私ならすぐ走り出すのに。」と言い出したのでもうあまり弁解せずほうっておいた。これから、あの帽子は富山の一部になっていきつづけているんだ、などと分けのわからないことを言ったり、そういえば、あの帽子何処へ行ったんでしょうね、という映画のコマーシャルあったなあ、あったあった、などと、どっちが言い出したかわからないが二人で言いながら強風の中を降りてきた。富山で帽子を飛ばされた、それがこの山の一番の思い出です。夕日の富山が赤く輝いていた。