寄せ集め5 日記ログ5 ・ブラコン同盟 「うわっ!」 ライルはコクピットで思わず声を上げた。どうも相手の攻撃が当たったらしい。動揺は瞬時にナリを潜 め、直ぐに好戦的な表情に変わる。 「やったな!・・・・って・・・・ん?」 嫌な予感に振り向けば、「宇宙空間」を「スプリンター走り」してくるマスターガンダムの雄姿。 「うわー!どうやって宇宙空間疾走してんだよ、おかしいだろそれ!!」 Gジェネ初参加のライルの悲鳴が響き渡っていたが、それまでの参加メンバーは 「まぁ・・・・マスターアジアのガンダムだからな」 「ああ・・・東方不敗のガンダムなら仕方ないな」 と納得し、事の重要さを多分理解していないマスターアジアが得意気になっていた。・・・あれ?とい う事はマスターガンダムに乗っているのは? 「てんめぇ〜〜!!よくもスーパーデラックススペシャル(最早何言ってんだか分からない)可愛い俺 の弟に傷をつけやがったなーーー!!」 ライルの双子の兄の声が響いた。 「え?あれ乗ってんの兄さん!?待って兄さん!それ射撃武器全然ない俺らには向かない機体だから!」 そう叫ぶライルの横を走って行ったマスターガンダムは怒りのハイパーモードにチェンジしていた。因 みに本編では怒りのハイパーモードは否定されている。マスターガンダムは黄金に輝きつつ宇宙を疾走 する。ガンダムファイターのコクピットはトレースシステムを積み積みしており、中の人間の動きを忠 実にトレースして機体にフィードバックする。つまりニールはコクピットでルームランナー状態という 事だ。呆然と見送るライルの前を 「ふはははははは!ブラコンなら、負けんぞ!甘いぞ!ドモン!」 と笑い叫びながら日本人にもドイツ人にも失礼かと思われるカラフルなゲルマン忍者ことシュバルツ・ ブルーダーが走り抜けて行った。この人も立派なブラコン兄だと思う。ドモンとレインの仲がギクシャ クした時に怪しげなフォローをして、元通りにしてみたりな。因みに今回の戦闘にドモンは出ていない。 ライルを心底驚かせたのは相手にしていたティターンズの皆さんが 「ぎゃーー!!ブラコン兄同盟が来たーーーーー!!」 と叫んで蜘蛛の子を散らすように逃げて行った事だった。なんというか・・・・本中華(意味不明) 「兄さん!お願いだから俺の中のイメージを崩さないでくれ!助けて刹那ぁ!」 ライルもブラコン入っているので、ニールには格好良くしていて欲しいのだった。 そんなライルに「助けて」と言われた刹那はティエリアと共に深い困惑の中にあったという。
・ご相談1 目の前にいるのは困った顔をしている最愛の弟。ニールも溜息をついた。 CBメンバーに復活した後、ライルと殴り愛宇宙を展開し分かりあったのだが(宇宙のトレミーでの再 会だった為、夕日を用意できなかったのは悔やまれる)更に衝撃が待ち受けていた。 最愛の弟と可愛い弟分がほもっちく出来上がっていたという衝撃が。しかも公認。 最初はライルが刹那に手を出したと思った。ライル程ではないが、刹那とてニールにしてみれば可愛い 弟分である。そうライルに問いただすと、曖昧な返事しか寄越さない。業を煮やして刹那に詫びに行け ば、彼は珍しく口をとがらせた。 「手を出したのは俺だ。ついでに突っ込むのも俺だ」 と失神モノの告白もされた。どうもライルは自分が突っ込まれる方だとは、男のプライドとして明言出 来なかったらしい。ニールがこの関係を渋々とはいえ認めたのは、刹那がライルに無理をさせていない 事と、なんのかんのといって結局ライルも刹那の事が好きだからだ。 バレてから刹那との関係で度々ライルに相談されるようになったのだ。わりとライルも赤裸々に表現す るので、気が遠くなったのも一度や二度じゃない。しかしニール以外に気軽にかつ親身に相談できない のをニールも自覚しているので、こうして話を聞く事になっている。 因みに今日のテーマは「体力がもたん」 20代の若く体力有り余っている刹那に比べてライルは三十路オーバーで、普通の人よりは体力はある ものの、相手が化け物級である。今までにも色々と工夫をしていたらしいが、刹那を満足させてないん じゃないか、と割と真剣にライルは兄に物語った。 「でもお前の方が負担は大きいわけだしさ・・・・」 男の身体は突っ込まれるようには(一応)できていない。そうフォローするものの、ライルの悩みは無 駄に大きいらしい。 「そうなんだけどさ・・・・」 「刹那に訊いてみたのか?」 「うん。満足してるから気にするなって言われた」 「んじゃ、それを信じてればいーじゃねーか」 1回別れらしき事を刹那に申告してみたらしいが、本気で怒ってぶん殴られたらしい。他人から見たら 痴話喧嘩に見えたんだろうな、とニールは思った。まぁ・・・自分がライルの立場だったらライルの 「8つも年上である」というこだわりも分かるので、お気楽なフォローも出来ない。 こりゃ刹那にうっふん時に1回体力消耗して倒れるぐらいしておけって言っといた方が良いな。 そう思うニールは本当に良い兄貴だった。
・ご相談2 ライルがミッションでいない時、ニールは刹那を尋ねた。本来なら人様の恋愛とかうっふん関連に首を 突っ込む事は無いのだが、最愛の弟の苦悩を考えるとニール自身がどうしても刹那から直接話を聞きた かったからだ。 「お前さ、ライルとの関係に満足してんのか?」 この問いは非常に簡潔に答えられた。 「してる」 わぁ、はやーい。等と思っていると刹那が眉を顰めた。 「お前とて俺達の関係は認めてくれているだろう?」 「いや、ライルがさ・・・・お前が満足しているのか気にしてるからさ」 そう言うとやはり何か考える事があったのだろう。 「相手が8つ年下だと、そんなに気遅れするものか?」 反対に問いが飛んできた。 「まぁ・・・彼女とかだったら良いんだけど、女でも彼氏が年下だといつか若い子の処へ行ってしまう んじゃないかって不安になるそうだしなぁ」 「お互い様だ」 ボソリ、と呟かれてニールは訊き直した。やっぱり眉を顰めたまま刹那は口を開く。すごーく言いにく そうに。 「お互い様だと言ったんだ。俺だってあいつに子供扱いされないよう、間抜けな事はしないように気を 付けているんだ。なのにそーいう時の体力の差で別れを告げられそうになったんだぞ」 珍しく刹那が激高し、ライルをぶん殴ってしまった時の事を言っているらしい。 「お前、精根尽き果てた事ねーの?」 「ある」 答は簡潔かつ意外なものだった。ライルの話ではいつでも余裕だったはずだが。 「あいつの後始末をちゃんとしてやりたいし、みっともなく転がっている処を見られたくない」 ニールはぽかーんと口を開けて居心地の悪そうな刹那を見つめる。が、段々その表情が笑みに変わって 行く。 つまりだ、お互いに相手にみっともない処を見られたくなくてカッコつけているだけなのだ。ライルは みっともない処はとっくに見せていると思うが、刹那が見栄を張る日がこようとは!! ニールは無駄に嬉しかった。押さえていた笑い声も段々大きくなっていき、刹那のバツの悪そうな顔が 紅潮していく。 「ニール!」 「いやいや悪い。お前ら、ホント可愛い恋愛してるよな」 「うるさい・・・・・」 「ならさ、精根尽き果てた時は素直に転がれって。そしたらライルも安心する。刹那を満足させたって な」 「しかし・・・・・・」 「良いから、俺の弟は恋人のみっともないトコみて幻滅するような薄情じゃないぞ?」 渋る刹那を説得する。最後には根負けしたらしい刹那が渋々頷いた。 「兄さんやったよ!刹那が精根尽き果てた!」 限りなく破廉恥な言葉であるが、ライルの嬉しそうな顔を見てほっとしたニールだった。
・激難(刹那だけ)ミッション らいるが かぜを ひいた! 地上でのミッション終了後だった為、ライルの他には刹那しかいない。しかし恐ろしい事に刹那は風邪 で寝込んだ事が無かったので、スメラギに連絡して看病の方法を教えてもらった。 「刹那・F・セイエイ、風邪の看病に移行する!」 ステップ1 「ふむ、栄養のあるものを食わせろ、か・・・・」 どこかに行っていたらしい刹那が戻ってきたのを察して、ライルはうっすらと目を開けた。熱のせいか 視界が揺れる。身体もギシギシと痛んだ。 「大丈夫か、ライル」 「せつな・・・・」 「栄養満点だからな、コレを喰え」 ずぃ、と出されたのは黒ヤモリが串刺しにされて焼かれた物。ライルは目の前が霞んだ。 「いらねぇ・・・・」 「滋養強壮に良いんだぞ?・・・ならこっちはどうだ」 「え・・・?」 ズィ、と出されたのは蛇・・・以下略。 「我儘言わずに喰え。とにかく喰わないと薬も飲めないし、治るもんも治らなくなる」 「お前は俺をどの邪神復活に生贄る気だよ!そういう時は肉類は喰えないんだよ!もっとさっぱりとし たものを食わせてくれよ!ヨーグルトとかプリンとかゼリーとか・・・」 思わず起き上がって叫んだライルは激しい頭痛に目を回して倒れ込んだ。 結果 悪化した。 ステップ2 「水を多く飲ませろか」 「ライルせめてスポーツドリンクを飲め」 その言葉にライルはうっすらと意識を戻したが、後悔する。 「せつな・・・なんだそのウィスキーでも入っているよーな樽は」 「お前がたっぷり飲めるようにわざわざここに詰め替えた」 「・・・・・・・・・・・・・」 黙り込むライルに刹那は不思議そうに首を傾げた。 「ちゃんと此処に蛇口をつけてあるから、そこに口をつけて思う存分飲め」 「俺はフォアグラ用の鴨やガチョウじゃない」 「そうか、口移しを望むか」 「望みません」 「良いから飲め。ほら」 埒が明かないと思ったのか刹那は蛇口にホースを付けた後、そのホースをライルの口に突っ込んで蛇口 を思いっきり捻った。 「〜〜〜〜!!!!!!」 結果 悪化した。 ステップ3 「身体の汗を拭いておけか」 ヒタリ、と心底肝を冷やす冷たさにライルの混濁した意識は一気に浮上した。見れば自分は真っ裸。濡 れたタオルをライルの腹辺りに置いていた刹那が気がつく。 「気がついたのか」 「なに・・・・してんだよ」 「見ればわかるだろう?お前の身体の汗を拭いているんだ」 「あのな・・・・何故氷水に漬け込んだタオルで拭くんだよ。普通はお湯でやるんだよ!」 そう言えばきょとんと目を見張る。 「熱そうだったからこっちの方が良いと思ったんだが」 「更に熱上がるよ・・・・・。誰か助けて、刹那に殺される」 「心外な、これでも心をつくして看病してやってるんだぞ」 「方向性が大間違いだ!」 この間もライルは素っ裸のまんま。 結果 悪化した。 ステップ4 「汗を出させろ・・か」 流石にこの状態でうっふんは無理だろうと刹那は思った。無論、ライルが完治(すればだが)したらた っぷりうっふんの相手をしてもらうつもりだ。 結果 現状維持。 ラスト 「ライルッッ!生きてるか!!!」 悲痛な声で登場したのは小姑ことニールだ。言われたとおりにしたが、さっぱり良くならないとスメラ ギに報告してさほど時間が経っていないのに駆けつけるのは流石と言えた。 「刹那ぁ!お前、俺の大事なライルを殺す気か!!」 流石のスメラギも真っ青になってニールに事実を伝えたらしい。ベットの中では熱と疲労となにか得体 のしれないもので昏睡状態のライル。刹那の答を待つつもりはなかったらしいニールはあっさりとライ ルの処へまっしぐら。 「ライルッ!兄ちゃん置いていかないでぇ!」 兄の慟哭に気がついたのか、ライルが目を開けた。 「ライル!」 「兄さん・・・・良かった、俺死ぬトコだったよ」 「ああ、もう俺が来たからには大丈夫だ!」 「うん」 しかしこの後ニール特製のマッシュポテトを口の中に押し込められたライルだった。 結果 なんとか回復。
・絵心と萌 イノベイド達との最終決戦中、ライルは宿敵アリー・アル・サーシェスとどんぱちやっていた。押され つつも善戦していると、アルケーが何故かでかいスプレー缶を持ちだした。 「なんだ?」 「お前のガンダムを綺麗に染め上げてやるよ!そらっ!!」 プシューとスプレー缶からなにか発射される。咄嗟にかわそうとするが遅かった。しかし覚悟していた 衝撃も何もなかった。そこへアリーから通信。 「きれーに染まったぜ?見てみな!」 ライルがケルディムの手を前に持ってくると、衝撃の事実が待っていた。 「ぎゃああああ!お、俺のケルディムがピンクにっっ!しかもラメ入り!!」 そう、ケルディムの渋くて宇宙ではちょっと見にくいんじゃないか、と思われるモスグリーンはオシャ レなピンクラメ入りになっていた。 「それだけじゃ終わらねぇんだよ!」 ガシーっと掴まれてわたわたすると・・・ 「ここに花や、可愛いクマさんを描いてやるよぅ!」 というこれまた恐怖の宣言が。なんとか逃れようとするのだが、何故か逃れられない。やっと解放され たと思ったら、先程よりも衝撃の事実が待っていた。機体にペイントされた可愛いお花やクマたんがア セロラの中のビタミンCのように豊富に含まれていた。 「ぎゃあああ!最悪だ!助けて、刹那!兄さん!」 叫んだ途端 「呼びましたかライルッ!兄ちゃん、お前の為に本編にはトレミーに乗って無かったデュナメスリペア に乗って参上ですよ!」 見れば本当にこっちに向かってくるデュナメスリペアがあった。トレミーの不時着地点から大分離れて いるはずなのだが、どうやってこのタイミングで来れたのだろう?とライルは首を傾げた。デュナメス リペアはライルの疑問を他所に、ひょっこりと前に立つ。 「ライル・・・・・お前のガンダム・・・・・・」 兄の呆然とした声が聞こえてきて、ライルは俯いた。割とこのケルディムを気に入っていた兄だが、か つて乗っていた愛機であるデュナメスがリペアとして復活しているのを見て大喜び。その愛機のデュナ メスの正に弟ともいえるケルディムの凄まじいペイントに驚いたのだろう。ライルがシリアスにそう思 った時。 「か・・・可愛いっ!ライルにぴったりだ!グッジョブ、アリー!」 と言ってデュナメスが親指立てたから、さあ大変。 「ハロ、ぶつけろ」 「リョーカイ、リョーカイ」 次の瞬間、唯一残っていたシールドビットがデュナメスを直撃した。成すすべもなく吹っ飛ぶデュナメ スの後を追ってケルディムが飛び出していく。 「これで良いのかい、大将?」 「ああ、これで彼らは仲違を起こすだろう」 「さようで。俺としては面白くねーなー」 「あ、そうそうアリー、君・・・・」 「あん?」 「絵上手いね」 「・・・・・・どうも」 一方その頃、リボンズの狙い通りトレミーMS組(ラッセ・ティエリア除く)は大騒ぎになっていた。 「可愛いライルにぴったりだよな!」 「確かに。これが萌えというやつか」 「こんなペイント、敵に集中砲火されそうじゃねーか!」 「つまり・・・・お前に野郎が惚れて群がるのか」 「なんでそーなるんだ、刹那!えぇい!話にならん!マリー!君の感性ならおかしいと思うだろ!?」 「ごめんなさい、ライルさん。昔、ピンクのティエレンに乗っていた私にはコメントできないわ」 「僕はマリーを支持するよ」 「アレルヤ!お前は少し自分の意見持てよな!沙慈!沙慈はいないのか!?」 「沙慈ならルイスと共に避難したぞ。今頃安全地域でらぶらぶしているはずだ」 「くっそー、唯一の頼れる一般人感覚なのに!」 その頃、沙慈はルイスに首を絞められていた。 そんな戦場そっちのけの騒ぎは主砲をぶち込んできて 「貴様ら、いい加減にしろ・・・・・。歌うぞっ!」 とカティが叫び、その叫びにスメラギが反応。 「止めて、カティ!貴女が歌ったらこの作品「ガンダムW」になってしまうわ!」 と叫ぶまで続いたという。(ヒント・主題歌歌ってた)
・兄の悪夢1 「兄さん、おはよう」 朝、起きて来たライルがニールにそう挨拶をする。 「おお、おはよ」 そう答えればシュン、とドアが開いて刹那が入って来た。 「おはよう」 「おはよ、刹那」 「・・・・おはよぅ・・せつな・・・」 あれ?とニールは思った。なんだろう、せつな・・・の後ろに「でっかいはぁと」が見えた気がした。 ライルを見ると、頬を赤く染めてもじもじしている。そんなライルに刹那がニッコリと笑いかけた(!) 「相変わらず、今日も可愛いなライル」 普通なら此処で「俺は可愛くなんかねー!」と叫んでパンチを出し、刹那に難なくかわされる展開が待 っているのだが、今日は何故か違っていた。ライルの顔が頬以外も赤く染まって行く。瞳がうるうるし ていた。 「やだ、刹那ったら・・・。恥ずかしい・・・・」 「恥ずかしがる事はないだろう?事実を言ったまでだ」 「刹那がそう言ってくれるなんて・・・嬉しい」 「そうか」 気が遠くなるような会話が展開されて、ニールは固まった。確かにライルは超絶に可愛いと思うが(こ こら辺が重度のブラコン)こんな顔を赤く染めてもじもじしながら刹那にぴったりとひっつくライルに 違和感大爆発。 「ぎ・・・・ぎゃあああああああああ!!」 ニールは耐えかねて切実に悲鳴を上げた。 「な・・・どうしたんだよ、兄さん」 ガンつけているのかと思うほどにニールに見つめられてライルは首を傾げた。自分の悲鳴で目を覚まし たニールはあれが「夢」だった事を心底立川でバカンスしている聖コンビに感謝したのだが、汗で身体 はびっしょりと濡れていた。ついついあの時のライルが思い出されてガン見してしまっている。そうい う事情が分からないので、ライルは戸惑うばかりだ。シュン、と音を響かせて刹那が食堂に入ってくる。 「おはよう」 夢と同じように声をかけてくる刹那に、ニールは戦慄する。 「今日も可愛いな、ライル」 ニールの心中を知ってか知らずか、またしても夢とオーバーラップするような事を言う。 「なに言ってんだ。俺は可愛くねーっていってるだろが!」 思わず、といった感じで繰り出されたライルパンチを刹那は余裕でかわした。かわされた事に文句を言 おうとしたライルはいきなりニールに抱きつかれた挙句、ぎりぎりと締め付けてくるのでさあ大変。 「なんだよ!苦しいって兄さん!」 「良かったー!!うん、これこそライルだよな」 そう言ってますます離れないニールに、ライルと刹那は目を丸くして視線を交わしたのだった。
・兄の悪夢2 「兄さん」 呼ばれて読んでいた新聞から顔を上げると、そこには神妙な顔つきをしたライルが立っていた。 「どうした、ライル?」 声をかけるとそれに反応したのか、ライルはニールをじっと見つめたまま口を開いた。 「今まで有難う。・・・・俺・・・・俺・・・・」 「ライル?」 「刹那のお嫁に行きます!」 叫ぶと同時にライルはウエディングドレスを身に纏い、右手にはブーケまで持っていた。思いもかけな い展開にニールは固まったが、ライルはにっこりと笑った。 「俺・・・・幸せになります!」 くるりとニールに背を向けた先にはこれまた白いタキシードに身を包んだ刹那の姿。固まったままのニ ールを振り向きもせず、走り出そうとしていた瞬間だった。 ライルはぐわしっとドレスを両手で掴むと、こともあろうに膝上までたくし上げて刹那の元に走り出し たのだ。どうも走りにくいらしい。因みに靴は制服のブーツだった。 「待ちなさい、ライル!なんと、おはしたない!たくし上げて走ってはいけませんよ!?刹那も微笑ま しく見惚れてないでちゃんと言いなさい!」 後を追いかけて叫ぶ自分の声で、ニールは目を覚ましたのだった。 「良いか、ライル。兄ちゃんはお前が刹那に嫁に行こうとウエディングドレス着ようと構いません!で もちゃんとドレスはたくし上げないで歩け!」 ものすごい真剣さで朝一番から力説する兄を、ライルは良く分からない心境で聞いていた。 「兄さん、どうしたんだと思う?」 お向かいで我関せずで食べていたラッセに話を振ると、困った顔してこっちを見て来た。 「ニールの事だ。きっとお前に関して変な夢見たんだろうよ。つかライルのウエディング姿って・・・ ・・恐ろしい事言うよな」 ラッセは元マフィアではあるが、感覚は沙慈やライルと一緒で普通である。ライルのウエディング姿に 関して好意的ではない発言に、ライルは安堵のため息をついた。 刹那(非常識1)なら「意地でも着ろ。良く似合うだろうから」と言い ニール(ライルに関してのみ非常識2)だったら「可愛い!うちの弟は宇宙一可愛い」と言い アレルヤ(非常識3)なら奇跡的なまでに良い方に解釈しながらも「ドンマイ☆」と言うだろうし ティエリア(非常識4)だったら「もっと気合を入れて着んか!」と発破をかけてくれるだろう。 1番恐ろしいのは常識を知っているのに非常識なスメラギではあるのだが。 まだつらつらと力説するニールを虚ろな瞳で見ながら、ライルは刹那が現れるまでにはこの良く分から ない説教が終わってくれる事を祈るのみだった。
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