12, 恋人  


それは麗らかな日。弟が兄を探して公園を歩いていると、何やら聞き慣れた声がした。ああ、兄さんそ
こにいたのかと弟はその声に向かって歩き出した。

果たして兄は公園のベンチに座って、話をしていた。隣には見知らぬ少女がいる。はて誰だろうと弟は
思うが、心当たりはなかった。兄さん、お年頃だもんねと納得し、悪戯心からこっそりと身を小さくし
て近寄った。
「ねえ。」
「あ?」
「エドワードさんって恋人いるんですか?」
「へ!?」
「恋人とかいるのかなーと思って。エドワードさん格好良いから、モテるんじゃないかなーって。」
その少女の無邪気な質問に、兄は苦笑したようだった。
「モテたためしないな、俺。言い寄られたことってないし。」
うん、ボクも兄さんがせまられてあたふたしてるとこって見たことないや、と弟は思う。皆兄さんのこ
と小学生と間違えていることも多いしなぁ。兄が聞いたら怒りのあまり卒倒しそうなことを、平然と思
う優しいのかそーじゃないのか分からない弟であった。
「でもさ、恋人はいるよ。」
兄、爆弾宣言。弟は思いもしない台詞に、固まった。思わず立ち上がって、兄に発見されなかったこと
が唯一の救いだった。
「あ、やっぱりそうなんだ。良かったら教えてくれません?恋人のこと。」
女性は恋愛話が大好きである。周りの女性があまりにもそういう類に興味を持たなかったせいか、旅を
するようになってから痛感するようになった。兄の方に意識を向けると、照れているのが良く分かった。
それにしても、兄さんの恋人って一体・・・・とは思ったものの、該当するのは自分の知る限りでは一
人しかいない。
「ええと、髪は金髪で・・・・・。」
兄が観念したのかそんなことを喋りだしたので、弟はそっとその場を離れた。


兄が恋人と言う存在、それは幼馴染のウインリィしかいない。ていうか彼女しか兄についていける女性
はいないと思う。兄と同じく機械鎧整備士として自分の専門分野に没頭する彼女。あの年であれだけの
機械鎧を作れる技術は天才だ。性格もさっぱりしていて、嫌味がない。幼い頃にウィンリィを取り合っ
てケンカしたことも、今となっては良い思い出だ。しかし弟はちょっとした寂しさを感じていた。大事
な兄と大事な幼馴染。別に仲間はずれというわけでもないのだが、なんだか自分だけはみ出してしまっ
たような気がしたからだ。あの日まで、何をやるにも3人だった。でも月日は無常に経っていき、今や
自分は時間に取り残されている。老いることも無い代わりに、成長することもない。弟は少し泣きたく
なった。
「アル。」
絶妙のタイミングに声をかけられ文字通り飛び上がって振り向けば、大きな鎧が一瞬空を飛んだことに
驚く兄の姿。
「どーしたよ、そんなに驚いて。兄ちゃん、ビックリしただろ。」
「あ、ゴメン・・・・・・ってどーしたのその顔。」
弟が兄を見て驚くのは無理ない。なんたって兄の顔の左頬にでっかい手形を見つけたからだ。大分全力
で殴られたらしく、痛々しいぐらいに赤くなって腫れあがっている。
「んーオレにも殴られた理由が良く分からん。」
生身の左手で手形を押さえながら、兄は気まずそうな声を出した。
「分かんないって理由で付けられる類じゃなさそうな殴られ方だよ?」
殴ったのはさっきの少女に間違いは無かろう。しかし恋人の話を聞きたがったのは彼女の方だったはずy。
それにウィンリィがそんな怒りの対象になるとは考えにくい。
「なにやったのさ、兄さん。」
「なんもしてないぞ。公園で声かけられて、なんだかうやむやのうちに談笑することになってさ。」
知ってる、でも兄に告げる気は無かった。やっぱり盗み聞きって良くないことだから。
「恋人のこと教えてって言われてさ。」
「兄さん、恋人なんていたっけ?」
何故か傷ついたような顔をする兄。弟はそれが”オレにだっているぞ”という兄のプライドに触ったの
かと思った。
「ちゃんといるってば。金髪で可愛くって・・・・」
「ふんふん。」
ウィンリィは金髪で可愛いよね、同感。と弟。
「すら〜っとしった体つきで・・・」
「ふんふん。」
ウィンリィはすら〜っとした体つきだよね。バランス取れてるって感じだな。と弟。
「金目で・・・・・。」
「ふんふん。」
あれ?ウィンリィって目、金色だったっけ?金目の女性はホークアイ中尉がいるけど。とても兄さんの
恋人にならない人だけど(大人だから)。と弟。
「ずーっと今でも一緒にいて、苦労と愛を分かち合っているって。」
「ふんふ・・・・・・・・。」
弟の相槌が止まった。なにやら固まって、ちょっぴりガクガクと震えだす。
「ん?どーした弟よ。」
ケロリとして尋ねる兄。
「・・・・・・・・・・その恋人って。」
「そりゃあ、オレの目の前に立っている可愛い可愛いアルに決まってんだろ!!」
どっかーーーーーん
固まったままの弟に、握りこぶしで兄は力説する。
「実は弟なんだーーって言ったら、変態だーーー!!って殴られた。何でだ。」
馬鹿か兄。
「本当のことを思いっきり言っただけだってのにさ、ヒドイだろアル!?」
「あのさ・・・・・ボク兄さんの恋人になった覚えないんだけど。」
弟がやっとのことで、震える声で反論してくる。
「細かいことは気にすんな!!」
やたら爽やかにあっさりと言う兄に、弟は兄を心配するよりもなにかが自分の中でぶっつりと切れる。
「兄さん・・・・・・。」
「ん?」
「これからは3M以内に入ってくんなーーー!!!」
そう叫んで弟は足にローラーでも内臓してんのかと思うぐらいに、俊敏にかつ滑らかに去っていった。
「なんでだよーーー!!!????アルーーーーーーー!!」
兄はそんな弟の後をスプリンター走りで追いかけて行った。

頑張れ兄。
踏ん張れ兄。
エドアルな書き手は、君を応援しているぞ!



★あったま悪〜(汗)いやいつものことですな。あっさり諦めています。シリアスに見せかけて、ギャグ  落ちでございます。頑張れ弟・・・・・・。兄さんが頭悪くなってます。何故って私が頭悪いので、  賢い話を書くことができません。だれか、頭の良い賢い話の書き方を教えてくだされ・・・・。 戻る