配役決めるだけで大騒ぎ どら☆くえしよう! 今回、珍しい事に主犯はスメラギではなくミレイナだった。 「マイスターさん達でどら☆くえするですぅ!」 というマイスター達から見たら謎理論を披露してからの、この結末の言葉だった。だがそのミレイナの 無邪気な意見にスメラギがにやにやしていたトコを見ると、ロクな事にはならないというのをマイスタ ー達は痛感していた。 「んじゃ、モデルはお決まりの「どら☆くえ3」にすんのか?」 ライルがやる気無く訊いてくる。その問い掛けにスメラギはチッチッチと右人差し指を振った。 「いいえ、今回は「どら☆くえ2」よ!」 「何故、世間のニーズ(?)に反しなきゃ気が済まないんだよ、あんたは・・・・」 「分かってないわね、ライル。私は貴方の為に言ってるのよ?」 「更に何故に」 「もし「どら☆くえ3」にしたら刹那が遊び人選んじゃうでしょ?」 「え、刹那主人公なんだから普通に勇者じゃねーの!?」 まぁ確かに普通勇者=主人公が多いわな。 「勇者とは「勇気ある者」だから、必ずしも主人公がなるとは限らんぞ」 当の主人公、刹那・F・セイエイさんは腕組みをして重々しく口を開いた。それも一理ありますな! 「でもさぁ、刹那。いくらなんでも遊び人はないだろうが」 「いいや、流石スメラギだ。3なら俺は進んで遊び人希望する」 「それ世界一子供が泣きだすピエロになんぞ」 3での遊び人はピエロがサーカスほったらかして来てんの?と言わんばかりのピエロの姿で、町を歩い たら警察に呼びとめられる事は必至だと思われる。このぶっちょう顔であの顔のペイントは怖い。 「先輩の「W」には表情の動かない半面ピエロがいたから大丈夫だ」 「・・・・・・何が大丈夫なんか見当もつかん。ってかなんでそんなに遊び人に執着するんだよ」 ライルの尤もな問いには、何故かスメラギが答えて来た。 「決まってるわ、3の遊び人にのみ許された行為があるからよ」 「あ、そうなの?」 「ええ、仲間のお尻を撫でれるという特権がね」 そう言われて初めてライルは自分が危機に直面していた事を悟った。 「そうだ、無論俺が狙う尻はライル一択だから安心するが良い」 「どこをどう安心すればいいのか、五里霧中です。大体なんで俺みたいな三十路過ぎの男のケツ撫でた がんだよ、お前は。つかその場合、勇者はどーすんだ」 取りあえずどら☆くえは勇者がいなければ成立しない。主人公である刹那がその役を拒んでしまえば誰 がなるというのだ。因みにライルは御免こうむりたいと思った。ついでにそのパーティなら自分の代わ りに兄を突っ込もうと、鬼のような事を考えていた。兄さんは大切に。 「それは俺の関する処ではない。きっとスメラギがウィスキーでもひっかけながら、テキトーに選ぶだ ろう。俺以外にお前の尻は触らせん」 「お前なんぞ「どら☆くえ1」で1人寂しくキメラにラリホー食らって撲殺されろ」 「どら☆くえ1」は1人ぼっちの大冒険である。一応モンスターも1匹で襲ってくるわけだが、こうや って眠らされたりしてしまうと、フォローしてくれる者は誰もいない。ユーザーはただハラハラと「は よ目覚めてくれ!」と祈るだけなのだ。そして目覚めない場合は、めでたくあの世行きである。そして 王様のクセにがめつい奴に、所持金半分ふんだくられて悔しい思いをするのである。大体お前が竜王征 伐してこい、とろくすぽな装備でで放りだすという悪の所業のせいだろうが。 「そうか、ならドラゴンに囚われている姫はお前だな」 何気にストーリーを知っている中東人だったが、それを言うともう1人もやたら詳しいアイルランド人 になってしまうが。 「助けた後に宿屋で1泊すると「昨夜はお楽しみでしたね」と言われるアレか。宿屋のおやじは夜に客 の部屋の前で聞き耳たててんのか。3のぱふぱふといいどら☆くえの制作陣は変なとこで遊び心を発 揮するよな。もし俺が囚われの姫役なら、監視はドラゴンじゃなくて竜王を配置しておくから覚悟し ておけ」 ラスボスがしょぼく姫監視してどーする。それよか同じ竜繋がりで「どら☆くえ3」の「ヤマタノオロ チ」でも配置した方が強力な気がする。 「はいはい、バカップルの漫才はもう良いわよ」 スメラギが脱線しまくった話を元に戻した。ほっとくと延々に続いてしまうのだから、なんのかんの言 って刹那とライルは仲が良い。取りあえず弟と弟分に感涙と嫉妬の入り混じった涙を静かに流すライル の実兄をクルー全員が見なかった事にした。 「さて肝心の配役なんだけど」 ゴクリ、とクルー達が緊張の余りに息を飲んだ。できるなら自分は外されていますようにというお祈り が、部屋を満たしていた。 「まずローレシアの王子は刹那ね」 ローレシアの王子は実質的な主役である。だから刹那を選んだと思っていたら、そうではなかったらし い。 「だって青の服着てるもの、彼」 確かに刹那のガンダムは青だし、2期からの制服も青い。だからってこれはないだろう、とクルーは思 ったが本人の表情が全く動かないので本人の感想が分からない。 「それにローレシアは打撃一直線だしね」 この発言にはほとんどのクルーが同意するであろう。3人パーティの中で、唯一魔法が使えないのがこ のローレシアの王子なのだ。打撃専門な刹那にはぴったりであろう。しかし問題は次だ。ライルは我知 らず緊張をしていた。そして・・・・・ 「サマルトリアの王子はニールね」 (やった!) 「えっ」 心の中でガッツポーズを取るライルとは対照的に、ニールが呆然と立ち尽くしていた。ライルも学習し ているので、ニールに同情はするが黙っていた。 「ミス・スメラギ・・・・それってやっぱ緑の服着てるから・・・?」 恐る恐るという感じで訊いたニールに、スメラギはあっさりと頷いた。 「そんな・・・・俺ユーザーから「弱っちいのに序盤、何意味不明にふらふらした挙句ダンジョンの底 にいるんだよ」って批難された役割なのか・・・・・・」 どら☆くえ2した人ならこのエピソードは分かるだろう。しかもサマルトリアは器用貧乏という言葉が 大変似合う、腕力も魔法も中途半端なステータスという塩梅だった。 (兄さん、ラストダンジョンの中ボスであるギガンテスには気を付けて) と心の中でエールを送るライルだった。「どら☆くえ2」のラストダンジョンは制作陣の気力と資金が 尽きてしまったのか、階段上がると部屋には更に上へ上がれる階段があるだけなのだった。が、それぞ れの階段前には中ボスが控えているのである。そしてこれ書いている奴の場合はそんな事なかったのだ が、かなりの確率で中ボスの1匹であるギガンテスがサマルトリアの王子を集中攻撃して、サマルトリ アの王子が死にまくっていたらしい。なんせお手軽な回復魔法を使えるのは彼1人。やくそうも持てる 数が限られている、と言う事で悔し涙したユーザーも多いと聞く。 「最後のムーンブルグの王女はティエリアよ」 ざわ、と周囲がざわめいた。しかし当のティエリアはある程度予想していたのか、淡々としている。 「スメラギ、それは僕の髪の色が彼女とお揃いだからですか?」 「そうよ」 ・・・・・・結局色で配役されているらしい。ムーンブルグの王女は攻撃魔法の使い手。結構攻撃的な 処もあるティエリアにはぴったりかもしれない。性別以外は。それはともかくとして、本人としてはニ ールと一緒という処もポイントは高いようだった。パーティ合流時は、犬っつーのは良いのか? 配役が無く、ほっとしたライルの傍にするっとアレルヤがやって来て、小さな声で囁いた。 「良かったね、ライル。僕らはお役御免らしい」 「ああ、俺も喜んでるよ」 本当に小さな声で囁き合っていたのだが、地獄耳の刹那に聞かれていたらしい。ライルの真ん前にやっ て来て、そっとその手を取って握り締める。 「安心しろ、お前はローレシアの王子の無事を信じて待つ婚約者の役がある」 「そんな設定、聞いた事もねーよ」 「そーだ、そーだ。ライルはサマルトリアの王子の妹役なのが、順当だろ?」 ニールが参戦してきた。確かに。 「俺女役なんてしないっつーの!」 きーっ!とライルは結局ヒスる事になってしまうのだった。
★「どら☆くえ2」は人生初のクリアした思い出深い作品です。ラストダンジョン付近で2時間みっち り戦ってやっとレベルが1上がるという、じっくりゲームを楽しみたい人向けです(ものは言い様) しかしダンジョンとかは楽しかったな、わくわくした作品でした。 戻る