さー行ってみよー!




ぼうけんしてみよう!


てなわけで、阿鼻叫喚の配役も目出度く決まりいざ決行となった。当然現実にファンタジー世界などは
ありはしない。順当にヴェーダ内の仮想ミッションということになる。


さあ!スタート!


てれれれれ〜(BGM)

「さあ王子よ、悪い神官ハーゴンを倒すのだ!(注:台詞はうろ覚えです)」
場所はローレシア王城、王座には知らんキャラがでーんと座っていた。
「良いだろう、ガンダムよこせ」
青のモジモジ君に限りなく近い服を着たローレシアの王子こと刹那・F・セイエイさんはふんぞり返っ
てそう、のたもうた。
「すまんの、ファンタジー世界にガンダムはないのじゃ」
「そうか、了解した」
淡々と何事もなく事態は進行して行く。
「おいおい、あの王様すげぇな。刹那の世迷い言に動じねぇ・・・・」
「SDバージョンだったら、参加できたのかなガンダム」
こそこそと仮想世界の隅っこで話し合うのはメンバーに選ばれなかったライルとアレルヤである。配役
が無いんだから、別に参加しなくても良いじゃないかという2人の主張は勿論、認められなかった。そ
んな訳でなにがなんだか良く分からない状態で、仮想ミッションに放り込まれた次第である。
「でもSDだったら乗れないぜ、ガンダム。刹那にしたら意味無くね?」
「そういえばそうだね」
刹那にとってはガンダムに『乗る』事に意味があるのだ。当然、乗れないガンダムはノーサンキューで
ある事は火を見るより明らかだった。
「1つ良いか」
「おおなんじゃ、言うてみよ王子よ」
「悪かどうかはともかくとして、征伐に行くのに軍隊すら出さないとはどーいう了見だ。しかも装備は
 銅の剣と布の服(もしくは革の鎧)だけときたもんだ。更には所持金すらケチられるとはな。お前は
 後継者である俺に死ねと言っているのか」
確かに普通なら軍隊率いて征伐に行くもんだ。何故個人で行かねばならないのか、という疑問は持って
も当然であろう。しかも装備はお粗末、所持金もすっからかん状態に近い。まるで鉄砲玉のようである。
「おっ・・・・流石に王様が黙りこんだぞ」
「言ってる事は正論だよね、割と」
虚しく王宮のBGMが流れていく。たららららら〜♪しかし此処でなんとかローレシアの王子に旅立っ
てもらわねばならない。なんとしても、だ。その心意気だったのだろう。
「とにかく行って来い、王子よ」
「貴様!反論出来ないからって実力行使かっっ!」
前代未聞、兵士にしょっ引かれて城から放り投げられる主人公、ローレシアの王子。暫くローレシア城
に向かって中東風の呪詛を唱えていたようだったが、渋々といった感じで旅立っていった。


フィールドに出たローレシアの王子。呪詛はまだ続いているようだったが、軽やかなBGMにかき消さ
れる。その時だ。

すらい○が あらわれた!

「おぉ、スライ○可愛いなぁ」
「そういえばリアル世界でも肉まんになってて、売り切れ続出だったらしいね」
「色が食欲を激しく減退させてたけどな!・・・・・って」


ぶぅおおおおおおおおおおおおおん!(銅の剣が風をきった音)


何事もなかったかのように立ち去る王子の背後には、えらい惨劇が展開されていた。スプラッター。
「・・・・そうか、銅の剣って切れ味悪そうだったもんな」
「だからって叩き潰さなくても良いと思うんだ」
まぁ、そんな惨劇が王子の進路をなぞって展開されて行く。因みに当の王子、何故倒したらお金が入る
のかという謎に、苦悩していた。アニメのどら☆くえはモンスターは宝石から出来ているから、倒した
ら元の姿(宝石)に戻るという設定だったな。主人公の中の人がリボンズだったっけ、確か。まあいい。


そしてサマルトリア王子探索大作戦が展開された。あっちこっち行っても行き違いになっている状況に
ローレシアの王子の目は座りつつあった。多分、プレイヤーもきっと同じ目をしていたに違いない。妹
さんも「もう、お兄ちゃんったらしょうがないんだから!」とか言っとらんで、ちゃんと兄をキャッチ
しといて下さいよ。んで何故かダンジョンの1番奥でのほほんと待っているサマルトリアの王子を発見。
「おっ、せ・・じゃなかったローレシア!」
彼の友好的な呼びかけには、黄金の右が炸裂という返しが。スローモーションで飛んでいくサマルトリ
アの王子。そう・・・丁度カ○ーユにぶん殴られたクワト○さんのように。あれも理不尽な暴力だった。
『これが若さか』って吹っ飛んでる場合じゃないですよ、クワト○さん!
「わっ・・・兄さん!」
思わずライルは目を手で覆った。いくらバーチャルといっても、実の兄に黄金の右が炸裂するのはやは
り心苦しいのだ。
「刹那ぁ!俺、挨拶しただけなのにどうして右パンチですかっっ!!」
「どうしてもこうしてもない。俺は今、最高にイラついている」
会ったばかりでの最高のギスギスフィーリング、これでこの先やっていけるか?という疑問が傍観者2
人の心を走りぬけていったが、成せばなるもんだと開き直る。マイスターは図太くなければやっていけ
ないのだった。目の前には「どうぐ」を2人分背負わされてとぼとぼとローレシア王子の後をついて行
く気の毒なサマルトリアの王子の姿があった。どうやらサマルトリアの王子が折れる事によって、なん
とか進行を止めずに済んだらしい。大人だぞ、サマルトリア!つかニール!・・・いつもの事か。
「兄さん、気の毒に・・・」
まるで日本神話の大国主命のように大きな荷物をしょい込むサマルトリアにライルは同情していた。が
「じゃあ、こっそりニールと入れ替わる?」
とアレルヤが尋ねれば
「それだけは出来ない」
と真っ直ぐな瞳で言われたのだった。


そしてスプラッター惨劇をあちこちで披露しながらズンズン進んでいった王子コンビだったが、ついに
最後のメンバーがいるムーンブルグの国にやって来た。ムーンブルグは既に滅ぼされており、何故か唯
一生き残ったらしい王女は犬に変えられていたわけだが・・・。ゲーム内では平凡な犬だったはずなの
に、何をトチ狂ったのか凶暴なドーベルマンが現れた。仲間を見つけて喜び勇んでというシュチュエー
ションなのだろうが、傍から見れば凶暴なドーベルマンに襲われる人間という恐ろしい構図に。しかも
先頭にいたローレシアの王子がさっと避けてしまったから、さあ大変。当然凶暴なドーベルマンはサマ
ルトリアの王子に襲いかかる事に。主に肉食的な意味で。悲痛なサマルトリアの王子の悲鳴が辺りに響
きわたる。
「ぎゃあああ!兄さんが凶暴なドーベルマンに頸動脈を食い千切られるっっ!刹那ぁ!ぼーっと見とら
 んと、兄さん助けてくれなさい!後でなんでも言う事聞くから!!」
パニックに陥ったライルは気がつかなかったが、アレルヤはミタ。じゃなかった見た。ライル達の声な
ど聞こえないはずなのに、ライルのなんでも言う事聞く発言で刹那がこっちを見た事を。しかも目が爛
々と輝いてた。その間にもサマルトリアの王子の頸動脈が大ピンチ。しかし刹那ことローレシアの王子
が凶暴なドーベルマンの首根っこを掴んでぽーいと放り投げた事によって、サマルトリアの王子の頸動
脈は守られたのだった。

その後、なんやかんやで蘇ったムーンブルグの王女を仲間に加え、フィールドのBGMも華やかなもの
に変わって行ったが、スプラッターな状況は変わらなかった。
「あのさ・・・アレルヤ。それなんの真似だ?」
横目に睨むライルにアレルヤは滂沱の涙でお答えした。というのも頭からマント付頭巾を被り、両手に
手袋をして足にはブーツを履いているらしいが、身体はパンツ一丁なのだから。
「お前な、どう見たってわいせつ罪で警察に連れて行かれるレベルだぞ、それ」
「そう言われても突然、こういうコスチュームになっちゃったんだよ。僕が望んだ訳じゃない。つーか
 余りにもモンスターがスプラッターで撃破されるから、僕ら臨時のモンスター出演らしいよ」
「げぇ!?俺らもあんなスプラッターにされんのか!?まずいな、逃げ場がないぞ」
結局ライルもモンスターとして、極悪トリオの前に現れる事に。しかしサマルトリアの王子は
「ライルを攻撃するなんて、俺には出来ないっ!!!!」
と号泣し、ムーンブルグの王女は性的な意味で襲いかかろうとするローレシアの王子を羽交い締めする
作業に没頭するという修羅場が大展開。何処の世界に主人公パーティから
「早く逃げろ!僕が押さえている間に!」
と言われるモンスターがいる。これでヴェーダ内では面倒くさいと思われたのか、ライルが再びモンス
ター役をやる事は無かった。え?アレルヤ?・・・・・・お察し下さい(ひどい)


そんなこんなでラスボス1歩前ボスとラスボスをあっさりと撃破。世界はあっさりと平和に。

いや1人、平和ではない人物がいた。

「俺・・・・・・なんでこんな目に。前世でそんなに悪い事してきたんかい・・・・」
ローレシアの王子の強い強い要望により、設定にはどう見たって存在しないモンスターからローレシア
の王妃(だろう)にクラスチェンジさせられたライルが滂沱の涙に沈んでいった。


★クリア!本当はハーゴンを小物様、ラスボス(正体は忘れました)はボンズリ様にしようかと思った  んですが、パーティと1部モンスターのみ00キャラだったので止めてみました。因みに公式攻略本  にムーンブルグの王女最強の呪文「イオナズン」は本当のラスボスには効かないと明記されていまし  たが、試しに使ってみたらめちゃくちゃ効いたのも良い思いでです。 戻る