鹿野山

       
  白鳥神社   九十九谷展望公園  東京湾アクアライン方面  鹿野山神野寺仁王門  神野寺本堂

      鹿野山は関東三大修験名山とされ、あとの二つは榛名山と筑波山なのだというが、ちょっとその二つはともかく、鹿野山は関東の人は知っているのだろうかという疑問がある。鹿野山といえばマザー牧場で、今ではそちらのほうがずっと名をはせているかもしれない。
     この山はハイキングコースなるものはなく、歩いて登ろうとしたら、車道をあがってくるしか方法がない。それに頂上に立とうとしてもたぶん普通の人は無理。測地観測所なる建物が建っていてその中をノボって行くらしいのだが、ゲートがしまっていて関係ない人は入ってはいけないらしいので止めておいた。不法侵入で懲戒免職もありえぬことではない。ほんとにこの施設は観測してるのかとでも言いたくなるようなところだが、調べてみるとなんと国土地理院の施設ではないか。ホームページによれば、わが国の測量・地図作成の中枢機関で、大切な地図作りのお仕事をしているところなのだ。とても文句は言えない。わたくしらが登山やハイキングに安心していけるのもそういう大事な地図作りのお仕事あったればこそだ。何で文句が言えようか。
    しかし、そこをなんとかできないものでしょうか。貴重な地図を利用してもお山の頂上にいけず、それがなんと地図作りの機関が占有しているためだとは何たる皮肉。まあ、一年一回、中が公開されるらしきことがHPにかいてあるが、そんなけちなことをせずにドーンと開放してくれませんかねえ。何なら一等三角点までの道を別に作るかして御領地を通らないようにするとかいろいろ方策はありそうだが、ハッキリいえるのは今はムリということ。
    この前自動車の修理工場に行ったとき、そこのご主人の話では、かれこれ40年問前のまだ若かりし頃九十九谷公園で幕営したらしい。その頃はそこを登る人はあまりいず、どこからか子供たちが現れて驚いたとか。そんな山の上に集落があるとは思っていなかったらしい。今ではマザー牧場のほうがおなじみだが、なんだか山頂は牧場というより遊園地化していて一大レジャーランドの様相を呈している。
    頂上付近には聖徳太子が開いたとされる神野寺という歴史ある寺があるが、1979年この寺が飼っていたトラが逃げ出して大騒動になったことがあり、そっちのほうが有名。一頭はすぐ射殺され、もう一頭は見つからなかったが、3週間後に犬が食い殺されたという知らせがあり、付近にいたトラが発見され射殺された、という日本中を震撼させた(?)あの事件だ。
    でもこの事件、もし奈良や平安の時代に起こっていたら今頃今昔物語に「神野寺のトラ騒動」として載っているかもしれない。今は昔、鹿野山に神野寺という寺あり…という風な書き出しで古典の教科書になっていたかもしれない。そうすればこの寺もかつてのトラ騒動のお寺としてトラ神様を祭って、大々的にポスターにもトラが登場し、狛犬も狛虎とかにして日本三奇寺とか言われ、虎饅頭とかもお土産として売ったりしてもっと有名になっていたかもしれない。が、これが現代の事件ではお笑いでは済まされない。飼っていた人はもちろん厳罰だ。今回、神野寺には虎関係のものは一つも見られなかった。これがあの虎が逃げ出した檻です、などと解説板などがたっていたら、ふざけるな!と怒涛の抗議が来て、飼い主はさらに厳罰になってしまうだろう。
    いろいろ考えさせる(くだらないことばかり考えてしまう)旅だったが、ここにはハイキングコースがなく、頂上がない(あっても到達できない)、ということがハイカーにとっては最大の弱点の山だといえるだろう。