絶滅危惧種稼働中




日記ログ9



伝説の若大将

ティエリアはいくら用事があったからといって、刹那の部屋に来た事を無限の宇宙に匹敵するほど後悔
していた。何故ならば刹那が軽快なメロディをギターでかきならして、熱唱していたからだ。
「こ、これはユーゾー・カヤーマのお嫁においで!!!」
選曲も凄かった。だが軽快な音楽とのー天気な歌詞を紡いでいるのが、ぶっちょ顔の刹那では良い子の
ちみっこがちびちゃってもおかしくない状況だった。しかも1人で熱唱しているならまだ可愛い。そう
観客がいたのである、強制的に。
「もがーっ!!もがもがーっ!!」
ベットに座って熱唱する刹那の前には椅子があり、その椅子には緑のマイスターがぐるぐる巻きになっ
て拘束されていたのだから、たまらない。後で本人から聞いたのだが、最初は亀甲縛りにされそうにな
ったらしい。刹那は彼限定で亀甲縛りを施すのが好きだった。それをやだやだと年甲斐も無く大騒ぎし
て、刹那が妥協した結果だと言う。それは妥協というのだろうか?とティエリアは思ったが、面倒くさ
いので放っておいた。誰だって墓穴は掘りたくないもんだ。運の悪い事に(刹那は狙ったのだろうが)
ライルの守護神ニールは神聖なるじゃんけんの結果、おつかいに行っていて不在だった。

曲が変わった。

今度はバラードになったらしい。そう、あの歌っている本人ですらこっ恥ずかしいらしい台詞のある曲
を(ヒント:ふたりを〜ゆ〜やみがぁぁぁぁ)これ以上ダメージを喰らいたくなかったティエリアはさ
っさと背を向けた。抗議の唸り声が追いかけて来たような気がしたが、気にしない事に決めた。誰だっ
て死にたかないもんね。

次の日、熱唱の後に食われたらしいライルは心身ともに魂が4/3はみ出したと言う(解脱した)




  刹那の心、ライル知らず? 50年という歳月を経て、刹那とティエリアは地球に戻りつつあった。地球が近付くにつれてヴェーダ から色々な情報が引き出せるので、その情報でかつての仲間達の経緯を知って大いに盛り上がっていた 時だった。 「へえ〜、刹那とティエリアってデキてたんかぁ。らぶらぶ新婚旅行?」 という能天気過ぎる声が残されていた。 「「なっ!!」」 心底驚いた2人であったが、刹那は顔色を・・・・・変えていなかった。本来ならば顔色が変わったの だろうが、残念ながら今の刹那は合体完了してぎんぎらぎんにさりげなくない状態で、顔色はどう頑張 っても変わるものではなかった。 「・・・・・悪いが俺はティエリアに突っ込んだり突っ込まれたりしたいと思った事は無い」 「その言葉、のしにリボンをつけて返してやる」 イノベイター(合体完了)とイノベイド(手乗り)を一瞬で奈落の底に突き落としたその声の主は刹那 の「恋人」であったはずのライル・ディランディだったのだ。しかも嫉妬とかからは最も遠くにいるっ ぽい、心底感心した声だった。刹那にしてみれば「お前は俺のどこを見ていたんだ、ちょりーっす! (激高のあまり錯乱)」と言いたくなるぐらいのショックだった。確かにティエリアは大事な仲間であ り、パートナーである。だからといって何故、カップルにされねばならんのだ、と刹那は激しく歯ぎし りをして合体しているELSを驚かせたのであった。 「落ち着け刹那」 「落ち着いてはいられない、こんな誤解を解けないまま相手は既に昇天しているんだぞ!?こんな世界  俺は望んではいなかった!」 いきなり恋人のショック発言という小さな事から、世界にまで絶望を広げられてしまう。しかし刹那は 錯乱してしまった為に、その後のライルの呟きには気が付かなかった。それは彼が1人でいる時であろ う。 「まぁ、それでも俺は刹那が好きだけどな」 ティエリアはその呟きに気が付いたが面倒くさくなった為、黙っている事を選択したのだった。
お墓絶賛増量中 地球へ着き、ティエリアと別れた刹那は一旦マリナの元を訪れてから、アイルランドに向かった。彼ら が眠る墓地に着いた時、刹那は考えもしなかった事に遭遇する。 「墓が・・・・3つ・・・・・・・・だ・・・と?」 そう、ディランディ家とアニューの墓の間にちょこんと新しい墓が増えていたのである。 「????????????」 脳量子波でティエリアを交信している刹那の姿は素晴らしく目立っていたものの、その前に墓の前に座 り込んで2つの花束を3つにしている姿の方が目立っていたので、問題は無かった。 ティエリアが探してきてくれた情報によると、ライルも家族の墓に入ろうと思っていたらしいが、墓標 に名前が入らなかったらしい。確かにニールの名前ですら地上スレスレの処に掘ってあったのだ。1人 だけ、名前が裏ってのも悲しいものだ。なので大好きな家族とアニューの間に自分の墓を作って、現在 に至るらしい。彼なりの妥協だったのだろう、ニールも貧乏くじに恵まれた人生を送っていたが(原因 は明らかだ)ライルも肝心な処は運が悪いと言うか、貧乏くじを満を持して引く傾向にあったらしい。 「お前は・・・・・本当に色々な意味で俺の度肝を抜くな」 そう呟いて3つの墓に3つになった花束を置く。花を包む紙がビリビリなのはこの際、見逃してもらお う。いきなりぎんぎらぎんにさりげなくない奴が現れて花屋もさぞかし驚いただろうと思ったが、EL Sと共存してキカイダーみたくなっとる奴もいるのでそんなに驚かれたりはしなかったらしい。無駄に 順応力が高いのも考えものかもしれない。 本当はティエリアと2人で来る気でいたのだが、ライルのとんでも勘違いによって双方ともに行きにく くなってしまったので、後からティエリアがくるはずである。そう思い出して刹那は声を張り上げた。 「俺はティエリアとそんな関係じゃなかったぞ!!」 その声は無駄に墓場に響き渡り、今日墓参りに来た人に「今日のレジェンド」として語られる事になっ たのだった。
ほもとぶらこんのコラボレーション それはミッション説明でライルがスメラギに質問した時に勃発した。 「スメラギさん(スパロボではこう呼んでいる)ちょっとこの辺りなんだが・・・」 「なあに、ホモとブラコンの奇跡のコラボレーション」 「なっ!」 ライルは硬直したが、直ぐに立て直した。最近のライルはショックからの立ち直りが上手くなりつつあ った。まったく嬉しい事ではないが。 「そんなんなら、あっちの方(と実兄と恋人を指した)が変態度は高いだろっ!!」 「あら、甘いわねライル。確かにニールは貴方を超えるブラコンだけど、ホモではないわ」 「まぁ俺、男に惚れた事ないしな。巨乳のお姉ちゃんが好きだし」 そう感心したようにニールがのたまった。 「そうだな。巨○のお兄ちゃんが好きという話は聞いた事が無い」 藪から棒にえらい事言い出す刹那。 「刹那、良いからそこになおりなさい」 「・・・・・・・すまない」 俺はお前をそんな子に育てた覚えはありませんよ!つか、ライルに惚れるよう育てた覚えも無いのに、 なんでライルに手を出しましたか!とか刹那に説教を垂れているニールを尻目にスメラギの暴言は続く。 「刹那はホモだけど、ブラコンではないわ」 「それ以前に、俺に兄弟はいない」 説教受けながら、律儀に返事を返してくる刹那だった。 「分かった?一点集中ならニールや刹那の方が変態度は上だけど、総合力で言えば貴方だって引けを取  らないのよ」 「引けを取りたかったよ、安西先生・・・・・」 がっくりと項垂れるライルに、いつの間にか説教が終わったのか刹那がすすすすす・・・と近づいた。 「安心しろ、俺がカミーユ・ビダン、ニールがアムロ・レイ、お前がジュドー・アーシタだと思えば心  安らかだろう」 「なんでじゃ」 「神祖時代3人の主人公の能力の差として生みの親である禿御大が言うには、パイロット能力が1番上  なのがアムロ、ニュータイプ能力が1番上なのがカミーユ、1番上なのはないがパイロット・ニュー  タイプ能力がどちらも尋常でなく高いのがジュドーらしい」 本当です。因みにシャアは「本気」になればアムロを瞬殺できるそうです。 「まあ、今流行りのコラボじゃないの、もっと喜びなさいよ」 遊ばれている、そう分かっていてもライルは心理的に地の底まで潜って永眠したい気分になったのだっ た。現実は無情である。
苦悩の兄貴 ニールは悩んでいた。原因はお向かいで朗らかに会話をしながら食事をしている、実弟と弟分だ。不幸 にもニールは見てしまったのだ。格納庫の隅っこの端っこで、ちゅーをかます2人の姿を。 「そ、そうか。あれは人工呼吸に違いない!」 と自分を騙そうとしたのだが、両者共に立っていたのでそれはありえない。普通は片方が横になってい るモンだから。しかし信じられず、どうしてもライルの方をチラチラと見てしまう。するとライルは溜 息をつきつつ、立ちあがった。 「分かったよ、兄さん」 「え?何が?」 自分の中の疑問と戦っていたニールは突然の弟の発言についていけなかった。目を丸くするニールの前 で、ライルの皿にあったジャーマンポテトがニールの皿に注がれる。 「え?・・・・・・・・え?」 自らの皿とライルの顔を交互に見るニールは、まるでコメツキバッタのようだった。 「あれ?兄さん、俺の分のジャーマンポテトが欲しいけどどうしようって悩んでいたんじゃないのか?」 「俺はこの歳になって、どんな欠食児童ですか!!」 まるで方向違いの事を言いだすライルに異議を申し立てる。 しかしだ 「俺もジャーマンポテト狙いだと思っていたんだが」 真面目な顔して刹那。 「ごめんなさい、僕もそう思いました」 てへ☆てな感じでアレルヤ。 「僕もそう思ったが、残念ながらもう食してしまったからな」 まさかの誤解、ティエリア。 まさに四面楚歌(丁度4人いるし) 「違うったら!」 ニールの抗議は糠に刺さった釘のよーに、埋もれて行ったのだった。 そして疑念が真実でありしかも公認という事が分かり、ニールの卒倒人生が幕を開けたのだった。ガン バレ、ニール!
ろまんの行方 それは刹那の一言から始まった。 「俺は知らなかった、お前が大怪我して包帯ぐるぐる巻きになっていたとは」 「ははは・・・・包帯って言ったらやっぱ綾波レイか?あれ元ネタは筋肉少女隊の歌だったらしいけど。  ・・・・俺が死んでも代りはいるものってか」 「そんな事を言おうもんなら、全力でお前を殴るぞ」 「刹那に全力で殴られたら俺、確実に天に召されるんじゃね」 「そんなヘマはせん。たとえ神であろうとも、お前の(ぴー)は渡さん!」 「ああ〜(ぴー)が無ければ、結構感動したかもしれんのに。そんな事言われても神様だって困るだろ。  俺らの神は未だに立川でバカンス中なんだろうか」 「300年経っているから、流石に今は働いていると思うぞ」 「・・・・そっか」 何故か良い雰囲気になるバカホモップル。それを遠くから見ていた者がいた。 兄「なんつー謎会話で良い雰囲気になるんだよ。ろまんちっくが止まらないような会話で良い雰囲気に   なれよ」 女王「無理ね。刹那がろまんちっくから世界一遠くにいるし、ライルも結構ろまんがないもの。兄弟揃    ってろまんがないんだから、無理言わないの」 兄「くぅぅぅ・・・言い返せない」 人生そんなもんだ(←?)
双子行進曲 「同性の双子大集合しなさい」という謎の指令が出てやって来たディランディ兄弟は、恐怖にうち震え ていた。 「ちょ・・・兄さん、ガンダム世界の双子ってロクな奴いないのでは・・・」 「兄ちゃんもそう思います。フロスト兄弟なんてどう見ても兄がホスト、弟がチンピラにしか見えない」 そんな真実言ってはダメですよ。しかしそんなフロスト兄弟も霞む程、恐ろしいメンツがいたのである。 「しかし真に恐ろしいのはカリスト兄弟だよね」 「ああ、なんで顔半分紫(に見える)に塗ってんの?」 木星のドゥガチの後任者である双子、光のカリウスと闇のカリウスのお二方。うっかりフレンドリーに 声をかけた途端に、滅殺されるのは確実であろう。 「怖いよ、兄さん」 「あ、安心しろライル。お前は兄ちゃんが守ってやるからな」 常識人のディランディ兄弟がカリウスズに喧嘩売られたら実力では負けないだろうが、電波に敗北する 可能性が高い。 「兄さんに守られてばかりじゃな。俺が兄さんを守るよ」 「ライル・・・・・なんて頼もしい。兄ちゃん感涙ですよ」 「え、そう?クラウスのおかげかな」 「んだと?」 空気が一変した。 「ディランディ兄弟は普通人だと思っていたが、違っていたようだなオルバよ」 「そうだね、兄さん」 そそくさと距離をうんとあけるフロスト兄弟だった。 「なんと、我らを超える闇のオーラを発するとは・・・・ディランディ兄弟、侮れぬ」 「確かに」 さっきまで怯えていた存在に怯えられてるとも思わず、ニールは嫉妬メラメラオーラを辺りに撒き散ら し、ライルは大慌てで説得に当たるのだった。 因みに、原作読んだ事ないのでカリストの台詞はテキトーです。
嫉妬と夢と現実と 「刹那、俺達別れようぜ」 ライルのその言葉に刹那は非常に驚いたが、残念な事に表情は本人が想像しているよりも動かなかった。 「何故だ」 「だって刹那は元々兄さんが好きだったんだろ?その兄さんが復活したんだから、俺との関係はお荷物  だよな」 「まだそんな事を言っているのか。何度言ったら分かる」 「分かってるって、遠慮すんな。別に邪魔なんかしねーからさ」 「お前はなにも分かっていない」 「んなことないさ、伊達にお前より長く生きているわけじゃないんだぜ?」 すれ違う会話。ちっとも意思疎通ができない。刹那はイラついてきたが、ライルはケロリとした顔でバ イバイと言わんばかりに手を振る。 「じゃ〜な、俺はカタロンに帰るわ」 「俺の話を聞けと言ってるだろう!クラウス・グラードの元に帰るなど許さん!」 「兄さんと仲良くな!応援してるぜ!」 「待て!ライル!」 ばちっと刹那は目を覚ました。むくりと起き上がる。当然、不機嫌だ。 「夢か・・・・・・」 ほっとしたのもつかの間、刹那の眉間に縦ジワが発生した。 「ぎゃああああああああああああ!!!!!」 アレルヤがライルの凄まじい悲鳴を聞いたのは、偶然だった。慌てて悲鳴の発生場所へ行ってみると、 目にも恐ろしい景色が広がっていた。半分制服をひっぺがされた挙句、刹那の手によって赤い荒縄で縛 りあげられつつあるライルの姿があったのだ。 「あ、アレルヤ!助けてえ!!」 ライルの助けてコールと刹那の「邪魔すんな」ビームが一瞬交錯するが、アレルヤは迷わず刹那をライ ルから遠ざけた。流石の刹那もアレルヤの筋肉には敵わない。 「大丈夫かい、ライル」 「た、助かった、アレルヤ」 「一体どーしたんだってんだい?」 「良く分からねーよ。いきなし出会い頭に服半分ひっぺがされて、更には赤い荒縄の毒牙にかかりつつ  あったんだから」 「アレルヤ、邪魔をするな」 むくり、とすっ転がされていた刹那が起き上がる。手に握り締められているのは伝説の赤い糸の逞しい バージョンである、赤い荒縄。 「大体!その赤い荒縄をどっから調達して来やがった!?」 確かにAV業界なら普通に手に入るかもしれないが、此処はロボット物業界である。早々そんな物は手 に入らないだろう。しかし意外なところから入手されていた。 「スメラギ・李・ノリエガが、恋のスパイスとしてプレゼントしてくれた」 「あんの人は〜〜〜〜〜〜」 「ははははは、スメラギさんって凄いねぇ」 彼女なら遊び半分でそういう事をしてしまいそうな気がしないでもない(どっちだよ)やはりトレミー 最強は彼女なのだろう。誰も止められないし、止めたら恐ろしい報復が待っている。どうせ待っている なら暖かハ○ムの方が良いと切実に思うライルとアレルヤだった。 「ライルはクラウス・グラードにはやらん。俺のものだ」 「なんでそういう話になってんだよ!?」 じりじりと迫って来る刹那を、ライルがアレルヤを盾にしてじりじりと後ずさる。なんだか今日の刹那 はちょっと違う。妙な迫力に流石のアレルヤもたじたじとなるが、健気にもなんとか耐える。つくづく このほもっぷるの痴話げんかに巻き込まれるニールの苦労を思い知った。じりじりと後退しながら、今 度ライルの悲鳴が聞こえてきたらニールを呼びに行こうと考えるアレルヤだった。 彼らの対峙は続く。
テーマソング ♪ 『ボクの名前はニール  ボクの名前はライル  2人合わせてロックオンだー  きっみとボクとでロックオンだ  小さなものから大きなものまで  ねら〜い撃ちだぜ  ロックオン・ストラトス〜』 ♪ 得意気なスメラギの顔を眺めながらたっぷり20秒は沈黙が続いた後 「スメラギさん、これなあに?」 とライルが指を指した。 「なにって、決まってるじゃない。CBのPVよ」 「テロリストがこんな能天気なPV作って良いんだろうか・・・」 ニールがぽつりとこぼした。スメラギに 「緊急事態!ブリーフィングルームに全員集合!」 と強制的に招集されて、いきなり流されたのがこの・・スメラギ曰く・・PVらしい。どっかで聞いた ことある曲ですね。凄いぞヤ○マー!常識人は顔が全員青ざめていたが、刹那はまったく変わらず、ア レルヤに至ってはスメラギと盛り上がる始末。 「じゃ、次行くわね♪」 「まだあんのかよ!?」 思わず突っ込んだライルに、常識人は皆同意した。が、スメラギはそんな事で揺らぐはずがなかった。 ♪ 『GNドライブはガンダムの印 18時間(タクラマカン砂漠で)攻めら〜れました マイスター(じゃんじゃん)マイスター(じゃんじゃん) ガン〜ダムマイスター(じゃ〜じゃじゃん)』 ♪ 再び沈黙が訪れた。こそこそとニール・ライル・ラッセ・イアンのトレミー常識人カルテットは額をつ け合わせた(沙慈はもうトレミーを降りていた) 「ジャパニーズビジネスマンかよ。・・・・どう思う?」 ライルがそう問いかければ 「どうもこうも、スメラギさんにはついてけないな〜」 とラッセが答え 「これが全世界に流されたらワシは恥ずかしい」 イアンが青白い顔をしてのたまい 「でもどうやって止める?ミス・スメラギやる気満々だぞ、あれ」 と、この世の全ての苦虫を集めて噛んだとしか思えない顔でニールが呟く。 結局良い案も思いつかずこの2つのPVは全世界に向けて流されたらしいが、直ぐにカティ・マネキン の目に留まりスメラギが叱られたらしく、そんなにおおっぴらになる事はなかった。 「「「「有難う!カティ・マネキン!」」」」 トレミー常識人はカティに大変感謝したという。
姫始めのときめき(刹那だけ) 新年パーティを無事に終えて、刹那の部屋のベットでうとうとしていたライルは刹那の声で目を覚まし た。 「も〜い〜くつね〜ると〜、おしょう〜がつ〜〜」 どこか外れている音程に思わず笑みを漏らす。 「御正月には精つけて〜」 なにか今、盛大に歌詞が外れてしまったような? 「姫初めして遊びましょ〜?」 「せぇぇぇつなぁぁぁ!!」 思わず飛び起きると珍しい事に本気で驚いたらしく、刹那が驚愕の表情でライルを振り返る。 「どうした、驚いた」 「驚いたのはこっちだ!新年早々、なに不埒な歌を歌ってやがる!?すっぽんでも飲む気かっ!!」 すると刹那は更に珍しく、口を尖らせた。 「何を言っている。いくら俺でもすっぽん1匹丸ごと飲み込めないぞ」 口の大きさが足りませんね。ライルにしてもすっぽんエキスみたいな意味で言ったのだから、刹那の反 応は思いもよらなかった。さすがさよなら人類。 「そういう意味じゃねーよ!なんつー歌詞歌ってやがんだ。良い子には聞かせられん歌詞を!」 「仕方ないだろう、スメラギがお前の耳元で歌ってやれと端末に送って来たのだから」 そういえば最後の辺りは疑問符が付いていたような?とライルは思い出した。そんなライルにほれ、と ばかりに刹那は端末を見せる。そこには確かに刹那が歌っていた歌詞が載っており、更に続く歌詞もと ても良い子には見せられない不埒なものだった。 「あ・の・ひ・と・は〜〜〜」 珍しくスメラギの酒の魔の手からは逃れたものの、どうしてもこちらにちょっかいをかけたいらしい。 きっと今頃自室で1人悦に入りながら更に酒を煽っているのだろう。そして今度顔を合わせたら『盛り 上がった?』なんて盛り下がった事を承知で訊いてくるのは火を見るよりも明らかだった。 のし いきなり押し倒されてライルは目を見張る。上には不埒の塊が乗っかっていた。 「あ・・あの刹那さん?」 「歌詞の通り、姫初めをして遊ぶぞライル。スメラギもたまには良い事をするな」 「え!?あの歌詞に感動したのかよ!?」 信じられない思いで訊くと、刹那がにやり・・・・微妙なにやり具合だが・・・と笑った。 「そういう事にしておこう」 「待てーーっ!!納得いかねぇ!!」 ライルの悲鳴が響き渡った。
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