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相続時精算課税制度が15年度からスタートしましたが、相続時精算課税制度の適用にあたって質問が多く寄せられた事項についてご紹介します。
@相続時精算課税制度の適用手続きを教えてください。
相続時精算課税制度の適用を受けようとする受贈者は、贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」を当該贈与税の申告書に添付し、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
*「相続時精算課税選択届出書」は贈与をした者ごとに作成する必要があります。
*相続時精算課税制度を適用した翌年以降、当該届出書に係る贈与者から財産の贈与を受けた場合には、当該届出書を改めて提出する必要はありません。
A贈与のあった年の中途において贈与者が死亡した場合はどうなりますか。
贈与のあった年の途中において贈与者が死亡した場合には、相続時精算課税制度の適用を受けようとする受贈者は、次のいずれか早い日までに「相続時精算課税選択届出書」を贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
(イ)贈与を受けた年の翌年3月15日
(ロ)贈与者についての相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月を経過する日
*相続税の申告書を提出する必要がない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けるためには、当該届出書を当該贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
B年の途中で養子となった場合の相続時精算課税制度の適用はどうなりますか。
贈与のあった年の1月1日おいて20歳以上の者が、同日において65歳以上の者からの贈与により財産を取得した場合に、その年の中途においてその贈与者の養子となったことその他の事由によりその贈与者の推定相続人になったときには、推定相続人となる前(養子縁組前)にその贈与者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税制度の適用はありません。
C養子縁組の解消があった場合、相続時精算課税制度の適用はどうなりますか。
相続時精算課税適用者が、特定贈与者の推定相続人でなくなった場合においても、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税制度が適用されます。すなわち、離縁後の贈与についても相続時精算課税制度が適用されます。
D相続時精算課税適用者が特定贈与者よりも先に死亡した場合はどうなりますか。
特定贈与者の死亡以前に当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、当該相続時精算課税適用者の相続人は、当該相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税制度を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継します。
ただし、当該相続人のうちに当該特定贈与者がいる場合には、当該特定贈与者は、当該納税に係る権利又は義務を承継しません。
E贈与により財産を取得した者が「相続時精算課税選択届出書」の提出前に死亡した場合はどうなりますか。
贈与により財産を取得した者(この項において以下被相続人といいます)が相続時精算課税制度の適用を受けることができる場合に、当該被相続人が「相続時精算課税選択届出書」を提出しないで死亡したときは、当該被相続人の相続人(包括受遺者を含み、贈与者を除く)は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、当該届出書を当該被相続人の贈与税の納税地の所轄税務署長に共同して提出することができます。
なお、当該届出書を提出した相続人は、被相続人が有することになる相続時精算課税制度の適用を受けることに伴う納税に係る権利又は義務を承継します。
また、相続人が2人以上いる場合には、当該届出書は、これらの者が一の当該届出書に連署して提出します。
F相続時精算課税制度における贈与税額の計算について教えてください。
(1)課税価格
相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産の価額の合計額をもって、課税価格とします。
(2)特別控除
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定の贈与者ごとの贈与税の課税価額からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除します。
イ 2,500万円
ロ 特定贈与者ごとの贈与税の課税価額
なお、特別控除の適用に当たっては、期限内申告書に控除を受ける金額、既にこの特別控除を適用し控除した金額等の記載がある場合に限り適用されます。
したがって、期限後申告及び修正申告の場合については、特別控除額を課税価額から控除することができませんので注意が必要です。
(3)税率
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税の額は、特定贈与者ごとに計算した課税価額から、特定贈与者ごとに計算した特別控除額を控除した金額にそれぞれ20%の税率を乗じて計算した金額となります。
G相続時精算課税適用者が相続により財産を取得しなかった場合はどうなりますか。
相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者については、相続時精算課税制度の適用を受ける財産については相続又は遺贈により取得したものとみなされます。
また、相続時精算課税制度の適用を受けた財産については、これを物納することはできません。
H相続時精算課税選択の特例により、特定贈与者とみなされた65歳未満の者から相続時精算課税適用者が住宅取得等資金以外の贈与を受けた場合の申告はどうなりますか。
相続時精算課税選択の特例の適用を受ける場合には、当該特例の対象となる住宅取得等資金の贈与があった年分以降、当該特例に係る特定贈与者から贈与を受けた財産については、財産の種類にかかわらず相続時精算課税制度の適用を受けることになります。
I贈与税の申告内容の開示について教えてください。
相続又は遺贈(相続時精算課税制度の適用を受けた贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した者は、他の共同相続人等がある場合には、被相続人に係る相続税の期限内申告書、期限後申告書若しくは修正申告書の提出又は更正の請求に必要となるときに限り、他の共同相続人等が被相続人から相続開始前3年以内に取得した財産又は他の共同相続人等が被相続人から取得した相続時精算課税制度の適用を受けた財産に係る贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価額の合計額について、開示の請求をすることができます。
贈与税の申告内容の開示請求があった場合には、税務署長は請求後2ヶ月以内に開示しなければなりません。
なお、開示の請求は、原則として、被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署長に対して行います。