鷹ノ巣山
稲村岩尾根

11:50 鷹ノ巣山頂上より富士山を望む


7:30 奥多摩日原集落から望む稲村岩

10:50 ヒルメシ食いのタワ
ここまではなんとか・・・

ヒルメシ食いのタワから望む鷹ノ巣山 ここから辛い

11:37 鷹ノ巣山頂上到着
帰りは奥多摩湖に下る

頂上からの大岳山(中央奥)と御前山(右)

雪道の石尾根から、飛龍山(後方左)、雲取山(右)

12:20 鷹ノ巣山避難小屋前から日陰名栗山を望む

13:30 浅間尾根から奥集
落 峰谷橋はまだ遠い
    鷹ノ巣山は奥多摩の石尾根縦走路のほぼ真ん中に在る。稲村岩尾根を登って浅間尾根を下った。

     12月19日(土) 3時半のつもりが、4時半。1時間遅れなら遅れは取り戻せる。順調に奥多摩まで走る。日原街道は上り坂で路面が白っぽくなってきて、特に川にかかる橋のうえの霜が目立つ。雪ではないけれども滑らないかと冷や汗。冬に来るのはやはり間違っていたのかな、などと不安に襲われる。駐車場も霜で真っ白の状態でただ一台、横浜ナンバーの車が止まっていて、走った車輪の跡がはっきりと路面上に残っていた。その隣に注意深く止めた。7時20分出発。
 
    稲村岩尾根は、まず中日原バス停の先まで歩き、目立たない登山口を左下の渓谷に下っていく。そこにかかる橋を渡るといよいよ尾根の登り道となる。橋の路面に付いた足跡から判断すると先客は一人か二人くらいだろう。稲村岩を巻いて登山道は登っていく。8時40分、稲村岩尾根鞍部で休憩。下を見れば数人の登山者が登ってくる。稲村岩は帰りに登ってみようと思って鷹ノ巣山方面を目指した。

    ずっと登りが続く。鞍部から2時間も歩けば頂上とまではいかないまでも、それ近くまで行くはずだ。途中で2人のカップルがお茶を飲んで話していた。その人たちが歩き始めると、後から来た人が「カメラが置いてある、誰かカメラを忘れた人〜!と叫んだ。二人ずれのカップルの男性がそれに気付き、一件落着。なんだかこの二人は夫婦ではないような雰囲気でたぶん、お友達関係か?カメラを忘れるほど話に夢中になるなんてことは普通夫婦関係では考えられない?

    例によって何人にも抜かれて自分の体力の無さを恥じる。この前歩いたときから3週間もたつので(本佐倉城址はおそらく歩いたことにならないだろう)、ある程度鍛えられたと思った体力の貯金は使い果たしてしまって、ひょっとしたらマイナスになっているのかもしれない。デスクワークばっかりだったしなあ、などと日ごろの運動不足を嘆く。今日をまたスタートラインにして始めるしかない。

    10時40分。ヒルメシ食いのタワに到着。朝早く食べたサンドイッチのエネルギーは既に使い果たした。あまりの空腹でそこで休憩中にクリームパンを食べる。どこかのガイドブックで、「ヒルメシ食いのタワ」ではヒルメシは食べるな、すぐ頂上なのだから、みたいな事を読んだことがあるけれど、空腹の身としては食べずに登るなんてそんな無茶なことはできるわけがない。後から来た若者二人も休憩したのでお互いに写真を撮りあった。30分がんばれば頂上だ。眼前に鷹ノ巣山の頂上が見えるけれど、なんとなく地面が白っぽいような・・・。

    実はそこから頂上までは特に冬の時期は今までのようには歩けないハードな登りだ。雪がぜんぜん溶けていないし、更に悪いことにアイスバーン状態で、はっきり言ってキケン。つるつるすべる氷の上を登っていくというのは物理の法則に反するだろう。こんなこと、ガイドブックにはどこにも書いてなかったような気がする。ひょっとして読み落としたんだろうか。木や草の根をつかんで登れるところはともかく、何もつかまるところがない場所では生きた心地はしない。どこを登るべきかルートを見つけるのも、そういうことに慣れてないワタク氏としては時間がかかるし、何度か戻ったりしたが、最悪な場合は戻るに戻れずそこで止まってしまうことも何度かあった。あとから登ってくる若者二人も難儀しているらしく、なんとか勇気付けられて登りつづけたものの、一人だったらくじけたかもしれない。もっともくじけて戻るほうがもっとキケンで勇気が必要だったろう。これ一般コースじゃないだろう、と思いながらようやく頂上。道標を見ると、稲村岩尾根は「キケン」「アイゼンが必要です」と書いてある。文句を言うよりも冬は山登りをするときはアイゼンが必須ということだろう。頂上の景色は抜群だけれども帰りどうしようかなあなどと考えると、そんなに喜んで景色を楽しむ気持ちにもなれない。写真を撮りあって昼食。11時40分。

    若者二人は引き返さずにもともと浅間尾根を下って奥集落にでて峰谷バス停でバスに乗る計画なので何の問題もなさそうだ。バス時間は4時20分だから今から下ってもそれしかないだろうけれど、奥多摩湖半の峰谷橋バス停まで歩けばもっとバス便があるはずだというので、日原に引き返すことをあきらめ、アドバイスにしたがって下ることにした。はっきり言えば「臆病風に吹かれた」わけだ。往復の予定は完全に狂った。でも違うコースも歩けることだし、初めて奥多摩のバスにも乗れるからなどと自分に言い聞かせ、若者と別れる。何本かある登山道のどれを使って下ってもよいのだが、なるべく早く下りたいというのが偽らざる気持ちで、奥集落から峰谷橋まではバスも通る舗装道だから歩きやすいだろうと思われた。しばらく石尾根縦走路を鷹ノ巣避難小屋まで下る。縦走路からの奥多摩の展望は抜群で前方に雲取山、飛龍山、すぐ近くに日陰名栗の峰が見える。避難小屋からは奥集落までひたすら下る。この時間にバス便が無いので誰も下ってこない。1時半頃、奥集落にでた。こんな山奥にイツから暮らしているのか・・・、バス停まではそこからまたけっこう下る。

    途中でおばあさんが歩いていたので話しかけると、「私も鷹ノ巣山には何回も登りました。雲取山も7回くらい登った」と言って、幾つかコースを説明してくれた。「でも今ではこんなおばあさんになってしまってもう登れませんけどね」と言って自分の家の前で別れたが、もっと若い頃の話を聞いておおけばかったと思う。バス停前で子供二人がボール遊びをしていた。めったにバスの来ないバス停は格好の遊び場なのかもしれない。2時20分バス停通過。そこから峰谷橋(みねだにばし)までは地図上では一時間だけれど、おばあさんの話では「40分くらいで着きますよ」ということだった。おばあさんの話を信じて必死に下り、峰谷橋バス停3時。おばあさんの話のほうが正しかった。地図は余裕を持って書かれているのだろう。

    3時29分だか25分だか忘れてしまったけれど、とにかくあと30分くらいはバス停で待たないといけない。本当に時間どおりに来るのだろうか。バスに乗ったこと無い身としてはそんなことさえ心配で寒い北風の中を待ち続ける。幸い、同じコースを歩いてきた人がいたので、なんとか雑談で時間はつぶせたが、待つ身は長いものだ。歩いているときはともかく、動かないと北風の寒さが身にしみる。バスは時間通り現れた。パスモが役に立った。途中のバス停でどんどん人が乗り込んできて、とくにある集団登山者は20人以上いる大集団で、奥多摩で降りるときはバスは満員だった。

    あわてて日原行きのバスを見つけるものの既に出発した直後であと一時間待たなければならない。どうしようか迷ったが、結局軟弱にもタクシーで行くことにした。ワゴンタクシーで東日原までたしか2780円だったと思う。途中でバスを追い抜いた。あんな大集団がバスに乗ってこなければこのバスに間に合ったかもしれないのに。お金がかかるけれど、でもアイスバーンで滑落したはずの命が助かったと思えば安いものだ。奥多摩のバスにも乗れたし、少なくとも時間通り運行されていることも確認できたことだし、別のコースも歩けたし、おばあさんとも話せたし、いいことはたくさんあったと思うことにしよう。
    
    駐車場にはあのアイスバーンを下ってきた人がいた。滑ってしりもちをつき痛い思いをしたと言った。その程度ですんでよかった、と雑談。4時15分出発。いつもよりも渋滞は少ない。こんな寒い日に出かける人も少ないだろう。中央道は調布付近で渋滞9〜11キロ。5時帰宅の予定は7時半頃になった。我が家の相棒は土曜出勤でまだ帰宅せず、仕事に命をかけているのだが、「私を登山に連れてって」と言ってくれるのはいつの日か・・・?(「私をスキーに連れてって」という映画の見過ぎ?です。)