高宕山

午後1時10分 快晴
石射太郎山頂上を望む


石射太郎から高宕山(右)を望む
左はおそらく八郎塚

高宕観音への階段を登る
左右に小さく狛犬が見える

巨岩の下に作られた高宕観音
今日は珍しく戸が開いていた

高宕山頂上は360度の展望
伊予ヶ岳も望める

高宕山頂上から石射太郎を望む
西に東京湾も展望可 

頂上直下のスペースで昼食
すでに3時半

また同じところ?といわれそうな三度目の高宕山。今回はじめて石射太郎から往復してみた。
   9月20日(日)昨日は土曜なのに出勤だった。幾つかの仕事を引き受けていたのだが、それ以外の仕事も増えてしまってほとほと疲れ果てた。それでもなんとか耐えて最後までがんばったつもりだ。言いたいことは多いものの、ここで詳しく語るのは止めておきたい。
   晴れの連休というのにドコにもいけない雰囲気が漂う。思いきって何処かに行こうとみんなを誘うと、意外にも行ってもいいという答え。今からでは県外の遠出は無理なので、それならば、明るいうちに帰れるし、渋滞もほとんどないはずだから行きやすい高宕山にしようと独断で決定した。10時半すぎに出発。もう三度目だし、油断もあって地図を忘れたが道は知っているからなんとかなるだろう。早朝なら1時間くらいで行けるはずなのに、連休お出かけの車で千葉とはいえやはり渋滞、とくに貝塚附近の車2台の自動車事故渋滞で市原インタまでですでに1時間を要し、おかげで目的地にたどり着いたのは12時半になっていた。10台くらいの車がすでに止まっていてわがファミリーはおそらく最後発組だろう。
   石射太郎まで登ると広大な展望が開ける。南に今日の目的地、高宕山が見える。あんなに遠いの、という我が家の面々のため息が聞こえる。あんなに、といってもこの程度なら稜線をたどって行けばお気楽に行けるはずで危険な崖に近づかなければそんなに危ないところではない。感じる割には意外と近いものなんだ、と説明を試みて自分も納得させる。石射太郎山はここで弁当を食べても十分おつりがくるほど展望良好で休憩に適したところである。其処の解説は次のようなものである。

   
石射太郎山の伝説
   昔むかし、台田久保という巨人が高宕山北方の高いたかい山の上にある大きな石に向かって、鹿野山から強引に矢を射った。すると石は、はるか南方半里(約2000m)もある谷まで射飛ばされた。その時台田久保は鹿野山で「石射たろう」といった。その時の言葉をとってこの山を「石射太郎山」というようになった。
   また、石射太郎山は関東大震災で石の切り出場、いわゆる石切丁場なるものが破損するまで明治初期から大正初期にかけて大量の石が切り出された。(清和村誌より)   環境省・千葉県


   
高宕観音までそれほどアップダウンの無い道で歩きやすい。ただしコケには注意が必要で特に雨上がりのときなどスリップしやすいが、きょうははれているのでそれほど滑らないはずだ。1時間かけて2時10分頃に高宕観音に至る。その前の階段が結構長い急坂で一時とはいえ唯一疲れるところでもある。岩場の下に作られた高宕観音は無人で、今日はお堂の扉も開かれていた。高宕観音の由来はつぎのようなものである。

     伝説によれば、奈良時代行基菩薩が当山を訪れた際、多くの人々のご利益を施そうとして彫刻した霊像といわれている。この観音像の利益を受けた者は数限りないが、源頼朝が石橋山の合戦に破れ安房の国にわたったとき、源家再興を懇祈し、黄金で一寸八分の尊像を写し刻んだ。そして常に肌身はなさず持ち、ついに鎌倉幕府を開くに至った。また、五穀豊穣、子育てや厄除けなど観音様の霊感のおかげであるといわれ、近郷あるいは遠方から参詣に訪れる人が絶えなかった。(高宕山縁起より)     環境庁・千葉県

   
  そこから岩を削った穴を潜り抜けてしばらく歩くとはしごがあり、さらにロープの岩場を超えるとようやく頂上直下のスペースに出るはず。我が家の面々が頂上かも、と叫んでいるのを見て、そこは頂上じゃないよ、モット先に梯子があってもう少しかかるというと、我が家の相棒が怒ったように「あとナンプン!」と大声で怒鳴ってくる。アタシはもう歩きたくないのよというオーラが立ち昇っている。それでもなんとか頂上直下に到着。頂上へははしごをひと登りすればいい。頂上は狭く四方は断崖絶壁だが、展望は抜群で、晴れていれば、東京湾はもちろん、伊豆の山々、その向こうに富士山も見える。クレヨンしんちゃんの作者臼井義人氏が荒船山の断崖を滑落して命を落としたというニュースが話題になっているが、この高宕山も一歩間違えば命を落とす断崖が多いところで、いくらファミリーコースとはいえ軽率に考えないほうが身のためというものだ。さっきの石射太郎も見えるけれど、この高宕山から見ると、周りの山の一つでしかなく、あまり目立たないようにも見える。
     直下の木陰で遅すぎる昼食をとる。3時半。もう誰もいないので独占状態。コンビニで買った梅おにぎりとメンチパンを食べた。最初来たときは大滝に降りて林道へ。2度目は八良塚に回って林道を大滝経由で帰った。今日の帰り道はどれをとるか迷ったものの結局そのまま来た道を戻ることにした。夕方、石射太郎によってみるのも悪くない。
     途中、高宕観音の階段を下りてしばらく後から来る面々を待ってもなかなか現れない。我が家の相棒が心配して戻ってみると次女がうずくまっていた。ハチに頭を刺されたのだという。長女が言うには、スズメバチくらいの大きさだったらしい。ケータイで処置方法を調べてうまく対処したようだが、さされたところがジンジンと痛むらしく、途中で倒れたらという心配がつきない。でも歩くのは結構元気なので安心した。ハチは黒いものを攻撃するといわれ、頭はさされやすいらしい。ハチの天敵のクマと間違えられたんじゃないか?以後、タオルと帽子で頭を覆って歩く姿はまるでエジプトのクレオパトラか、対戦中の敗走する日本軍敗残兵のようなかっこうだ。
     ようやく石射太郎に戻ると、時刻は4時半をすぎていた。気をつけてくだってようやく駐車スペースに出と、残っていたのは自分の車のみだった。5時帰路に着く。一般道も混雑、館山道も混雑し、ようやく7時過ぎに帰宅。もっとも途中でお土産を買うのに20分以上費やしているので、実質一時間半と考えればそれほどの混雑ともいえない。夕富士の姿も見られたし今日出かけて正解だったと思う。すでに秋の風が吹き、夕方になると日陰のところは半そでだと涼しいくらいだ。連休中無理して県外に遠出しなくても十分に高宕山は楽しいところで、真夏はともかく、秋冬春に気軽に歩けるところとして千葉県内のハイキングとしては絶対のオススメだが、ハチにだけは気をつけたほうがいい。虫さされの薬は必需品である。一人で行った時よりはずっと楽しい気がするのは、やはり旅は道連れということだろうか。

      最後に、このコースは千葉県の中でも屈指の名コースだと個人的には思っているのですが、どうだろうか。樹林帯を抜けると石射太郎の大展望、これから登る高宕山が見える。アップダウンのあまり無い稜線を気持ちよく歩いていけばやがて高宕観音の入口に着き、石の急階段を登れば高宕観音、さらに岩をくりぬいた穴を通って更に登ると梯子、そしてロープがあり、直下からの梯子を上れば高宕山頂上は周りが絶壁の大展望、幾多の魅力を兼ね備えていて誰でも歩ける楽しいコースだ。家からも比較的近いしアクセスもいい。運がよければ(悪ければ?)猿にも出会える。八良塚をのんびり回って帰れば充実し田一日が過ごせるだろう。何回行っても楽しいところだと思う。