俺ってほも?




貴様という奴2


刹那の記憶が退化してからというもの、トレミーではある光景が当たり前になってきた。

何故かライルに接近したがる体は21歳、頭脳は16歳の刹那さん。
その刹那さんの接近を嫌ってヒスるライルさん(29歳)

そのおかげでぎゃーぎゃーと喧嘩(他から見たら痴話喧嘩)がえぶりでぃで起こるので、他のメンバー
は溜まったものではない。しかもヒスり過ぎてライルが疲れを見せて来ていた。無論、そんな状況を放
っておくブラコンニールではない。刹那にそれとなくライルに暫く近づくの止めたら?と進言してみた
のだが、刹那にしてみれば気が付けばライルの傍ににじり寄っていてライルのヒスの直撃を食らうとい
う事らしい。寧ろ刹那の方が困惑しているようにも見えた。ライルにそれを伝えてみたのだが、どうに
も面白くないらしく、やっぱり刹那が無意識に近寄るとシャーッ!とばかりにヒスっている。これには
流石のニールも疲労困憊になってしまい、そこまで疲労していないと思ったらしいスメラギにウォッカ
を胃に流し込まれて医療カプセルのお世話になってしまったのだった。ウォッカの一気飲みは死を約束
されたようなものだ。死ななかったのが不幸中の幸いだ。しかしライルは自分と刹那関係で兄が疲労困
憊しているのを痛感したらしく、刹那がにじり寄って来てもさっさと逃げるようになっていた。これは
これでなんだか問題がある気もしないでもないが、とにかく喧嘩されるよりはマシと割り切るしかない
だろう。だがやっぱり刹那が逃げるライルを本能的に追ってしまうらしく、大運動会が毎日開催される
事に。しかしライルもむやみやたらと逃げ回っている訳ではない。ある日刹那に追っかけられて、ドッ
クに逃げ込んできたライル。
「ハロッズ!!フォーメーションA!」
とライルが叫んだ途端、そこら辺でMSの整備をやっていたカラフルハロッズがわらわらとライルの後
にやってきて
「アタック!」
という声に従って刹那に集団体当たりを敢行したのだ。流石の刹那も固いボディに守られたハロッズ達
には敵わない(ただし刹那が怪我しないように調整していたらしいが)
「ぶべぇ!」
などと普段では聞く事が出来ない刹那の悲鳴が鳴り響いた事もある。因みにディフェンス重視のBパタ
ーンもあるらしい。意外な処でテクニシャンな顔を見せたライルだった。

そして

戦闘でライルには思いもよらない苦労が待ち受けていた。ずっとリーダーだった刹那が鉄砲玉のよーに
すっ飛んでいってしまうからだ。背後のオーライザーに一般人の沙慈が乗っているにも関わらず、ドピ
ューンと突っ走っていく。その度にライルは
「わーーー!!待て刹那!一般人を背負っている事に少しは気を使えよ!!ハロ、追いかけろ!」
と必死で刹那を追いかけて行ってフォローするハメに陥る。生身だと追いかけられて、MSだと追いか
けて行くという二重苦だった。因みにアレルヤとティエリアは「まるで一期の時みたーい。懐かしー」
等とほざくだけで、絶対関わろうとはしなかった。
そんなライルがひょっこりニールの部屋に来たかと思うと、じーっとニールの顔を見つめる。
「あの・・・・どうしましたか、弟様」
「うん、兄さんさぁお願いがあるんだけど」
「嫌です」
「まだ何も言ってないだろ!」
「大体分かっとるわ。ケルディムあげるから、刹那の面倒を見てくれってんだろ」
「凄いな、なんで分かったんだ」
「分からないでか」
ライルは結構ちゃっかりしている処があり、それによってニールが貧乏くじ引かされた事は数知れない。
最近、刹那の鉄砲玉の有り様にうんざりしているっぽかったから、いつかはこう言いだすだろうと思っ
ていた。伊達にブラコンやってない。
「あのな、ライル。兄ちゃんは一期の時に、嫌と言うほど刹那の面倒を見て来たんだ。やっと成長して
 他人にも心配りができるようになったと感涙しておったんだぞ。それなのにまた一からやり直しなん
 て嫌だ」
刹那に関してえらい言い様ではあるが、ニールとしても切実な問題で此処で引き下がるわけには行かな
い。あの苦労はまだ若かったからできたんだ、としみじみ思う。まぁ一期の時の問題児は刹那以外にも
伊達眼鏡かけとる奴がいて、更に苦労したわけではあるのだが。
「えーーーー」
「もの凄く不満そうに言わない。頑張れライル。兄ちゃんは木の陰からこっそり生暖かく見守りますよ」
既に逃げに入ったニールだった。


そんなある日、刹那が食堂に入って行くとニールが飲みものを啜っていた。
「よう刹那。お疲れさん」
そう声をかけるニールに片手を上げて答えた後、ミルクの入ったボトルを持って彼の正面に座る。
「ロックオン、少し相談したい事がある」
そう言えばニールが目を丸くする。
「俺に相談?珍しいな、明日にはアクシズが落っこちてくんじゃねーか?」
そんな軽口にもめげず、刹那は淡々と訴えた。
「俺はホモなんだろうか」
「ぶほぉぅ!!」
飲みものを口にしたわけでもないのに、盛大に吹き出したニールはげほげほが止まらない状態になって
しまった。
「大丈夫か、年を取ると咳き込みやすい」
「まだそんな年じゃないわ!いきなり何言い出すんだ!!」
刹那の言動は直球過ぎる事は痛いほど良く知っていたが、流石にこういう意味でも直球だとは思ってい
なかったのは事実だ。少しはオブラードに優しく包んでから言いやがれ!とは思うが、昔それを実行さ
せようとして盛大にしくじった生暖かい思い出が蘇る。結局、刹那には色々な意味で直球しかできない
のだろうと諦めた愛しき日々が走馬灯のように・・・
「死んでないっ!」
失礼しました。
「俺はどうもおかしいんだ」
いつもおかしい、というのはこの際無視してみようと思うニールさん。
「ロックオン?を見ていると、こう・・・むらむらするというか、首筋とかにかぶりつきたいとか思っ
 てしまうんだ」
「俺の弟はリンゴじゃないんだから、齧らないで下さい」
例え恋人同士であってもいきなしがぶぅ!と齧りつかれたら驚くだろう。それはともあれ、刹那はロッ
クオン?ことライルに再び惹かれ始めているのは確かで、ニールは溜息をついた。三つ子の魂百まで、
という偉大な先人の残した言葉を噛みしめる。まぁ此処は刹ライなので、刹那やライルが他のキャラに
色気出されても困る。つか、書けん。
「ま、まぁホモかどうかはおいといてだな」
「そこが今回の相談の核心だが」
「取りあえずおいといて欲しい。きっとあいつが逃げ回っているから、気になっているんだろう。刹那
 が思っている感情とは違うんじゃね?」
違うどころか思いっきりホモ路線を爆進しているのだが、取りあえずこのままライルに性的な意味で突
撃されても困る。さてどうするか、とニールは溜息をついた。


★うちの兄さんは本当に苦労人です。さらには気の毒にも刹ライの痴話喧嘩に巻き込まれ、気が付いた  盛大に貧乏くじを大量に引いていたりと、大丈夫か人生の世界です。アレルヤとティエリアは自分達  でフォロー出来る事は一応やってはいるのですが(そうじゃなきゃ兄さんはとっくに過労死している)  手に負えない事が多いので、何もやって無いように見えるだけです。そういった意味ではちゃっかり  していると言わざるを得ません。頑張れ兄さん! 戻る