寄せ集め4 日記ログ4 ・酒と魔女 ニールが偶然通りかかった通路に、緑色を基調としたものが倒れていた。良く見なくてもそれは最愛の 弟であった。慌てて近寄り抱き上げると、気がついたのかうっすらと目を開ける。 「あ、兄さん・・・・・」 その息に残る濃厚なある匂いを察知し 「ライルッ、お前っ!!」 思わず熱くなった目頭をニールは押さえた。 「ミス・スメラギに捕まっていたんだなっ!!」 ライルからは酒の匂いがすんごぃしていたのだった。 「大丈夫か?」 「うーん、多分」 ライルの部屋へ連れて行く最中、聞きだした事。それは 操縦桿を握りながら不穏な空気に気がついて横を見れば、ラッセはとっくに逃げていた。 後ろを振り返ると、スメラギが素晴らしい笑顔で立っていた事。 引きずり込まれて、ジ・エンド。 しかし完全に潰れる前に、なんとか逃げられた事。 やっぱり途中で力尽きてい処をニールが通りかかった。 スメラギは1期の時のようにまんべんなく飲む事は止め、メリハリをつけていた。が、つけてしまった が故に1度に飲む量は凄まじく、相手をすると確実に潰される。スメラギ自身も相手を酔い潰すのが楽 しいらしく、容赦がない。ラッセ、ライル、ニールの3人は良く餌食にされていたが、それでも1期の 時に比べればニールにとっては楽だ。その頃は文字通り狙い撃ちにされ、倒れる事もしばしばあったか らだ。 「兄さんが通りかかってくれて、助かったよ・・・」 「刹那はどうした?こういう時、真っ先にフォローに来るのに」 弟の恋人である刹那はニールに負けず劣らずライルに関しては過保護なのだ。通路で行き倒れていたら すぐさま気がつきそうなものだが。 「いや、最近俺達と感覚が違う事にイライラしてるみたいだったから、無理だろ」 「そうか・・・?」 「うん。分かってやれないのが申し訳ないんだけどさ」 イノベイターとやらになって感覚が過敏になってしまったらしい刹那は、その一般人との意識のずれを 上手く説明できなくてイライラしている事がある。多分、今もその感覚に振り回されているんだろう。 「だから・・・・・良いんだ」 「そっか」 シュン 「ライル!」 「静かに、刹那。寝てるんだから」 「そ、そうか。すまない」 「別に弟の面倒みただけだからな。気にスンな」 刹那は心持ちしょぼんとしているように見えた。 「んじゃ、後はお前に任せるわ」 本当はライルが目を覚ますまでいてやるつもりだったが、ライルの危機を気付いてやれなかったと落ち 込んでるっぽい刹那に、その役を譲ってやる。 「良いのか?」 「ああ。だが二日酔いになったライルの我儘は半端ないからな。頑張れよ」 「ああ、身に沁みている」 そのままニールは部屋を出た。せめてあの2人がお互い癒しになれば良いな、と思いながら。
・黄泉がえり ニールがライルの身体の中に蘇ったぞ、マイスター!どうする?コマンド? 刹那の場合 「そうか、中身がライルだと文句なしに可愛いが、ニールになると途端に可愛げが無くなるな。しかし 外見は可愛いライルのままか。・・・・・悩ましい」 アレルヤの場合 「わ!僕やマリーとお揃いですね!なんだか超兵以外にそういう人がいると嬉しいなぁ」 ティエリアの場合 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 (どうも言葉にも出来ないくらい、葛藤があるらしい) オマケ 刹那「内外共にライルだと、俺はまっしぐらだな。無論、性的な意味で」 ニール「ライル、お前っ・・・・こんなにも愛されてっ(目から溢れ出る熱い心の汗を拭おうともせず)」 ライル「弟があらかさまにセクハラ受けてんのにそのコメントかよ!?馬鹿兄!」 刹那「ああ、だがニールは尊敬という意味も含めてトイレには行かない仕様になっているのでそこの処 は気をつけてくれ」 ニール「え?自力で生きてた頃、お前らの前でトイレ行った事何回もあるよな?」 刹那「それは生前の話だ。製作者側にとってもお前は高みにいる完璧超人らしいので、そんな奴がトイ レに行ったらマズかろう」 ニール「・・・・・・・・・・」 さらにオマケ ニール「まぁ俺の事は彼岸の彼方にほっぽといて、お前は良いな。あんなに刹那に性的にまっしぐらさ れて」 ライル「なら刹那とうっふんの時に変わってやろうか!?(イラ顔)」 ニール「いやダメだ。良く考えろライル。刹那は俺達の見分けが出来る。性的な意味で」 ライル「・・・・・・・(怒)」 ニール「もし交代してみろ。次の機会の時に、お前はえらい目に合うと思うぞ?」 ライル「!!!!た・・・確かに」 さらにさらにオマケ ニール「すいません・・・弟よ、俺が悪かったから交代して下さい」 ライル無言 ニール「刹那にがっつかれるとこんなに身体がしんどいだなんて思っても無かったんだ!」 ライル無言 ニール「俺、お前みたいに慣れてないんだから・・・・・しんどさを回避できません」 *ライルは刹那とのうっふんの翌日、「愛されてんな〜」とからかった兄への復讐の為に交代して、出 てきませんでした。ライルはちゃんと次の日の対処の仕方を知っているので、大丈夫なだけなのでした。
・ライルゲー 「兄さん、ちょっと良いか?」 ブザーも押さずにずかずかと兄の部屋に入ったライルはその光景に後ずさった。 「に・・・兄さん、いくらなんでも自分自身を落とすゲームをするなんて・・・」 兄は瀕死レベルの青い顔をして、ライルを振り返った。 「弟よ、現実逃避は止めなさい。これはお前です」 そう、ニールが持っている端末の画面に映っているのはライルの顔。下には選択肢が並んでいる。ギャ ルゲーのようなものだ。 「どうしたんだよ、コレ」 「ミス・スメラギ製作らしくてな・・・クリアしろと仰せつかってしまったんだよ」 兄の目尻にはうっすらと涙。 「テキトーにプレイして返しちゃえば?」 「それができたら苦労はしない。テキトーにしたらお前を腰ミノ一丁にしてフラダンスさせるって脅さ れたから」 「そ・・それは嫌だな」 「大体!ライルは俺にとって天使であり妖精であり(以下ライルに対して夢を見過ぎる発言が続いた為 割合)なんでこんな生々しい感情てんこもりのゲームをしなきゃいけないんだ!ライルが汚される・ ・・・」 「いや、それぐらいでは汚されないとは思うけど。てか、こういうのって刹那もやらされてんのか?」 ライルの問いかけに兄は首を横に振って答を返した。 「俺の前に勧めたらしいんだが、あいつ『生ライルを口説き落としたから、そんな仮想空間のライルに は用はない。生のあいつに比べれば0と1で構成されたこいつよりも、反応が可愛いからな』って断 られたらしい。愛されてんな、ライル。兄ちゃんはちょっと複雑ですよ」 ライルは真っ赤になったり青くなったりと、1人横断歩道の信号の色を存分にやらかしていた。 「んで悪いんだけど、ちょっとしばらくそっとしておいてくれ。お前が傍にいるとすげぇ罪悪感」 「そっか・・・・・。分かった。急ぐ用でもないからさ。あの・・・・俺が言うのもなんだけど、頑張 れ兄さん」 「有難う、弟よ」 くたびれきった背中を更にしょんぼりさせた兄の姿に、無事クリアする事を祈らざるを得ないライルだ った。
・廊下は走っちゃいけません 此処トレミー2では時々かけっこが行われている。 第一走者はライル・ディランディである。必死の形相で息を切らしながら、三十路過ぎとしてはすんば らしいスピードで走り抜けて行く。 第二走者は刹那・F・セイエイである。こちらは息を切らす事も無く、淡々とした表情で第一走者を追 いかけて行く。 アンカー(?)はニール・ディランディである。弟と刹那の関係は認めているものの、ライルが必死こ いて逃げているとやっぱり庇いたくなるらしい。「刹那っ!待ちなさい!」(命令)「ライルが嫌がっ てるだろーが!」(訴え)「俺の弟に粗相はやめてぇ〜!」(哀願)等と騒ぎながら走って行く。1番 うるさい。 ライルもデレる時は凄くデレるのだが、人前とかでモーションかけられると逃げ出したりする。刹那が 時々むしょうに追いかけたくなるのか、わざとやっているふしがあるからニールも必死で追いかけて行 くのである。 このおいかけっこ現象はいつも素晴らしい予報をして下さるスメラギ・李・ノリエガによって第一走者 がとっ捕まる事で大体終わる。彼女の予報に逆らえる者は誰もいない。スメラギはライルで遊ぶのが大 好き。ライルで遊ぶと本人の反応も楽しいが、ニールの反応も付いてくるし、運が良ければ刹那の反応 も付いてくるので一石三鳥である。 そして今回も ライルの悲鳴が響き渡り(スメラギと遭遇したらしい)おいかけっこは無事終了したようである。
・プレッシャー 「刹那!いい加減にしてくれ!」 のしかかる刹那に息も絶え絶えでライルは必死に訴えた。刹那とうっふんするのは構わないのだが、残 酷な程に体力の差があるもんだからライルも大変だ。刹那の胸に手を置いて押していくが、彼はビクと もしなかった。だがライルを見つめている。見つめている。じー。 「俺もう限界だってば!」 じーーーーーーーーー 「8歳も年上なんだからしょーがないだろ!?」 じーーーーーーーーー 「明日はティエリアから何故か張り切ってブリーフィングがあるって言われたじゃないか!」 じーーーーーーーーー 「行けなかったら悪いだろ?」 じーーーーーーーーー 「・・・・いやあの・・・・・刹那?」 じーーーーーーーーー 「あの・・・・・・」 じーーーーーーーーー 「・・・・・・・・」 じーーーーーーーーー 結局根負けして次の日に起き上がれなくなったライルだった。
・罠(EDに非ず) ブリーフィングルームにクルー達が行くと、既にティエリアが待っていた。 「良く来てくれた、皆」 「いや、お前が招集かけたんじゃん」 ティエリアはニールをぎろりと見た。 「で、今回はなんなの?」 CBを代表する勇者、スメラギが訊くとティエリアはある方向を指した。そこには黒い円柱が鎮座まし ている。 「去年はテクニカルな鬼に翻弄されて悔しかったので、今年はマスコミが驚異的なゴリ押しをしている 恵方巻というものにしてみた。さ、並んでくれ」 全員行きわたった処で 「ちょっと待ったぁ!」 と言う悲鳴に近い声がニールから上がった。 「どうしたんですか、ニール」 「どうしたもこうしたも!何で俺のだけビームサーベルみたいに細長〜〜〜いんだよ!」 そう言ってティエリアに抗議するニールの手には確かにビームサーベルみたいな細長い恵方巻が。対し てティエリアは余裕であった。 「ふ、今日はライル・ディランディが欠席ですね?」 「え、ああ」 「刹那のおかげで」 ジロリと刹那を睨むティエリアの視線から、刹那はぷいと顔を背けた。トレミークルーにもライルに対 する同情であろう小さな溜息が洩れる。 「だから彼の分まで貴方に頑張って食べて欲しいからです。本望でしょう?」 ニールのブラコン魂をちくちくと刺激するティエリアは暫らく見ない間に、言葉の駆け引きを覚えたら しい。 「よーーーし!お兄ちゃん、ライルの為だったら他人よりも数倍長い恵方巻とやらも食べるよ!」 乗せられた! 「それでこそ、ニール・ディランディです」 場が収まったかと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。 「あれ、でも直接の原因作った刹那は無罪放免かよ?」 「心配ご無用です。刹那は既に二刀流だ」 「へ?」 クルーの視線を一身に浴びた刹那の両手には、繋げたらニールよりも長いだろう恵方巻が握られていた。 「中身はヴェーダの厳選な指導により、ニールはかんぴょう巻、刹那はおしんこ巻です」 「ヴェーダにどう見られてんだよ、俺達・・・・」 ぶーたれるニールの言葉をティエリアはさっさと無視した。「やるわね、ティエリア。負けてられない わ!」と何故かスメラギが滾っていた。 しばらく後・・・・ 「ティエリア・・・腹が・・・・・・腹が苦しいんだが・・・・」 クルー一同の訴えにティエリアは眼鏡をくい、と持ちあげた。 「そうでしょうね、あの米はもち米でしたから」 そう言ってにっこりと笑い、ティエリアはパンシ○ンをクルーに差し出したのだった。
・バテレンタイン再びまたたび なにか胸騒ぎがして、刹那は足早にトレミーの廊下を歩いていた。そんな彼の目に飛び込んできたのは なんとか立っているものの壁に身体を預けてぐったりしているライルだった。 「ライル!どうした!」 胸騒ぎはこれだったか、と駆け寄ると刹那に気がついたライルが顔を上げ刹那になにかを突き出した。 綺麗にラッピングされているそれ。 「?なんだこれは」 「箱」 「俺は中身を訊いているんだが」 そう言うと顔を歪めて刹那を見る。 「去年兄さんにもらったんだから、今年は貴方からあげなさいとミス・スメラギに言われてだな・・・・」 「いや、もう分かった」 スメラギによってチョコ作り作業に放りこまれたのは間違いじゃないはずだ。 「すんげぇチョコに匂いでさぁ」 「そうか、災難だったな」 ライルは甘党ではない。が、甘党だったとしても限界というものはある。さぞかしすごい甘い匂いだっ たんだろうと刹那は同情する半面、ニールの他に自分にも作ってくれた事が嬉しかった。たとえそれも スメラギによって強制的に作らされたとしても。 「で、ニールには渡したのか」 「いやこれから。向かおうとしたら気持ち悪くなって」 この分だとニールは訳も分からずスメラギの手によって自室に閉じ込められているはずだ。「待機」と いうもっともらしい理由で。 「なら早く行った方がいい」 「うん。悪いけど刹那、一緒に来てくんねぇ?」 「無論だ」 「サンキュ」 ライルは刹那の手を借りて、ようやくのろのろと歩きだした。 「ライル!刹那。どうしたんだ?」 ニールは嬉しそうに笑う。ライルは先程の憔悴ぶりなど微塵も感じさせない程元気な感じで、刹那は密 かに感心する。 「ん、去年兄さんに貰ったから、今年ぐらいは俺から」 差し出されたチョコ入りの箱をニールは大喜びで受け取る。 「ありがとな!俺、すんげぇ嬉しい!」 「兄さんに喜んでもらえて何よりだ。じゃ、俺この辺で」 「ああ」 背を向けたライルを追おうとした刹那は、ニールに素早く腕を取られて振り返った。 「ライルの奴、チョコに酔ってるだろ」 「・・・・・分かったのか」 「当たり前だろ・・・・・。ちゃんと面倒看てやってくれな」 「お前は良いのか?」 「ああ・・・・。俺、こころゆくまでライルが調子悪い時に騒いじまったからな。ライルの奴、俺と一 緒にいたら絶対平気なフリをするから、俺はこういう時はいない方が良いんだよ」 復活したニールはライルにほんの些細な事が起こるたびに、大騒ぎをしてきた。それに1番驚いたのは ライルだった。それからというもの、ニールに変に心配をかけまいとして気丈に振舞うのだ。お互い、 相手を思いやっての行動ではあるのだが。 「分かった、まかせろ」 「だが無体はするな」 釘を刺してくるのは流石と言えた。刹那は頷いて、ライルの後を追う。 案の定廊下を曲がった処でへたばっているライルを発見する事になった、刹那だった。
・罪深き緑の妖精 「さ、これを着るのよライルv」 「絶対、嫌だ」 緑の服を握りしめたスメラギにライルは追い詰められていた。 その時 「ライル〜〜!兄ちゃん、お前の為なら身代わりでコスプレも厭いませんよっっ!」 「うわっ!ピーターパンが思わず瞬殺しそうな世界一罪深いティンカーベル来たーっ!!」 どういう衣装かお察し下さい。 「って、兄さん!顔青いよ!笑顔凍ってるよ!身体震えてるよ!滂沱の涙の中に血が混ざってるよ!」 人、それを血涙という(井上ボイスで) 「やはり俺の出番だな」 「刹那?」 くるりとライルは振り返った。 「うわああああ!!!ミニスカートから青と白の縞々トランクスを惜しげもなく曝け出す宇宙一罪深け ぇティンカーベル来たーーーっ!!最早ファンタジーなど投げ捨ててやがるっっっ!」 「初代主人公(アムロ)とお揃いのトランクスだ」 なんだか嬉しそう。 「ちょっと、兄さんなんとか言ってやってくれ!って羞恥に耐えられずに壁に向かって体育座り&ぶつ ぶつ言ってる!」 「そうか、思春期だな」 「お前が言うな。なんで2人共生足でそんな格好するかな・・・・」 「ティンカーベルだから仕方なかろう」 「そんな筋肉むきむきのティンカーベルなんざ、子供たちの夢が阻害されるわ」 「俺がティンカーベルだ」 「・・・・・・・」 「もう本当に愛されて幸せね、ライル」 「ミス・スメラギは黙っていて下さい」 前に「あんたは黙っていろ!」と言ったら、酷い目にあったので敬語。 遠くにてラッセとミレイナが見守っていた。 「おいおい、ライルの奴。ニールと刹那とスメラギさんの相手を同時にしとるから、頭部がキングギド ラみたいになっとるぞ」 「ストラトスさんは本当に愛されてて羨ましいですぅ」 「ああそうだな(棒)」 とかなんとかいって、ライルを助ける気は毛頭ない人々だった
・花と誕生日と変態と 3/3トレミーでニール主催の「ライルお誕生日パーティ」は微妙な空気が漂っていた。というのもライ ルの恋人たる刹那がここ2〜3日行方不明なのだ。最初は極秘ミッションかと思われたがスメラギは知 らないと言い、ティエリアに頼んでもヴェーダの索敵を拒んでいるらしく、とんと居場所が分からない。 「刹那の奴、ライルの誕生日にどこ行ったんだ?」 「いや兄さんも誕生日だからね。つか良いんだよ」 「なんで」 「だって最近の刹那、自分の感覚が上手く説明できなくて苛立ってたみたいだからさ。俺が理解できれ ば良いんだけど、イノベイターへの進化なんて努力すりゃなれるわけでもない。だから・・・良いん だ」 「・・・・・そっか」 弟の健気な発言に、涙を禁じ得ないニールだった。 結局お開きになるまで、刹那は現れなかった。 自室に引っ込んでからライルは暫らくうだうだしていたが、寝てしまおうと思いいつもよりも随分早く にベットに潜り込んだ。 どのくらい経った頃だろうか。 部屋のインターホンが鳴った。一瞬、兄かと思ったがお開きの後スメラギに強制連行されてしまったの で、今頃は虚ろな目で酒を飲まされているだろう。無視する事に決めたものの相手も諦める気はないら しく、いつまでもインターホンが鳴っている。とうとうライルが折れた。 「誰だよ・・・・って刹那ぁ!?」 ライルの目の前には行方不明になっていた刹那がぜいはぁと肩で息をして立っていた。 「良かった、まだ3/3は過ぎてないな」 「どこ行ってたんだよ!?」 ライルの当然の問いにずい、と出されたのは特大の花束。よく会社の受付などに置いてある馬鹿でかい 花瓶に入っているようなサイズ。 「・・・・・どうしたんだよ、これ」 「お前に誕生日プレゼントとして贈りたかった」 「え・・・・」 目を丸くするライルに微笑みかけ、刹那は 「誕生日、おめでとう。ライル」 と言った。ライルの顔がみるみる赤くなる。ぎゅ、と花束を抱きしめて微笑み返した。 「ありがとう、刹那。俺、嬉しいよ。でも随分遅かったな」 刹那は眉を顰めた。 「取りに行くまでは実に順調に行ったんだが、どこで嗅ぎつけて来たのか金髪変態に絡まれてな・・・」 「ああ・・・・あの人」 金髪変態、その名をグラハム・エーカーという。妙に刹那にご執心なのでライルとしてもちょっと面白 くない相手ではある。 「あいつに見つからないようにわざわざフラッグで行ったというのにな」 「そっか、まぁ無事で良かったよ」 「俺も今日中にお前に花束を渡せて良かった」 じゃぁ、と言い踵を返そうとした刹那は腕をライルに掴まれる。 「まさかこのまま自室に帰る、なんて言わないよな?」 にやり、と笑う。刹那は一瞬きょとんとしたのだが。 「そうだな」 そう答えてライルの部屋に足を踏み入れた。 次の日少し大きい花束を配っているライルの姿があった。女性陣だけでは足りないので男性陣にも渡し ていく。 「でも良いの?これ刹那がライルの為に持ってきた花束でしょう?」 控えめに気を使うのは勿論フェルトだ。 「大丈夫。刹那がくれた特大サイズの花束を知っているのは俺と刹那だけだからな!」 得意気にそうのたまうライルに 「ああもう!ごちそうさま!」 というスメラギの呆れた声が答えたのだった。
★塵が積もり過ぎたので、お掃除しました。色々バカ書いてるなぁ・・・・。 戻る