書きも書いたり




日記ログ6



説得・・・スメラギ編



ライルは決心した。なにをってCBからカタロンに帰る事を。思いかけず兄とも再会できたし、一応ま
ぁ・・・恋人の刹那もできたわけだが、それを差し引いてもCBの思想がどーにもこーにも嫌いだった
からだ。今度はカタロンでCBとの架け橋でもすりゃ良いや、と思ったライルがさっそく向かったのは
スメラギの部屋。何故って彼女こそトレミーの女王様。トレミーで絶大なる権力をお持ちの彼女のお墨
付きが出れば、順調にカタロンへ帰れると思ったからだ。

「ダメよ」
これまた思いがけず速攻でスメラギはダメ出しをしてきた。
「なんで?」
「だって貴方がいなくなったら、私は誰で遊べば良いの?」
「兄さんを進呈します」
さっさと実兄を差し出す恐ろしい弟だった。しかし女王様は首を横に振った。
「ダメよ。だってニールで遊んでも釣れるのはニール本人だけだもの。それに比べて貴方で遊べばニー
 ルは確実に釣れるし、刹那だって釣れるんだもの。一石二鳥よりももっとお得な一石三鳥だもの」
「貴女は釣りキチ三平デスカ?」
釣られるニールや刹那が可哀想とは思わ・・・・ないか。とライルは心の中で呟いた。特に刹那はそう
いうスメラギの遊びにはなかなか介入してこない。ニールは離れていても、何故か巻き込まれてえらい
目にあう事も多かったらしいが。
「まず刹那とニールを説得なさいな。2人が納得したら快くGNカンカン付けたシャトルでカタロンへ
 送ってあげるから」
「GNカンカンはいりません。旅立ちの歓迎ならもっと違う方法で誠意をみせて欲しいよ」
そう言うとスメラギはケラケラと笑った。
「ま、頑張って。あの2人は強敵よ?」


さて説得はどうなることやら・・?



  説得・・・刹那編 「許さん」 ライルからカタロン帰りたい発言への刹那の答がこれだった。 「お前は俺の童貞を奪った責任をとってもらわねばならん」 「いや、お前が勝手に俺で散らしただけだろーが・・・ってお前、女の経験あるって言ってたじゃねー  か!」 ライルの個人的意見ではあるが、やっぱりほも一直線は不毛だと思っているのだ。ちゃんと女性との経 験があって欲しい、と。最初に押し倒された時、刹那に確認したら「経験有」という答が返って来てい たのだ。 「確かに俺はお前の前に女との経験はある。だが女の(ピー)に突っ込んだ事はあってもア(ピー)に  突っ込んだ事は無い。つまりア(ピー)はお前が初めてというわけだ」 刹那は堂々と言っているが、内容はとんでもなく破廉恥である。直球過ぎるのも問題だ。それなりに常 識人であるライルは内容について行けなくなって、目を白黒させていた。そんなライルにズィ、と刹那 は顔を寄せる。 「お前はカタロンに帰るというよりも、クラウス・グラードの元へ帰るんだろう?」 「うん、そのつもりだが・・・・・」 「だったら余計許さん」 「なんでだよ!?クラウス、超良い奴なんだぜ?刹那といえども聞き捨てならないな」 「超良い奴なのは知っている」 そう、嫌味な程に良い奴なのだクラウス・グラードという男は。性格も良いし面倒見も良い。オマケに マシンガンいっちょで包囲している保安局員とドンパチして負傷したものの見事逃げ延びたり、外伝で もホバータイプのイナクトでジンクス相手に切った張ったをして仲間が逃げる時間を稼いだ後、(どう も)無傷で撤退したりと実力的にも申し分ない。だからこそ刹那はライルがクラウスの元に戻るのが許 せないのだ。お互いに恋愛感情は無いと言うが、あんな無防備にライルが甘える相手を、良く思うはず もない。 「そういや」 ライルの声に刹那は陰鬱とした感情から抜け出した。 「お前が俺の処男(こんな言葉は無い)奪った責任をとるってんなら、一緒にカタロン行こうぜ」 ライルはあくまでCBの理念が嫌いなだけなのだ。いくら恋人や実兄がいても、辛いモンは辛い。刹那 や実兄と一緒にカタロンに帰ってもいいかも!とか思ってたりする。しかし 「それはできない」 「なんで」 「俺はガンダムだ」 「・・・・・・あっそ」 愛想を尽かしたように背中を向けたライルにタックルをかまして、ベットに倒れこませる。 「なにすんだ、刹那ぁ!押し倒すな!抑え込むな!」 「お前の処男を奪った責任をとろうと思って」 「俺、これから兄さんの説得に行かなきゃならんのに!」 喚くライルの耳元に刹那は口を近づけた。 「俺の説得にこれ以上ないほど豪快に失敗してるのに、ニールを説得できると思っているのか?」 もっともな質問にライルがうっと呻いた。多分最大の難関は実兄であるニールなのだ。 「まぁ今日は責任をとらせてくれ」 「ぎゃああああああ!」 せつなの せっとくに しっぱいした。
説得・・・ニール編 「嫌だ」 実兄はライルが部屋を訪れた途端、こうのたまった。どうもスメラギか刹那かあるいは両者から話が飛 んだらしい。昨日の刹那との行為に疲れた身体を引きずって説得に来たのに、こう言ってぷい、と顔を 逸らせてしまった。取り付く島も無いとはこの事だと思う。しかも「嫌だ」ときたもんだ。「ダメだ」 とかならまだ反論もあるが、どうしたもんかとライルは溜息をついた。 「ライルは俺と一緒がそんなに嫌か?」 逸らせたまま、ニールは問いかけてくる。 「いや?じゃあ兄さん、俺と一緒にカタロンに行ってくれねぇ?」 別に兄と一緒が嫌じゃない。くどいようだがCBの理念が嫌いなだけだ。ニールは驚いたようにライル の方を向くが、あまり良い表情をしなかった。ああ・・・昨日刹那もこんな顔してたな、とぼんやりラ イルは思い出した。難しい顔をしたニールは、ぽつりとこう言った。 「お前はカタロンじゃなくて、クラウス・グラードの元に帰るつもりなんだろう?」 「うん」 「ならもっと嫌だ」 「なんだよ、それ?刹那にしても兄さんにしてもどうしてそう、クラウスを嫌うんだよ!?クラウス良  い奴だってのに!!」 ぷりぷり怒りだしたライルを見ながら、ニールは思う。確かに良い奴だし実力も申し分ない。だがだか らこそ面白くないのだ。ライルをこんなに可愛らしく(注*ニールと刹那視点)育てた彼がニールは羨 ましい・・・俺が可愛く育てたかったのにと嫉妬めらめらだったりする。実は両者はなかなかに似てい ると思うので、一種の近親憎悪なのかもしれない。実兄をすり抜けて1番実弟が甘える相手だと、ブラ コン宇宙一なニールは面白くない。後、自分よりも長い年月を寄り添って(ニールの妄想が入っていま す)いるクラウスがやっぱり羨ましい。クラウスに関しては刹那よりも複雑な感想をお持ちなのだった。 が 「良いよ!もう!兄さんも刹那も見損なった!ふーんだ!」 黙っている時間が思っているよりも長くなってしまった為に、ライルは怒りだしてしまい、とっとと部 屋を出てしまった。兄の心弟知らず。まぁライルにしてみたら大大大親友のクラウスが恋人と実兄にダ メ出しされれば面白くないだろう。 「あー、しまった。後でフォローしとかなきゃな」 ニールは苦笑して、天井を見つめた。
説得・・・結果 旧・現マイスターが血相を変えてブリッジに飛び込んできた。 「ミス・スメラギ!」 「スメラギ・李・ノリエガ!」 呼びかけ方こそ違ったが 「「ライルがどこにもいない!何か知ってるか?」」 と用件は見事にハモった。無論、飛び込んできたのは刹那とニールのライル馬鹿コンビ。スメラギは彼 らの顔を見た途端、にっこりと笑った。 「あら、意外と遅かったわね。ライルなら出て行ったわよ?」 指差す先にはスクリーン。 「怒ってるわよ〜〜?」 言われなくとも分かっている。イノベイターでもないニールにもはっきりとシャトルに巨大な怒りマー クと煙(ぷんぷん怒っている時の)が出ているのが見えた。 「あちゃ〜〜〜」 「あれは相当怒っているな」 ライルはカタロン帰還を反対された事を怒っているのではない。大大大親友のクラウス・グラードを嫌 う事を怒っているのは当事者の2人にはよーく分かっていた。 「追いかけるぞ、ニール」 「OK、刹那」 出て行こうとする2人をスメラギが呼び止める。 「ガンダム使っちゃダメよ?」 「なら、何に乗れば良いんだ」 刹那の疑問にスメラギはひらひらと手を振った。 「フラッグにしときなさい。万が一シャトル奪還を見られても、犯人は旧ユニオンって事になるだろう  から」 可哀想な旧ユニオン。 「分かった、丁度俺専用のやつがあったな。あれなら2人乗れるから、良いだろう」 刹那の納得に、ニールも首を縦に振り出て行った。 「スメラギさんなら、ライルが出て行くって分かってたんじゃないですか?帰ってこさせるならどうし  て見逃したんですか?」 当番でスメラギの他に唯一ブリッジにいたフェルトが問いかけると、スメラギはうふふ〜と笑った。 (ライルの意見を尊重したまでよ) 「恋にもブラコンにもアクシデントがあった方が面白いじゃない」 「スメラギさん、本音と建前が反対ですよ」 「あらホント。いけないわね〜」 スクリーンにはトランザム機能なんてないのに、信じられないスピードで消えて行くフラッグ(ほもと ブラコン入)フェルトは溜息をついて、宇宙に溶けて行くフラッグを見つめたのだった。
刹那「達」とライル1 「へえ〜これが1期刹那かぁ・・・可愛いな」 やけにご機嫌な男を、1期刹那はぎろりと見上げた。兄貴分にそっくりな顔ではあるが、彼ならこんな 言い方はしないだろう。成程、ライル・ディランディかと見当をつける。 「そうか、お前が俺の将来の嫁か」 「違います」 「なら今からめいくらぶとやらをするか」 「おーい、話聞いてるか」 噛み合わない会話は1期刹那の醍醐味だ。ぐわし、と腰に手を捲かれてライルは焦る。こ、このままで はこのガンダム馬鹿発生源にガンダムにされる!(注:らいるは こんらんした!)その時だ。 「いくら過去の俺だったとしても、ライルに不埒な真似をするのは許さん」 ばーん、と2期刹那の登場です(進化済)実はガンダム馬鹿発生源からガンダム馬鹿進行中の2期刹那 ま、これはこの際置いておこう。 「刹那!助けて!」 「刹那は俺だ」 「黙れ昔の俺。ライルに突っ込んでいいのはただ1人。俺だけだ!」 何故か尊大に胸を張る2期刹那。格好良い!(棒)今度はライルの肩にぐわし、と腕をまわして引っ張 る。 「あだだだだ」 「昔の俺、ライルが痛がっている。離せ」 「断る。未来の俺こそ離すが良い」 「こいつを口説き落としたのは俺だ。口説いてもいないお前にその権利は無いと思え」 ぐいぐいと左右から腰と肩が反対方向に引っ張られるので、大変な苦行がライルを待っていた。しかし 流石に年の功というべきか、肩の方にライルの身体が傾ぐ。 「なにをやっている、昔の俺2人。ライルの身体が変な形になってるぞ」 ややこしいが今度は劇場版刹那のご登場である。ガンダム馬鹿はどっかいってしまったらしいが、電波 が非常に強力になっていた。・・・・・ロクでもない属性だな、3人の刹那。助けては欲しかったが、 どうも信用ならないのでライルは黙り込む。でも身体はミシミシと限界を迎えていた。 「ライルを捨てたお前に言われる筋は無い」 と、1期刹那。負けかけているので必死ではある。 「そうだ、ライルを手放したんだからな」 と、2期刹那。更にぐいぐいとライルの身体を引き寄せる。 「そうか・・・・お前達とも分かり合えなければな」 ・・・・なんか話が繋がってないぞ。 「する必要ねーだろうが!」 ついつい突っ込むライル。胃に穴が開きそうだ。劇場版刹那はつかつかと近寄って、あくまでも真顔で こう言い放った。 「なら俺達3人仲良くライルを愛でれば良いだろう。どうだ?」 分かり合う為の話し合いらしい。 「良くねーよ!俺はどうされちゃうの!?」 喚くライルは悲しくも無視される。 「4Pか、良いだろう」 1期刹那は納得したようだ。 「仕方ない、それで手を打つ」 2期刹那も渋々ながら認めた。話し合いが成立したらしい。男達(とはいっても刹那だけど)は分かり あったのだ。 そして・・・・・ 「たあ〜すけてぇ〜〜!!兄さんー!」 「というライルの悲鳴を聞いたよ」 のんびりと言い放つアレルヤにニールは血涙状態。 「なんで止めてやらなかったんだよ!?」 そう返されてアレルヤは我に返った顔でポン、と手を打った。 「あ・・・・そっか」 と呟く間にニールは猛ダッシュで食堂から飛び出して行った。 「うふふふ・・・・楽しいわね」 トレミーの女王様がご機嫌で見送ったのだった。
刹那「達」とライル2 ライルが3人の刹那の分かりあいの末に、どえらい事があった次の日。スメラギは通りかかった先で 3人の刹那がまたしてもあーでもないこーでもないと言っている。3人の真ん中には魂が80%くらい はみだしているライルが何故か床に座っている。その背中にぴったりとひっついて腕を回しているのは 口説き落とした2期刹那。ライルの足の間には少々不満そうに1期刹那が座っている。どうも劇場版刹 那も過去の2人と同じようにライルとスキンシップをしたいらしいが、過去2人が譲らない為に騒ぎに なっているようだ。 「最過去の俺はライルに会ってもいないんだから、此処は俺に譲るべきだと思うが」 至極当然のように言うのは劇場版だ。 「しかし俺はニールにライルを嫁として紹介された(注:嫁としては紹介してません)のだから、俺は  発祥地としてライルに触れる権利があるはずだ」 むくれながら1期。発祥地ってなんだ。 「俺はこのポジションを譲る気はない」 そっけなく2期。色々とドラマチックなのは確かにこの刹那の時にあったわけだが。三つ巴になってし まったその時だ。 「お前ら・・・・分かりあったんじゃねーのかよ。そんで3人で俺にあんだけ不埒な事しといて・・」 息も絶え絶えみたいな感じでライルが呟く。心身ともに疲れた彼に、3人の刹那の言い合いは更に憔悴 を加速させるものらしい。 「「「無論だ」」」 流石同じ『刹那』声は見事に揃った。 「しかしそれとこれとでは話が違う」 「そうだ」 「このポジションは譲らんぞ」 しかしその後は各々意見が分かれた。そしてまたあーでもない、こーでもないと始まる。 「勘弁してくれ・・・・・」 そんなライルの悲痛な呟きを耳にしながら、スメラギは写真を撮る為に端末を構えたのだった。
刹那のファンタジー 事の発端はニールライル刹那の3人で話をしている時、何故か童話の「金の斧銀の斧」の話になり、ラ イルが「刹那だったら泉に落とすのはガンダムだよな(大事な仕事道具的意味で)」という発言だった それにニールが大喜びで同意するものだから、刹那に縦皺が寄った。 「俺が主人公だったら、泉に落とすのはライルだ」 「何故朗らかに、俺が泉に落ちねばならんのだ」 ライルの当然な抗議はあっさり無視されて、刹那の語りは続いていく。 「そして泉の妖精が出現だ」 ダーダン、ダーダン 「泉の妖精出現シーンにまさかのジョーズBGMかっ!って、うわぁ!刹那の泉の妖精のイメージ図が  ミス・スメラギになってるーっ!」 「なんて腹に色々持ってそうな妖精だ!刹那ぁ!こーいう役はマリナ姫ぐらいにしとけよ!」 因みに前者がライル、後者がニールの発言だ。後日、どういうわけだかこの発言がスメラギにバレた兄 弟は、彼女の部屋に強制連行されて酔い潰されたのだった。 「泉の妖精が訊く。『貴方が落としたのは格好良いライルですか?それとも頼もしいライルですか?』」 「どーせ俺は格好良くもねーし頼もしくねーよーだ」 「まぁまぁライル、お前はかわ・・」 「狙い撃つ」 そんな刹那の1言と共に、何かが飛んできてニールの額にさくっと突き刺さった。 ・・・・・突き刺さった。 「はっはっは、刹那ぁ。ガンプラ人に投げちゃダメだろ?危ないんだから」 「ちょ、兄さん!さ、刺さってる!オーライザーのガンプラが額に刺さってるって!」 刺さった処からだらだら血を流しながら刹那を諭すニールに、ライルがおろおろしている。刺さったか らといってひっこ抜けば、大出血になる事は間違いない。しかし刹那は揺るがなかった。 「俺の台詞を取るからだ。・・・俺は言う『どっちもいらん。可愛いライルを返せ』とな」 「俺は可愛くないっつーに・・・」 ばったり倒れたニールに意味無く布で風を送りながらライルはぼやいた。 「そして泉の傍でピーをしてポーしてパーする」 「この破廉恥野郎が。そんな事したらミス・スメラ・・・じゃなかった泉の妖精が大喜びで写メ撮るに  決まってんだろうが!」 彼女の性格上、軽蔑はされないが大いに遊ばれる。それは仮の世界の設定としてもライルとしたらごめ んこうむりたい事態だった。 「それより兄さん、メディカル室へ連れて行かないと」 「大丈夫だ、後3分ぐらいに蘇る。これぐらいで倒れては初代ロックオン・ストラトスは務まらん」 「人の兄さんをカップラーメンみたいに言うな。つか兄さんはどんだけ不死身なんだよ・・・・・」 ライルは疑心難儀で言ったが、刹那の言う事は正しかった。きっちり3分後、蘇ったニールを見てライ ルが心底ビビリ、CB抜けるーっ!と大騒ぎになったのだった。
らいる1/2ちびっと それは奇妙な光景だった。ある部屋のベットの上に腰かけて女性が本を読んでいた。それだけなけなら 別にどーってことない光景であったが、後ろからにゅっと腕が伸びてきていて手の平が女性の乳をわし っわしっと揉んでいるのである。女性はその腕の持ち主に背を預けている。大変、破廉恥な光景なのだ が揉んでる少年の域を脱したばかりと思われる青年の表情がアホみたいに真面目顔だったのと、女性が 平然としているので破廉恥ではなく奇妙な光景として他人からは認識されるであろう。やがて女性は本 から目を上げ、青年の方を向くことなく口を開いた。 「刹那ぁ・・・楽しいか?」 「わりと」 揉まれているのは本来の性は男性である「ライル・ディランディ」という。彼は中学生の頃水を被ると 女性になるという異常体質になってしまった恐ろしい経歴の持ち主。そんなライルに惚れちゃった変り 者の名を刹那・F・セイエイという。 「俺さぁ・・・やっぱこうやって乳揉むのって男のロマンだと思ってたけど、される側になると案外何  も感じないモンだな」 「そうか」 「そろそろ痛くなってきたんだけど」 「そうか」 そっけない返答ではあるが刹那はライルの求めに応じて揉むのを止めた。しかし不埒な手の平は乳の下 に陣取ったまま。重さでも測っているような感じだった。ライルが目を細めて少しだけ甘えるように背 を刹那にもたれかかった。その時である。 ばしゃーっ お湯が文字通り「飛んで」きて、刹那の手の平から重みと心地良い弾力から消えた。ライルは本来の男 の姿に戻っていて、お湯が飛んできた方向を見て苦笑を浮かべていた。そこにはライルと同じ顔の青年 が苦い表情をして立っている。 「おまいら!そーいう破廉恥な事はベットの中でこっそりやりなさい!」 ライルの双子の兄であり、刹那にとっても大事な兄貴分のニールが登場。最初は2人の交際に卒倒して いたが、最近は諦め気味に認めてくれている。ただこういう破廉恥な事を悪気なく実行してしまう刹那 と、それを許容しているライルにはやはりモノ申したいらしい。真面目だから。 「返事はどうしました!?」 肩をいからせて言うニールに刹那もライルもはーい、と気の無い返事をしてニールの眉を顰めさせてし まったのだった。
構成物資 それは誰かの「ニールとライルって性格似てないね」という発言から始まった。 実兄「当たり前だろ!?俺と同じ性格だったらライルを構成する可愛らしさが99%失われる!」 ほも人「まったくその通りだ」 当人「可愛らしさ99%というのにも異議を申し立てたいのは山々だが、残りの1%が気になり過ぎる」 天然「良かったね、ライル!可愛いって言ってもらえて☆」 当人「お前には最早、何も理解してもらえなくても良いと感じているよ」 教官「可愛いと言われて嫌な気分になるのは良く分かる。僕も良く顔が可愛いとか言われていたからな」 当人「まさかの方向から理解が得られた!」 実兄「異議あり!ティエリアよりも俺の方がライルを理解してるぞ」 当人「俺を可愛いと言った時点で既に理解されていない」 ほも人「そんな事は無い。可愛いものを可愛いと言って何が悪い。お前は世界四大文化が花開いた頃か     ら可愛いのは変わらない」 当人「俺はどんだけ長生きですか。サンジェルマンじゃねーんだぞ。つか残りの1%は何で構成されて    んだよ、俺は」 実兄「可愛らしさ」 当人「100%じゃねーか!」 実兄「違うぞライル!俺が言いたいのは俺と同じ性格なら100%可愛らしいのが1%しか残らないっ    て事だぞ」(胸を張った) 当人「乱れ撃つ」(何故か握りしめていた柿ピー乱舞その場の全メンバーにヒット) その後、その部屋は大変柿ピー臭くなりスメラギに大目玉をくらったのだった
恐怖のハロウィーーーーン 画面には思い思いの扮装をする人々が映っていて、ライルはそうかと呟いた。 「どうした?」 端末を覗いていた刹那がライルの言葉に反応した。 「いや、ハロウィンなんだなーと思ってさ」 「ああ、『とりっくおあとりーと!』とか叫んで全力でかぼちゃを投げつけて相手に直撃させるお祭り  か」 「なんだその世界一恐ろしいお祭りは。変態的な殺人現場が次の日の朝刊を賑わすだろ!」 中身を取らずにかぼちゃを頭なんかにぶつけると、確実に相手は昇天するだろう。かぼちゃにまみれた 殺人現場など、別の意味で恐ろし過ぎる。 「誰にそんな恐ろしいハロウィンを教わったんだ?」 「アリー・アル・サーシェス」 「俺があいつをかぼちゃで撲殺したいわ」 にっくきアリー・アル・サーシェスなら、新巻鮭で撲殺してもいいと思うライルだった。食べ物を粗末 にするな。しかしあのアリーが刹那を含む子供たちにどーいう顔して教えていたのか、想像もできない。 「そうか・・・・。実際かぼちゃに見立てた手榴弾を敵に『とりっくおあとりーと!』と叫んで投げつ  け、爆殺していた俺の思い出はなんだったんだ」 刹那はすっかりしょげてしまったらしい。刹那にとって子供時代はトラウマの塊だ。かぼちゃと手榴弾 の類似性が見当たらん、とかかぼちゃで爆殺はできねーだろう!とか当たり前の突っ込みは流石に入れ られなかった。 珍しく気まずい雰囲気の中、それに耐えきれず刹那にアプローチして墓穴を掘るライルの姿が見られる まで、あと数秒。
★お気楽な短編達。割と書くのは好きですが、こうやってちょっと纏めてみるとそれなりに量があって  驚きです。刹ライ万歳。 戻る