きょうてぇ(岡山弁で怖いの意味)




だ〜れだ?



それはディランディ兄弟と刹那とラッセが、飲み会やってた時だった。CBが世界に誇るうわばみであ
るスメラギが地上に降りているので平和に飲んでいたのだが、どういう経緯だか不明なままロマンにつ
いてというお題で話が盛り上がりを見せつつあった。
「やっぱ、お花畑をきゃっきゃうふふするのもロマンだけど、後ろから近づいて目隠しをして『だ〜れ
 だ♪』というのもなかなかオツだと俺は思う」
酔いも回っているのだろうが、ニールはそんな世紀末ロマン伝説を力説した。
「兄さん・・・・いくらなんでも、古いだろソレ」
思わず突っ込むのはライルである。優秀な兄ではあるが、服装とノリのセンスにそれなりの問題を抱え
ている。まぁ完璧な人間などいないっつーことだ。
「そんなことないだろ、カップルでやれば『やぁだ、もう〜』とか大盛り上りだぞ」
「そぅかぁ〜!?」
力説するニールと冷めた反応するライルがやいのやいの言い合っているその時。
「成程、後ろから気配を消して忍び寄り、首の骨をポキッとやってから『だ〜れだ』とすれば盛り上が
 ること間違いなしなのか」
刹那の真剣な声がトレミーの部屋に響いた。どの部屋かは決めていないので、各自自由に想像して下さ
い(他力本願絶好調)
「ロマンが消えて、悲劇と惨劇が幕を上げた!!」
ライルが絶叫すると
「この場合『だ〜れだ』と言いたいのは、首の骨ポキッてやられた方だよな」
顔面蒼白なニールのコメントが続く。
「怖い事言うなよ、兄さん!」
あんまりな方向に思考をかっ飛ばした刹那に、ディランディ兄弟のツッコミが炸裂した。
「ははは、刹那らしいな」
ご機嫌でラッセが口を挟んできた。曲がりなりにも常識人なラッセのこのコメントに、兄弟は顔を見合
せた。
「ラッセ・・・・ひょっとして酔ってる?」
ニールがそう言えば、ニコニコしたまま「いいや?」と答えている。一応、本人の言う通り酔っ払って
はいないようだが、笑って過ごすようなネタでもないだろう。
「あ、そっか。ラッセはマフィア出身なんだっけな」
きっとマフィアの常識にはこの案件があるんだろう、とニールは位置づけた。ライルもきょとんとして
いたようだが、ニールの言葉を聞いてそれなりに納得したようだ。しかし・・・・・
「まさか・・・それ俺にしようとか思ってないだろうな刹那」
「何故分かった?」
なんと恐ろしい展開だ。ロマンなど裏拳で吹っ飛ばされたも同然であり、ライルの人生の終焉を意味し
ているではないか。刹那の答えにドン引きしたライルだったが、頬を膨らませてさっさと部屋を出て行
ってしまう。ピシャリと閉まったドアを見て、刹那はため息をついた。
「小粋なアメリカンジョークだったんだがな」
「いや刹那、あれがアメリカンジョークだというならアメリカ人がコーンドッグ(日本ではアメリカン
 ドッグ)を振り回して、お前を撲殺しに来るぞ」
「ラッセ・・・・・やっぱ酔ってないか?」
「いいや?」
「ニール直伝のアメリカンジョークだったんだが」
「そんな物騒なジョーク直伝した覚えねー!」
確かに1期の頃は場を和ませようとしてジョークを言っていた事はあったが、そんなおっそろしいジョ
ークはライルに誓って無い。つーか神に誓えよ、おまいは。え?神などいない?何を言う、日本には八
百の神々が(以下長いので省略)
「それよりも、おまいらが奇行を繰り返す度に『兄さんは一体、どういう教育を施してたんだよ!』と
 実弟に無実の罪を被らされる俺の立場に対して、心を込めて何か申し上げなさい」
「そうか、大変だな」
「心が篭っとらん、やり直し」
そう、ライルは刹那を始めとする連中が起こす奇行の原因は全部ニールのせいだと思っているのだ。と
いうのもクルー全員に大きな影響を及ぼしているとういう事と、驚くとたいがいニールが半分以上冗談
で言ったものを真に受け止めてしまっているパターンが多いから。確かに自分でももうちょっと真面目
というか常識というものを教え込んでいれば良かったと後悔する事も多かった。しかしながら最近では
無実の罪までニールのせいにされるのだから、さあ大変。ニールにしても理不尽この上ないのだが、他
の連中はそんなニールを無視するがごとく(彼らにしてみれば当然の)行動やら言動を繰り返している
わけだ。
「そうかぁ、大変だなぁ」
「申し訳程度に語尾に「ぁ」を付けてるだけだろうが。やり直しじゃ」
「そうかっ、大変だなっ」
「少しは工夫せい。やり直し」
こんな不毛な会話を何回かした時だった。
「刹那ぁ、そろそろいかなきゃヤバいんじゃねーの」
ラッセが突然発言した事により、刹那の意識はラッセに向いたようだった。
「そうだな、そろそろ頃合か。行ってくる」
そう言って刹那は立ち上がり、部屋を出て行った。なんか中途半端な状態になってしまったニールはラ
ッセに振り返った。
「ラッセ・・・・・お前、酔ってねぇ?」
「いいや?」


しかしどうも刹那はライルの説得に失敗したらしく、しばらくの間ライルの背には背中合わせの状態で
青ハロが括りつけられていたという。



★久々の更新です。やっぱ刹ライは書いてて楽しいなぁ。ラッセが本当に酔っていたかどうかは読んで  下さったあなた次第(はあと)それにしても書いててなんですが、ウチの兄さんは本当に気の毒な立  場になっておられて涙を誘いません(おい!) 戻る