どうする、どうなる?






 
29.29歳 ・・・取って返すを選択

「悪いスメラギ。俺は嫁をもう1度迎えに行ってくる」
「あのーそれ、同意を得てるんでしょうね」
「無論だ(刹那の頭の中では)」
刹那はピッピとトレミーに暗号通信を送る。
<重大な事情が出来た。俺はそれに対処せねばならんから、だれかスメラギを連行してくれ>
返事を待たず、刹那は端末をスメラギに渡す。
「ちょっと!連行ってなによ、刹那!」
あんまりな事を書かれてスメラギは憤慨したが、刹那の頭の中にはもう彼女の事など無かった。ふふふ
ふふ、と笑いさっさと今来た道を帰って行く。茫然としたスメラギは、人出が足りなくて阿鼻叫喚に陥
ったトレミーからの使者、おやっさんが来るまでほっておかれたのであった・・・・・・。


「そういえばジーン1。お前、あのソレスタル・ビーイングからスカウトが来たって噂になってるけど
 そこんとこ、どーなんだよ」
一緒に夜道を歩いている無邪気に訊いてくるカタロンのエージェントに、ジーン1ことライルは苦笑し
た。
「んなの、無いって。幹部連中だって否定してただろ?噂だよ、単なる」
いきなり『俺の嫁にする為に迎えに来た』とかまされたことは、消したい過去No1だった。兄がそこ
にいて死んでしまったのもショックだったが、あれだけの音信不通をしていたのだ、こちらとて最悪の
事態に対して覚悟ぐらいできている。しかし29歳で男として生きてきて、あからさまに年下の男に嫁
扱いされる日が来ようとは・・・・・。
(冗談じゃねぇ、俺は可愛い女の子の方が好きなんだ)
男としてごく当り前な感想を、心の中で呟く。
そして・・・・・・


カタロンのエージェントの証言
「ええ、突然でした。ジーン1と夜道を歩いていましたら後ろから、恐ろしい目をした男が近づいて来
 て、ジーン1に襲いかかったんです。犯人は赤い荒縄でジーン1を何故か亀甲縛りをして連れ去って
 しまいました。自分が止める暇も、ジーン1が抵抗する時間すらありませんでした。犯人の顔を見た
 か、ですか?目ばかり印象に残っているんですが、顔立ちとかはハッキリと見えませんでした。手際
 良く、亀甲縛りをしていましたし・・・・。ジーン1が助かってくれれば、良いんですが。心配です」




★赤い荒縄は赤い糸の強化版です。そりゃもう、凄い絆の象徴です。後日談としてカタロンに行った時  ライルは脱出を考えていましたが、刹那に言われたハロによってコクピットから出れず、しかもやっ  ぱり赤い荒縄持って現れた刹那に亀甲縛りされて泣きました。可哀そう・・・・。 戻る